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【飲食店経営の基本】QSCレベルを高める“QSCチェックシート”の作り方

三ツ井創太郎飲食店コンサルティング(株)スリーウェルマネジメント代表
(筆者作成)

飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表コンサルタントの三ツ井創太郎です。

これまでのコラムでは、飲食店の売上を上げる4つの方法とQSCの関係性についてお話をさせて頂きました。QSCとは、Q:クオリティー(品質)、S:サービス(サービス)、C:クリンリネス(清潔さ)を表した言葉です。

QSCレベルを一気に高める!QSCチェックシートの作り方

QSCレベルを高めていくためには、まず自店のあるべき姿=QSC基準を定めていく事から始めます。

QSC基準は基本的には「お客様が来店されてから退店されるまでの流れ(ストーリー)」を可視化したものです。

そして、このQSC基準を帳票に落とし込んだものが「QSCチェックシート」です。

なお、今回の内容はYouTubeチャンネルでも解説していますので、よろしければ下記よりご覧ください。

(筆者作成)

自社オリジナルのQSCチェックシートを作る際には、細かいQSCチェック事項を決めていく前に、まずは5つの重点カテゴリーから整理をしていきます。

①店舗環境

毎日見ていると慣れてしまいがちな店舗外の照明や看板の状態、店内の照明、装飾物、メニュー、備品、清掃状態等のあるべき姿を定めていきます。コロナ禍においては検温機器やアルコール消毒用品の設置や汚れ等のチェックも重要です。

②基本事項

経営理念の浸透度合いや、身だしなみなど、店舗運営における基本的事項のあるべき姿を定めていきます。

③商品力

名物商品や季節のおすすめ商品、オーダー率が高いAランク商品(生ビール等)のクオリティーのあるべき姿を定めていきます。お店のコンセプトによっては「インスタ映え」等を意識した盛り付け基準等も重要性が増してきています。

④サービス

お客様が来店されてから、退店されるまでの接客の流れ(接客ストーリー)のあるべき姿を定めていきます。お客様とのコミュニケーションをはかるポイント(顧客接点)を予め接客ストーリーに盛り込んでおく事も重要です。これからの時代は単なる「物=商品、空間」の付加価値だけでは無く、スタッフとのコミュニケーション等を含めた「事=体験」の付加価値を高めていく事が重要です。

⑤衛生管理

厨房内の清掃状況や、食材の品質管理、調理手順、衛生管理ルール等についてのあるべき姿を定めていきます。コロナ禍ではスタッフの検温や体調管理を行い記録として保管するお店も増えました。

これら5つのカテゴリーに沿って、自店のあるべき姿を細かく設定していきます。QSCチェックシートの参考例を以下に掲載しておきます。

(筆者作成)
(筆者作成)

(写真:Photo AC)
(写真:Photo AC)

ぜひ、このQSCチェックシートをベースにミーティングをしながら、店舗スタッフの皆さんとQSCチェック項目を作ってみて下さい。社長や本部から一方的にQSCチェック項目を押し付けても、中々定着しません。

大切なのは皆で議論してQSC基準を決めていく事です。

スタッフ間でのQSC項目設定の議論をしていくと、

「お客様へのLINE会員のご案内は、デザートの前が良いのではないか?」

「おすすめ商品のご案内トークは、こうした方が良いのでは?」

といった意見が出てきます。

こうした議論を通じてスタッフのチェック項目への納得性が高まる、つまり「腹落ち」していくのです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

(筆者作成)

<筆者プロフィール>

飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント

代表取締役 三ツ井創太郎

https://www.threewell.co/business

飲食店コンサルティング(株)スリーウェルマネジメント代表

㈳日本フードビジネス経営協会代表理事。飲食企業で店長、SV、事業統括の経験を経た後、2011年に東証一部上場のコンサル会社である(株)船井総合研究所に入社。飲食コンサルティング部門のリーダーとして数多くの飲食店支援を行う。2016年飲食店特化のコンサルティング会社(株)スリーウェルマネジメントを設立。「飲食店オーナー様に徹底的に親身なサポートを!」を理念に、個人店から大手チェーンまで日本全国の飲食店へ支援を行う傍ら、テレビのコメンテーターや行政、金融機関と一体となった飲食店支援も行う。著書「V字回復を実現する! あたらしい飲食店経営35の繁盛法則 」はアマゾンの外食本ランキングで1位を獲得。

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