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飲食店バイトで捨てる食べ物 大学生170名に聞いてみた結果は?

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
世界の食料、半分が無駄に、英団体が報告書(写真:ロイター/アフロ)

2018年1月13〜14日は、大学入試のセンター試験が行なわれる。

2018年1月10日、東洋大学経済学部・国際地域学部の2〜4年生170名に「日本と世界のフードロス(食品ロス)」と題して講義を行なった。それと並行し、東洋大学に導入されており、朝日ネットが開発したシステムrespon(レスポン)を活用してアンケート調査を行なった。その調査結果についてご紹介したい(大学側の許可を得ている)。

質問は5項目。まず最初は、「飲食関係でのアルバイト経験の有無」である。

飲食店などでアルバイトをしたことがあるか(n=170)
飲食店などでアルバイトをしたことがあるか(n=170)

170名中、アルバイトをしたことのある人、今している人は、125名。全体の74%にあたる。

次にその仕事で食べ物を捨てたことがあるかどうかについて。

飲食店の仕事で食べ物を捨てたことがありますか?(n=170)
飲食店の仕事で食べ物を捨てたことがありますか?(n=170)

これは全員を対象にしているため、アルバイトしていない人も回答しているが、アルバイト経験者125名のみでみてみると、そのうち109名、すなわち87%が「捨てたことがある」ことがわかった。

どんな食べ物をどれくらい捨てたかについては、後述する。

次に、スーパーなどで買い物する時、棚の奥に手をのばし、日付の新しいものを選んだ経験があるかどうか。

スーパーやコンビニで買い物する時、棚の奥に手をのばして日付の新しいものをとったことがあるか?(n=170)
スーパーやコンビニで買い物する時、棚の奥に手をのばして日付の新しいものをとったことがあるか?(n=170)

全体のうち、61%にあたる104名が「ある」と答えた。

そして、冷蔵庫に入っている卵の賞味期限が1日だけ過ぎていた場合に、捨てるか、捨てないかについて聞いた。市販の卵のパックには「賞味期限が過ぎた場合、加熱調理して早めに食べる」ことを推奨する文章が書かれている。

冷蔵庫の卵の賞味期限が1日過ぎていたら捨てるか、食べるか(n=170)
冷蔵庫の卵の賞味期限が1日過ぎていたら捨てるか、食べるか(n=170)

「捨てる」と答えたのは全体の15%(n=26)で、77%にあたる132名が「火を通すなどして食べる」と答えた。

では、飲食関係のアルバイトをしている大学生は、どんな食べ物をどれくらいの量捨てているのだろうか。これについては自由回答で答えてもらった。

事情が不明なものもあるが、大きく、「店側の都合によるもの」と「客側が原因のもの」について、いくつか挙げてみる。

飲食店側の都合により捨てているもの

「本日付でマークアウトになる、サンドウィッチやドーナツ、ケーキなど、その日次第で量は変わるが、かなりの量を捨てた。1日あたり3kgくらい?」

「仕込みの準備をしたもの、商品の端(筆者注釈、切って残った端っこ?)」

「クレープの焼き損じ(破れてしまったものなど)を、お店で20〜30枚、毎日捨てていました。作り間違えたものは、もらって食べていました」

「スーパーで、賞味期限は基本廃棄にしているため、お惣菜など、アソートボックス2つ分ほど」

「食肉を形を決めてカットすると余るものや、脂身のバランスの崩れた部位など。食材をうっかり床に落とせばそれも使えないので簡単に捨てる」

「野菜関係、腐ってはいないが、消費期限きれのため、一週間のうちに5kgほど。生肉なども、冷蔵庫保存だとすぐ悪くなるため、ちょくちょく捨てる」

「料理の材料など。設定時間が経つと捨てることになっていたので、かなりの量を捨てた」

「落としたパンを数個」

「回転寿司のチェーン店で、食べ残しだけでなく、回っているお寿司の古くなったものなどもたくさん捨てられるので、量はかなり多かった」

「サンドウィッチとパスタを毎日たくさん捨てます」

「焼肉店でバイトしていますが、キムチ類などを結構捨てています。キムチは発酵食品なので、日持ちがあまりよくなくて、匂いや味が悪くなってしまうので、廃棄しています。プラスティック容器1パック分くらい」

「魚介ベースのパスタやサラダを小さいゴミ箱1箱分ほど必ず出る(3時間半から4時間の間に)」

「パンを大量に。多いときはゴミ袋2袋くらい」

「回転寿司でバイトしていたので、乾いているものやオーダーミスをしたものはすぐに捨てていました」

「余ったライスを最大で1キロ」

「ラーメン屋で10kg以上のチャーハンの材料や餃子」

「日によって違いますが、1回の廃棄チェックで1万円分くらいの量を廃棄していました」

「ロスしたご飯を3合、串エビを数十匹、マグロ切り身を300g」

「加工肉10枚、おにぎり一日50個、加工弁当1日10食」

「ハンバーガー店で使う肉を、時間が過ぎたらある分だけ捨てた」

次に客側の都合によって捨てるものを挙げる。

顧客側の原因によって捨てるもの(食べ残しなど)

「食べ残しを、毎営業日ごとに、45リットルの袋に2つくらい」

「ホテルの宴会で出た料理。平均で、一回の宴会あたりゴミ袋2つ分くらい」

「団体客の残りを多数。印象的なのは、米は食べない方々が残していくお米です」

「お客が残すものやレーンで回っても誰も取らなかったお寿司を1日でゴミ袋3袋分」

「ランチとディナーをやっているのですが、ランチはご飯を残す人も多くいる。ディナーでは日本人(特有)の、一個だけ残す、などが目立つ」

「ビュッフェやコースの食べ残りの食べ物 1回で15kgくらい」

「ピザ、肉、唐揚げ。パスタ皿半分。女性の方が多く捨てられて(筆者注釈「残されて」?)いました」

「お客さんが食べ残したラーメン」

「客が残したステーキをしょうがなく捨てた」

「お客さんの食べ残し。サラダ、揚げ物、ご飯ものなど、数えきれないくらい」

以上、意見はまだまだ頂いているが、主なものを挙げてみた。

以前、お店側からお客さんにご飯の量を訊くことや、お客側から「少なめに」と申告することなど、食べ残しを減らすための方策を紹介した。食べ残しの廃棄を減らすために、店側でできること、客側でできること、両方あると思う。

参考記事:

飲食店でバイトする学生はどんな食べ物をどれくらい捨てているのか 

飲食店でバイトする6人が語る「わたしたちが捨てている食べ物」

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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