「ナチス的改憲」をさせないために国会がやるべきこと
フーテン老人世直し録(154)
水無月某日
安保法制を巡る国会審議で異様なハイテンションを見せつけた安倍総理が辻本清美議員への野次を陳謝して審議に臨んだ日、その6月1日に日本年金機構はサイバー攻撃によって125万件の年金情報が外部に漏えいしたと発表した。
それから3日後に開かれた衆議院憲法審査会で、参考人として招致された憲法学者は全員が「安保法制は憲法違反」と明言した。自民党が推薦した学者まで「違憲」を表明した事で自民党には衝撃が走っている。
日本年金機構による個人情報漏えいは、衆議院厚生労働委員会で6月上旬に採決予定であった労働者派遣法改正案や、参議院内閣委員会で審議中のマイナンバー法改正案の審議日程に影響を与え、また審議をすればするほど意味不明になる安保法制も当初の目論み通りには行かなくなる可能性がある。
フーテンは連休直後にブログ「岸訪米と安倍訪米を比較する事で政治の先行きを読む」を書いて、岸信介は安保改定の中身を国民から批判されたのではなく、強引な国会運営が国民の反発を呼び、国民の反対運動が反米闘争に転化する事を怖れた米国によって退陣させられたと書いた。国会審議の先行きが不透明になり、それを安倍政権が数の力で押し切ろうとすれば、そしてそのことに国民が反発すれば、水無月は安倍政権の鬼門となる。
24日に通常国会の会期末を迎える今月は安倍政権の「ナチス的改憲」が成就するかどうかの最初の山場である。会期延長と安保法制の衆議院通過がどのように成し遂げられるのか。そこに日本の民主主義の現状がすべて現れるとフーテンは見ている。
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