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Netflixの食ドキュメンタリー「美味の起源」の映像が美味しそうに過ぎる(おすすめ動画URLつき)

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト
中華圏(特に北部)で愛される羊肉串。筆者撮影

Netflixで配信されている、海外の食ドキュメンタリーの充実ぶりが凄まじい。

異国の知らない奥地に分け入り、そこにある現地の食について、まるで自分が現地に赴いているかのように伝えてくれる場組が続々配信されるようになった。

とりわけ最近熱いのがアジア圏の番組だ。中国、韓国、タイなどで長く継がれてきた、庶民の食を深掘りした番組の熱量とクオリティが実に凄まじい。視聴者の知的好奇心に火を灯す未知がある。

翻って日本の地上波はどうかというと、本格的な食ドキュメンタリーは皆無に等しい。視聴者をバカにしたような番組作りを続けているうちに、制作側もどうにかなってしまったのではないかという疑念すら湧く。現在の日本の地上波(特に初見の番組)を視るときには、「遅い展開」「薄い内容」「必然性の欠如」を覚悟して視ることにしている。

そう考えると、2021年は最高だ。これが10年前ならうっすらとした腹立たしさは覚えても、BSやCS含めてもいまほど多彩な番組はなかった。いまも自国製の良質な食ドキュメンタリーの少なさは絶望的ではあるが、海外勢を中心に良質なコンテンツはあふれているからだ。。

そして僕をNetflix(のアジア圏)食ドキュメンタリーにずっぽりハメてくれた番組が「美食の起源」である。2019年にスタートして、現在3シーズン分が配信されている。潮州、雲南、甘粛という3州で各1シーズンずつ。一本あたり10~15分程度で各回は食材、もしくは料理のワンテーマで構成されている。

広大な中国では、いまなお地域ごとに古き郷土食の特徴が色濃く残る料理が住民の身近にある。僕が「美食の起源」に触れたのは中国の北西部「甘粛」編だった。甘粛省は中国の北西部にある。省都は蘭州市。日本でもこの数年増えてきた「蘭州牛肉麺」のお膝元である。

もっとも甘粛の第一回は牛肉ではない。羊肉だ。紹介される料理は、生後8か月の羊肉の炒めや煮込み、といった日常のメニューから始まるが、この回のハイライトは北西部の嘉峪関(かよくかん/拼音:Jiā Yù Guān)という、万里の長城の最も西部にある要衝の町で親しまれる羊肉メニューだ。

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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