ハリスが国民的テレビ番組に出演、トランプを嘲る 連邦通信委員会委員は「ルール違反」と批判 米大統領選
アメリカで、大統領選投票日を控えた最後の週末のビッグニュースといえばこれだろう。カマラ・ハリス氏が、11月2日夜、アメリカで絶大な人気を誇る国民的テレビ番組「サタデーナイトライブ(SNL)」(NBCテレビ)に飛び入り出演したのだ。米ヤフーニュースでも“Kamala SNL”がトレンディングのトップになった。SNLにはこれまでも様々な大統領候補たちが出演してきた。トランプ氏も、2004年と2015年に、大統領候補として出演している。
SNLは政治をパロディー化して笑いを誘うが、ハリス氏が出演した夜は冒頭、トランプ氏に扮したコメディアンが登場。声も語り口もトランプ氏そのものだ。会場が沸いたのは、そのコメディアンが、マイクをしゃぶる仕草をした時。トランプ氏は、ミルウォーキーで選挙演説した際、マイクの音声に問題が生じたことからマイクをしゃぶるような仕草をしたが、その仕草はまるでオーラルセックスをしているようだと嘲笑された。コメディアンはそれを真似て見せたのだ。
トランプ氏を冗談で嘲る
ハリス氏はというと、ハリス氏の物まねをよくするコメディアンのマーヤ・ルドルフ氏がミラーの前に座り、そのミラーに映し出される形で登場。ハリス氏は自分と同じヘアスタイルをし、同じ服を着て自分自身を演じたルドルフ氏に向かってこんな冗談を言ってトランプ氏を嘲った。
「私はあなたに思い出させるためにここにいるの。あなたはできるってこと。だって、あなたには敵ができないことができるんだもの。ドアを開けることができるでしょ」
先日、トランプ氏はゴミ収集車に乗って、バイデン氏がした「私が目にする唯一のごみはトランプの支持者たちだ」という失言について「本当に恥ずべきことだ」と言って民主党陣営を批判したが、そのゴミ収集車に乗る際、ドアを開けるのに手こずった。そんなトランプ氏を茶化してした発言だ。
出演シーンの最後で、ルドルフ氏が「私たちに投票します」と宣言すると、ハリス氏は「素晴らしい! ペンシルベニア州で有権者登録されているのかしら?」と選挙活動の一環のような発言もした。
FCCの平等時間規則に違反か?
話題となったSNLでのハリス氏の出演。しかし、これに疑問を投げかけている人物がいる。連邦通信委員会(FCC)委員のブレンダン・カー氏だ。カー氏は“X”(上記)で「FCCの平等時間ルールをかいくぐる露骨な試みだ」と指摘し、その理由について「このルールは、この種の偏った党派的な行為を回避させること、つまり、他の候補者に時間を平等に提供しない限り、放送局が選挙前夜に公衆電波を使って1人の候補者に影響力を与えることの回避を目的としている」と述べている。FCCの「平等時間ルール」では、対立候補は平等な放送時間を要求できるというのだ。トランプ氏は今回の選挙活動中はSNLに出演しなかったことから、SNLがハリス氏だけを出演させたのはFCCのルール違反であり、トランプ氏に対してアンフェアーだと見ているわけである。もっとも、これに対しては「FOXテレビはトランプ氏を出演させているじゃないか」と反論する声もあがっている。
エキサイトさせて支持を得る
投票日を目前にしている今、トランプ氏もハリス氏も、あの手この手で人々をエキサイトさせることに余念がないように見える。アーノルド・シュワルツェネッガー氏がカリフォルニア州の州知事選に出馬した際に取材した同氏の選挙参謀が「選挙は人々をエキサイトさせた者勝ちだ」と言い切った言葉が思い出される。人々をエキサイトさせて支持を得ようというわけだ。アメリカの選挙活動がエンターテインメント性を重視していることが表れている一言だと思う。
ハリス氏がテレビのショーに出たり、トランプ氏がゴミ収集車に乗ったりするのはもちろん、両者が今舌戦を繰り広げて個人攻撃しあっていることも人々をエキサイトさせており、エンターテインメントと言えるのかもしれない。トランプ氏は根拠のない虚偽の発言や暴言を重ねてきたが、同氏はそれも人々をエキサイトさせるエンターテインメントと捉えているのかもしれない。
さて、米国民は今、どちらの候補によりエキサイトしているのだろう? その答えは1週間後にはわかるのだろうか?
(飯塚真紀子・著 米大統領選関連記事:Yahoo!ニュース エキスパート )
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