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Googleフォームを活用したQSC改善戦略

三ツ井創太郎飲食店コンサルティング(株)スリーウェルマネジメント代表
(筆者作成)

飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表コンサルタントの三ツ井創太郎です。

これまでのコラムでは、QSCレベルを一気に高める!QSCチェックシートの作り方についてお話をさせて頂きました。QSCとは、Q:クオリティー(品質)、S:サービス(サービス)、C:クリンリネス(清潔さ)を表した言葉です。

和食店が導入して圧倒的効果を出したGoogleの無料アンケートツールとは?

お店側が、“QSCチェックシート”を用いてQSCレベルを高める取り組みを行っていたとしても、最終的に大切な事はお客様が実際にお店のQSCレベルに対してどう感じているか?ということです。お客様がQSCレベルを低いと感じていればせっかくの取り組みも意味がありません。

なお、今回の内容はYouTubeチャンネルでも解説していますので、よろしければ下記よりご覧ください。

(筆者作成)

そこで、当社のご支援先では、お客様のQSCに対する満足度を常にモニタリングするために「お客様アンケート」に力を入れてもらっています。

お客様アンケートと聞くと、紙に記入するアンケートを想像されると思いますが、アナログのアンケートだと集計等に手間がかかるため、デジタルアンケートの導入をおすすめします。

「デジタルアンケートシステムなどは、かなりの費用がかかるのでは?」

と思われる方も多いと思いますが、実は無料で使えるデジタルアンケートがあるのです。それは、Google社が無料で提供しているアンケート作成・分析ツールの「Googleフォーム」です。

Googleフォームを活用したアンケートでQSC改善と顧客データ獲得に成功

(写真:Photo AC)
(写真:Photo AC)

支援先の和食店を展開する企業の事例を紹介しましょう。

この企業は、漁港直送という強みを活かした地域密着型の人気和食店です。人気店という事で、既に多くのお客様から支持を得ていましたが、現状の人気に決して甘んじることがない社長はさらなるQSC向上を全社目標として掲げられていました。

そこで当社がご提案をさせて頂いたのが、「Googleフォーム」を活用したお客様アンケートの実施でした。Googleフォームでは、WEB上で自由に設問項目等を設定できます。その上でアンケートフォームのURLをQRコードにして、お店の卓上等に設定しておきます。

ここでポイントなのは、ただ単に卓上にQRコードを設置するだけでは、なかなかアンケートにご回答を頂くことはできないということです。アンケート回答率を高めるためには、何らかの特典を付与することが必要です。

この企業では、アンケート回答特典として、アンケートにお答え頂いた方に毎月抽選で10名様に名物商品の「漁港直送鮮魚盛り合わせ」をプレゼントすることにしました。こうしたアンケート回答特典を設けることで、アンケート回答率を格段に高めることが可能になります。

さらに、設問を工夫することもアンケート回答率を高める上では有効です。具体的には、お客様のアンケートの途中での離脱を減らすために、出来る限り回答は「記述式」ではなく「選択式」で行えるようにします。

特にスマホからの文章入力は手間がかかるため、記述式の回答は「メールアドレス」「お名前」「接客が良かったスタッフの氏名」「その他、料理サービスへのご意見」の4つのみとします。

料理、サービスへの評価に関しては、Googleフォーム内に予め搭載されているグリッド式の選択フォームを活用することで、複数の質問を短時間で回答頂けるようにすることも可能です。

(筆者作成)
(筆者作成)

グリッド式選択フォームを活用すると、スマホをスクロールする事なく、簡単にチェックを入れることができ、離脱率を下げることが可能となります。

Googleフォームを活用したアンケートの利点は他にもあります。お客様が送信したアンケート内容が、全てWEB上のGoogleスプレッドシートに自動集計される点です。Googleスプレッドシートとは、簡単に言うとWEB上で操作できるExcel(エクセル)のような機能です。

このGoogleスプレッドシートの自動集計機能により、お客様にご記入頂いた内容をエクセルにいちいち入力するなどの作業が一切なくなります。さらに、店舗のスタッフも、リアルタイムでお客様アンケートの結果を見ることができます。これによりお客様アンケートをDX化ができるのです。DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、一言で表すと「デジタル技術導入によるビジネスの変革」です。

そして月1回の店長会議では、必ずアンケート結果の振り返りを行うようにしています。

「スタッフがすぐに案内してくれなかった」

「エアコンが寒かった」

「茶碗蒸しが冷めていた」…

こうしたお客様のご意見に関して、店長会議で改善ノウハウ共有を行います。こうした日々の地道なQSC改善がお客様満足に繋がっていくのです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

(筆者作成)

<筆者プロフィール>

飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント

代表取締役 三ツ井創太郎

https://www.threewell.co/business

飲食店コンサルティング(株)スリーウェルマネジメント代表

㈳日本フードビジネス経営協会代表理事。飲食企業で店長、SV、事業統括の経験を経た後、2011年に東証一部上場のコンサル会社である(株)船井総合研究所に入社。飲食コンサルティング部門のリーダーとして数多くの飲食店支援を行う。2016年飲食店特化のコンサルティング会社(株)スリーウェルマネジメントを設立。「飲食店オーナー様に徹底的に親身なサポートを!」を理念に、個人店から大手チェーンまで日本全国の飲食店へ支援を行う傍ら、テレビのコメンテーターや行政、金融機関と一体となった飲食店支援も行う。著書「V字回復を実現する! あたらしい飲食店経営35の繁盛法則 」はアマゾンの外食本ランキングで1位を獲得。

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