阪神タイガースジュニア2021、初めての甲子園練習で弾けた笑顔
■初めて足を踏み入れた甲子園球場に興奮
「うっわ~っ!」
「まじか!」
「やっば!!」
「えっぐ~!!!」
「〇*▲%□§ΦΣΨ…」
晴れ上がった青空に、緑の天然芝と土のグラウンドが映える阪神甲子園球場。そこに現れたのは「阪神タイガースジュニア2021」のメンバーたちだ。この日は甲子園球場に隣接する新室内練習場で練習を行うと聞かされていた彼らは、室内でアップを終えたあと、黙って球場に案内された。
一塁側内野席とアルプス席の間の通路を通って眼前に広がるグラウンドを見た瞬間、口々から冒頭の歓声が飛び出した。あまりの感動からか、もはや言葉になっていない。
小学生とはいえ、いっぱしの“野球人”である。聖地と称される甲子園球場は憧れの場所だ。その地を踏めるなんて、こんなに嬉しいことはないだろう。
10月頭に冬芝の種を蒔いたという外野の芝は順調に育ち、鮮やかな輝きを放っている。内野の土は凹凸なくきれいに整備されている。甲子園球場は最高の状態でジュニアたちを出迎えてくれた。
「サプライズです(笑)」。
代表の中村泰広氏は、してやったりとばかりにニヤリ。ジュニアたちには内緒にして驚かせたかったのだ。もちろん彼らの保護者にも知らされておらず、保護者のみなさんも興奮を隠しきれない様子だった。中には元球児のお父さんもおり、もしかすると子どもたち以上に胸を高鳴らせていたかもしれない。
このように度々、ジュニアや保護者を喜ばせることをしてくれる。約4カ月という短い期間のチームだが、より楽しく充実した思い出を作ってもらいたいという心遣いからだ。
練習が始まってもジュニアたちのテンションは上がりっぱなしだった。キャッチボール、シートノック、バッティング回り…といつものように練習メニューは進んでいくが、いつも以上に笑顔が弾け、いつもの何倍もの大きな声が響いた。心なしか、打球もいつもより飛んでいたような気がする。
しかもこの日は通常の練習用ユニフォームではなく、配布されたばかりのタテジマを着ての練習だった。これは阪神タイガースの選手が着ているユニフォームとまったく同じもので、「NPB12球団ジュニアトーナメント」に参加するジュニア選手だけの特権なのだ。
タテジマを着て甲子園球場で躍動するジュニアたちの姿は頼もしく、とても眩しかった。
練習後に「これ見て!」と示してきた永井仁之丞くんのユニフォームのズボンを見ると、緑色に染まった箇所があった。外野でノックを受けたときにスライディングしたのか、芝で着色したようだ。これはタイガースの選手にもよく見られるものだが、天然芝である証しなのだ。永井くんのドヤ顔にも虎戦士の誇りがにじんでいた。
■無傷の6連勝
さて、ここまで練習とともに練習試合を行ってきたが、まずは6試合目までをお伝えしよう。なんと6戦全勝である。兵庫県下では強豪といわれるチームや中学生を相手にして、だ。
ではここまでの戦いを振り返ろう。
*1試合目 9月25日 VS東播ナインストリーム
東播 001 001 0=2
阪神 201 023 ×=8
バッテリー=石野、永井、赤司―筧
本塁打=磯﨑、筧
三塁打=木ノ下、筧
二塁打=磯﨑、多井
盗塁=大西蓮、井本
*2試合目 9月26日 VS関メディベースボール学院 中等部
関メ 000 000 0=0
阪神 110 202 ×=6
バッテリー=辻、中島、永井―筧
三塁打=井本
二塁打=有本、木下2、大西奏、多井
盗塁=井本
*3試合目 9月26日 VS関メディベースボール学院 中等部
阪神 205 212 0=12
関メ 000 002 0=2
バッテリー=井本、多井、赤司―木ノ下
二塁打=石野2、辻、大西蓮2、川口、筧
盗塁=大西蓮2、中島、木ノ下
*4試合目 10月9日 VS北豊中友好会 中学部
阪神 110 010 3=6
北豊 100 000 0=1
バッテリー=赤司、辻、中島―筧
本塁打=井本、大西蓮
二塁打=大西奏、大西蓮、磯﨑
盗塁=筧、細川、多井
*5試合目 10月9日 VS北豊中友好会 中学部
北豊 000 000 3=3
阪神 510 010 0=7
バッテリー=多井、石野、辻、井本―木ノ下
本塁打=井本
二塁打=井本、辻、中島2、大西蓮
*6試合目 10月16日 VS報徳学園中学校 軟式野球部
報徳 000 000 000=0
阪神 025 020 145=19
バッテリー=多井、永井、赤司―筧
三塁打=筧、中島
二塁打=磯﨑、大西奏、辻、山口2
盗塁=細川、有本、石野3、筧、辻、大西蓮、川口
ここまでの結果から、今年のタイガースジュニアの特徴が見てとれる。まず長打力のある選手が多い。さらに盗塁、走塁の意識が高い。常に次の塁を狙う姿勢が見られる。そして四死球が少なく安定した投手力を誇る。また高い守備力を擁し、エラーも少ない。
チーム防御率は1.43、チーム打率は.381である。
■投打の成績
では6試合目までの上位成績を部門別に紹介しよう。
《投手成績》
*防御率
1.中島 0.00
1.辻 0.00
1.井本 0.00
4.赤司 1.00
5.石野 1.42
*投球回
1.赤司 9回
2.永井 7.1回
3.辻 7回
4.石野 6.1回
5.多井 6.0回
《打撃成績》
*打率
1.細川 .625
2.石野 .615
3.大西蓮 .591
4.中島 .500
5.木ノ下 .467
*打点
1.大西蓮 8
2.辻 5
3.川口 4
3.中島 4
3.筧 4
*本塁打
1.井本 2
2.磯﨑 1
2.大西蓮 1
2.筧 1
*安打
1.大西蓮 13
2.石野 8
3.木ノ下 7
4.中島 6
5.磯﨑 5
5.筧 5
5.辻 5
5.細川 5
5.井本 5
*出塁率
1.細川 .667
2.石野 .643
3.大西蓮 .609
4.中島 .500
5.木ノ下 .467
*長打率
1.磯﨑 .917
2.大西蓮 .909
3.中島 .833
4.石野 .769
5.井本 .737
*盗塁
1.大西蓮 4
2.石野 3
3.筧 2
3.細川 2
3.井本 2
先週末からは他球団のジュニアチームとの練習試合も始まり、まずはオリックス・バファローズジュニアに連勝した。ジュニア同士の対戦は、12月末の本大会「NPB12球団ジュニアトーナメント」に向けての腕試しにもなる。
ジュニアチームを相手にしての戦いぶりは、また追って紹介する予定だ。
あと2ヶ月弱で何を吸収し、どう成長していくのか。元気いっぱいの「阪神タイガースジュニア2021」を見守っていきたい。
(本文中の写真提供:阪神タイガースジュニア2021保護者会)