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「ウェディングケーキ捨てた」コンビニや飲食店で捨てられる食べ物の実態 バイトの大学生101名に聞いた

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(ペイレスイメージズ/アフロ)

2018年6月12日、専修大学商学部で「マーケティングを学ぶ学生として“食品ロス”についてどう考えるか」の講義を114名に行なった。同時にアンケートを実施し、飲食関係でアルバイトをしたことがあるかどうかを聞いたところ、114名中、101名(88%)が「ある」と答えた。(アンケートは、朝日ネットが開発したリアルタイムアンケートシステム、respon:レスポンを利用)

アルバイト経験者に「仕事で食べ物を捨てたことがあるか」と聞いたところ、86%に当たる98名が「ある」と答えた。そこで、具体的に、どんな食べ物をどれくらい捨てたかについて聞いてみた。主な業種別に自由意見をまとめた。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

コンビニエンスストア

ー廃棄処理業務。数時間に一度の賞味期限切れ商品の有無をチェックし、そういったものを廃棄物として、レジで当該商品を登録し、袋詰めにして捨てていた。だいたい、一度当たり20〜30点近くの商品があった。当然、賞味期限のあるものになるので、対象は食品のみであった。(おにぎり、お弁当、肉まんなど)

ーコンビニでアルバイトをしているのですが、おにぎりやお弁当、パンやパスタなどを、1日に買い物カゴ4つ分くらい、廃棄として捨てています。

ーおにぎりや弁当、ホットスナック、スイーツ系などを廃棄した経験があります。

捨てる量は全部で50個ぐらい。野菜や肉、デザートなど。

ーお弁当やパン、おにぎりなどを毎回10〜15個ほど捨てる。

ー賞味期限切れのお弁当をたくさん捨てました(筆者注:おそらく販売期限切れ。コンビニでは賞味期限・消費期限の手前に設定された販売期限で棚から撤去するよう、商品をかざす機械に設定されている)。

ー賞味期限が切れたお弁当やサンドウィッチやおにぎりなどを1回のバイトで30個ぐらい捨てました(筆者注:おそらく販売期限切れ)。

ー賞味期限切れの食べ物を廃棄として捨てています。(筆者注:おそらく販売期限切れ)日によって量は違いますが、多い時は買い物カゴ2つがいっぱいになるくらいです。

ー賞味期限切れの弁当や惣菜、おにぎりなど、食べ物全般は捨てたことがあります。

ー消費期限切れになるものを買い物カゴいっぱいに毎日捨てている。

ーお弁当やおにぎり、パン等を廃棄として、平均1万5千円程(筆者注:おそらく売価)は、シフトの時に廃棄します。

ー廃棄処分のお弁当など。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

ファストフード店

ー提供する全ての食べ物において、一定の時間を過ぎると廃棄する。

ー某ファストフード店で調理の業務を行なっていますが、ハンバーガーを作る際の肉、野菜を保管できる時間を過ぎるたびに大量に捨てていました。廃棄として、残ったものは全て捨てていました。

冷やし中華(筆者撮影)
冷やし中華(筆者撮影)

レストラン・定食

ーレストランバーで、お客様の残した料理を毎回捨てるのですが、残される量はお客さんの来た目的によって基本二分されていて、もちろんご飯を食べに来た方は比較的残さず帰ってくれるのですが、お酒を飲みつつと言うお客さんは、料理をある程度頼んでつまむという感じで、残す確率が高いです。残される料理の種類は時間で味が落ちやすい揚げ物やパスタなどが多く、その量は完全にお客様によるので、一概には言えません。

ーハンバーグ屋さんで、ハンバーグや盛り合わせのチキン、フライ、サラダなどを捨てました。

ーホールの仕事でお客様の食べ残しを捨てています。ばらつきがありますが、大きいゴミ袋を2袋分は捨てています。

ーホールなのであまり分かりませんが、間違って揚げたものは捨てる。

ーお客様の残飯や店側のロス食品を1日何十回と捨てている。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

ー定食屋。米(コメ)は炊飯器に残っている分、全て。漬物や肉はその日によって異なるが、ゴミ袋1袋以上になる。

ー定食屋で、ご飯を炊飯器に残っているだけ全て。日によりますが、1合以上。漬物類、残っているだけ全て。

ー日本料理店、洋食店、どの店でも一旦お客様に提供して残ったものは全て捨てていました。かなりの量を捨てていました。

ー和食の料理店で、3分の1くらいは捨てていたと思います。

ーストアで売っている惣菜の売れ残りを捨てています。

ーお客さんの食べ残しや、賞味期限切れにより捨てました。

ーお客さんが食べ残したご飯、餃子。

餃子と豆苗の炒め物(筆者撮影)
餃子と豆苗の炒め物(筆者撮影)

ー1日にたくさんの食べ残しを捨てます。

ーお客様の食べ残しを毎日のように多数捨てました。

ー揚げ物など1日1キロくらい。

ー野菜。もやしの袋が空いていて、水が出ていて、軽く臭い匂いがしたため、捨てた。

ー海鮮居酒屋で。お客様の残された料理を捨てた。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

居酒屋

ー和食居酒屋で洗い場をやっていました。お客様が残したものを廃棄しました。気取った、お金遣いが荒そうな方が、平気で残して帰ります。

居酒屋の生ビール(筆者撮影)
居酒屋の生ビール(筆者撮影)

ー余った食品を捨てていました。賞味期限が切れている食材を丸ごと捨てていました。量でいうと、宴会などではゴミ袋1個分とかでした。

ー焼き鳥のお店。焦がしてしまった焼き鳥は約10本や、落としてしまった野菜約50グラムくらいは常に捨ててしまっていました。さらに、お店で決まっている食品の提供期限を過ぎていたり、腐ってしまっているものも、日によりますが捨てていました。

ー焼き鳥で、鶏肉を10から20本捨てました。

ー焼き鳥を捨てました。

ー焼き鳥屋の居酒屋のアルバイトで期日切れの鶏肉を廃棄しています。

ー団体客の揚げ物や卵焼き、ちらし寿司の米(コメ)などを半分以上捨てた。

ーお客さんが残した食べ物。団体様の時は70リットルのゴミ袋いっぱいくらい。

ーお客様が食べ残したもの。多い時は70リットルのゴミ袋2つくらい。

専修大学商学部での講義風景。壇上、右側は渡辺達朗先生(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景。壇上、右側は渡辺達朗先生(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

ー宴会で出た食べ物の残りや、揚げ物に付いているレタスやキャベツは、賄いなどに利用できないので、どうしても捨ててしまいます。

ー宴会の時に出すポテトフライや焼きそばを6人前くらい捨てた。

ー揚げ物やおつまみなど残り物を卓につき3皿分くらい捨てました。

ーお客様の食べ残し。主に添えている野菜などが多かった。一度の量は少ないが、重なると多い。

ー調理したスタンバイ品や生肉、野菜、卵など、3日に1回程度の回数で、タッパー1箱分くらい捨てました。

ー落としてしまった食べ物や、消費期限までに使いきれなかったものなど。オーダーでミスして出してしまった食品は、従業員で食べたり、賄いの材料に使っているので、そこまで多くは捨てていなかった。

ー鍋の残り物や、魚の焼き物の残り物を、ゴミ箱に1杯くらいは捨てました。

ーお鍋屋さんで働いています。その日に切って余った肉は、全てかなり捨てています。その日によって量は様々ですが、かなりの量を捨てています。

ー魚・肉・野菜類を、1日大人数の量捨てていた。

ーお通しがキャベツの千切りを食べ放題という形態をとっているのですが、残すお客様もいて、毎日ゴミ箱の半分はキャベツという状態です。

市場で廃棄される新鮮なキャベツ(筆者撮影)
市場で廃棄される新鮮なキャベツ(筆者撮影)

ーお客さんの残したものを捨てた。少ししか手をつけていないものも捨てなければいけないと言われたので捨てた。

ー焼き鳥、たくさん。

ーお客様の残されたお食事を毎回少量でありますが捨てました。

ー客の食べ残しを毎回捨てました。

ー客の食べ残し等。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

焼肉

ー焼肉食べ放題で、一部は賄いになるが、ある程度、手をつけていたりすると、即廃棄になり、大半が捨てられてしまう。

ー焼き過ぎてしまったもやしや焦げたお肉などを1日で100グラムぐらい捨てていました。

ーご飯もの(白米や麺類)の残り、前菜の残りを捨てています。また、日付がすぎて、傷んだスープや野菜も捨てています。

ー部位の食べられなくはないが、質の悪い部分、各部位の10分の1ほど。

焼肉(筆者撮影)
焼肉(筆者撮影)

パン

ーその日に焼いたパン、サンド等を、1日5kg弱ほど捨てている。

ー毎日パンをゴミ袋3袋分ほど捨てていました。

ー毎回パンをゴミ袋2つ分くらい大量に捨てています。

ー大きなゴミ袋2〜5袋程度。

ー毎日ゴミ袋2袋パンパンになるくらい捨てられていました。日によっては1袋の半分のこともありましたが、だいたい、大量に捨てられていました。さらにお客様が素手で触ってしまったパンも破棄していました。

ーかなりの量を捨てていました。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

ケーキ

ーケーキの店頭に置いて、3日経過すると捨てます。だいたい3日に1度、ホールケーキ2つ、小さいカットしたケーキを5個くらい捨てていました。

ーケーキを1日2ホール分くらい。

ーケーキが数個ほど捨てられていた。

カフェ

ーお客様が食べ残したもの。多いときは70リットルのゴミ袋2つぐらい。

ー焼き菓子を10個以上は捨てています。

ーゴミ袋1袋分くらい。

ーパンとケーキ。毎日作ったものが残った分だけ。

ーお客様の食べ残しよりも、売れ残りで賞味期限が切れたものを毎日大量に捨てている。

ーサンドウィッチの仕込みで、キュウリ・パンなど、その料理では使わない部分を切って捨てていた。

ータピオカドリンクの店で、タピオカや、廃棄になったドリンクをかなりの量捨てた。

牛丼チェーン

ー客の食べ残しや失敗した料理を捨てた(1日8キロ以上)

ーお客さんの食べ残しを捨てました。

ー日によって違うのですが、食べ残しがあった場合に捨てていました。

ー牛丼や味噌汁をたくさん捨てた。

しゃぶしゃぶ

ーお客様の食べ残しの物や、野菜が傷んでいてお客様に提供できないものを捨ててしまった。1回の量は少ないが、全てをまとめると大変多い量になると思う。

ー野菜の賞味期限には人一倍気を配り、腐敗していないかに留意して取り組んでいる。たとえば、レタスやキャベツ、加えて加工されている肉などが賞味期限を切れていた場合、賄いに回すが、それでも間に合わない場合は捨てる。頻度はまちまちだが、1週間に2回程度と感じる。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

イタリアン

ーお客様が残した食べ物や、ロスのケーキや飲み物を頻繁に捨てています。

ー2〜3食分捨てました。

ピザ

ー毎日売れ残ったピザやクレープの生地を捨てました。量は日によって変わります。

ー宅配ピザ屋で間違えてメイクしてしまったピザは、全て廃棄していました。

ピザ・マルゲリータ(筆者撮影)
ピザ・マルゲリータ(筆者撮影)

ラーメン・つけ麺

ー注文と間違えた場合に、全て破棄するマニュアルでした。

ーつけ麺屋で食べ残しをいっぱい捨てています。

寿司

ーたくさん。

握り寿司(筆者撮影)
握り寿司(筆者撮影)

カレー

ーお客様が食べ残したカレーやサラダなどを1日に約2キロほど捨てていた。

中華

ー餃子やその他の食べ物(キャベツ、レタス、ニラ、もやし、人参など)をごみ袋2つ分くらい捨てた。

韓国料理

ーお弁当も出しているので、時間が切れたものや余ったものは全て廃棄されています。また、ランチセットとして出すサラダも、使い切らなかったら次の日に持ち込まず、その日のうちに捨ててしまいます。

ビビンバ(筆者撮影)
ビビンバ(筆者撮影)

パスタ

ー量を茹で間違えたパスタや食材を捨てていました。

とんかつ

ー客の食べ残し、添えられているキャベツ。

ブライダル

ウェディングケーキなど食べられない分は捨てました。

アイス

ー作り前違えたアイスを全部捨てました。

カラオケ店

ーポテトや唐揚げ、ピザやサラダをいっぱい捨てています。

ビアガーデン

ー食べ放題の唐揚げを毎日大量に捨てていました。

中食(持ち帰り)

ー惣菜等を、1日に数えきれないほど。

ドラッグストア

ー乳製品、パン、チルド製品、野菜など、たくさんの食品を廃棄しました。

ヨガスタジオ

ー消費期限が過ぎたやつ。

専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)
専修大学商学部での講義風景(専修大学商学研究科 商学専攻 山崎万緋氏撮影)

以上、学生からの生のコメントを挙げてみた。ありとあらゆる業態で、様々な食べ物を定期的に廃棄していることが伺える。

2030年までに世界で達成すべき17の目標、SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)(国連広報センターHPより)
2030年までに世界で達成すべき17の目標、SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)(国連広報センターHPより)

2015年9月に採択されたSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)では、2030年までに、世界の小売・消費レベルでの食料廃棄を半減させる目標を定めた。

農林水産省は、食品関連事業者の業界ごとに発生抑制の目標数値を定めており、この中に飲食店やコンビニエンスストアの減らすべき目標数値も設定されている。

農林水産省が定めている食品事業者の食料廃棄発生抑制目標値(農林水産省資料筆者パワポ作成)
農林水産省が定めている食品事業者の食料廃棄発生抑制目標値(農林水産省資料筆者パワポ作成)

コンビニエンスストアや飲食店、宿泊業などを営む企業には、政府が提示しているこの目標値を改めて確認して頂きたい。

また、「客の食べ残し」という回答も目立った。企業側だけに責任を押し付けるのではなく、われわれ消費者も、食べられる分だけ注文するようにしたい。その方が、払うお金も少なくて済むはずだ。

参考資料:

農林水産省 食品廃棄物等の発生抑制の取組 業種別目標値の一覧

大学生109名に聞いた 飲食店バイトで捨てる食べ物

スーパーマーケットで捨てる食べ物 社員291名に聞いた結果

飲食店バイトで捨てる食べ物 大学生170名に聞いてみた結果は?

飲食店でバイトする学生はどんな食べ物をどれくらい捨てているのか 

飲食店バイトで捨てる食べ物 調理師専門学校44名に聞いてみた結果は?

飲食店でバイトする6人が語る「わたしたちが捨てている食べ物」

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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