ボジョレー、ボージョレ? 現役記者も戸惑う『ボージョレ・ヌーボー』の書き方 実は8種類あります!
11月の第3木曜日といえば、フランス・ボージョレ地区の“今年のブドウ”から作られたワイン『ボージョレ・ヌーボー』の解禁日です。
2024年の今年は11月21日木曜日の午前0時に解禁され、さっそくイベントや販売が始まっています。今年は夏以降の暖かな天候によりブドウがよく熟したそうで、”成熟したブドウの風味と新酒ならではのフレッシュさ”が特徴な味わいになっているとのこと。
さて、この『ボージョレ・ヌーボー』という言葉。筆者は『ボージョレ・ヌーボー』と書いていますが、実は媒体や販売店舗によって表記はさまざまです。
今回は、元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、報道媒体や店舗が使う『ボージョレ・ヌーボー』の表記についてご紹介します。これを知れば、ニュース記事を読むのがちょ~っとだけ楽しくなるかも?……しれません。(構成・文=コティマム)
ボジョレーかボジョレか、ボージョレか? ヌーボかヌーヴォーかヌーボーか?
筆者は長年、報道媒体で記事を書いているため、表記は各媒体のルールやハンドブックにのっとります。筆者が使用している共同通信社の記者ハンドブックでは、基本的に
というルールがあります。
そのため『ボージョレ・ヌーボー』も、「原音のフランス語に近く日本人に読みやすい表記」で書くということになりますが、「原音に近く」を再現すると、フランス語だけでなく英語読みもあるため、複数の書き方が出てきてしまいます。例えば『ボージョレ』だけでも
・ボージョレ
・ボジョレ
・ボージョレ―
・ボジョレー
と、伸ばしどころが変わります。さらに『ヌーボー』も
・ヌーボー
・ヌーヴォ―
と書き分けられます。
これを合わせると
・ボージョレ・ヌーボー
・ボジョレ・ヌーボー
・ボージョレ―・ヌーボー
・ボジョレー・ヌーボー
・ボージョレ・ヌーヴォー
・ボジョレ・ヌーヴォー
・ボージョレ―・ヌーヴォー
・ボジョレー・ヌーヴォー
と8通りの書き方ができてしまうのです。
各媒体で表記が違う『ボージョレ・ヌーボー』
『ボージョレ・ヌーボー』でも『ボジョレ・ヌーボー』でも、『ボジョレー・ヌーヴォー』でも間違いではなく、どれも同じものを指しています。そのため、どの表記を使うかは、各媒体が独自に選んでいます。
筆者の場合は、担当している媒体のほとんどが記者ハンドブックにのっとっていますので、記者ハンドブックが指定している書き方『ボージョレ・ヌーボー』で統一して書きます。
ちなみにこの記者ハンドブックも、2010年発行の第12版までは『ボジョレ・ヌーボー』表記で、16年の第13版から『ボージョレ・ヌーボー』に変わりました。昔の記者ハンドブックをずっと使っている人は、『ボジョレ』の方が馴染みがあるかもしれません。
今回筆者が見かけたテレビやウェブなどの『ボージョレ・ヌーボー』関連のニュースでは、日本テレビやフジテレビが『ボジョレ・ヌーボー』と表記。新聞各社、NHK、テレビ朝日、TBS、時事通信などは筆者も使っている『ボージョレ・ヌーボー』と表記していました。
またワイン通販店のENOTECA(エノテカ)は『ボジョレー・ヌーヴォー』、イオンは『ボージョレ・ヌーヴォー』でした。
(※あくまでも筆者がニュースやお店のウェブサイトなどで目にした表記です)
これだけ書き方があると、「自分の媒体がどの表記で書くのか」を理解していたとしても、一瞬戸惑ってしまいます。もちろん個人が『ボージョレ・ヌーボー』をブログやSNS等で紹介する場合は、自分にとって書きやすい、馴染みのある表記で問題ありません。
『ボージョレ・ヌーボー』を楽しめるこの時期。ニュースや店舗でどんな表記になっているかチェックしてみてくださいね。
ちなみに、ニュース記事などでは植物の表記は片仮名で書きます。今回の場合ですとワインを作る『葡萄』は『ブドウ』と表記します(詳しくはこちら:『檸檬』→『レモン』林檎→『リンゴ』―果物を片仮名にする理由【記者的言葉解説】)。
言葉に関する記事については「『子供』と『子ども』どっちで書く?―「こども家庭庁」の推奨は『こども』【記者的言葉解説】」もご覧ください。※スマホからご覧の方は、プロフィールからフォローしていただくと最新記事の見逃しがなくおすすめです。リアクションボタンもプッシュしていただけると、励みになります!
今後も記者目線で、「ちょ~っとだけタメになる(?)」言葉解説をつづっていきます。