家系ラーメンの隠れ暖簾分け! 「武蔵家」御茶ノ水店が「隠れ三浦家」として継承
横浜家系ラーメンのブームが止まらない。元祖「吉村家」の直系のお店からインスパイア店、"資本系"と呼ばれるチェーン店まで各地でしのぎを削っている。
その中でも90店舗弱の暖簾分け店を持つ「武蔵家」の動きが本当に面白い。
1997年創業の「武蔵家 中野本店」を本店とし、各地に支店、暖簾分け店が広がっている。吉祥寺にも別の「武蔵家」があることから、「新中野武蔵家」と呼ばれている。
フラッグシップ店「三浦家」の存在
各地での支店展開のほか、2021年には総大将の三浦慶太さんが自らの名前を冠したフラッグシップ店「三浦家」を葛飾区金町にオープン。
「『武蔵家』の本気を見せる」がコンセプトで、スープの炊き方からカエシの醤油感、ひいては店づくりや接客に至るまで、三浦さんの本気を追求したお店だ。
先日発表された「TRYラーメン大賞」では新店のとんこつ部門2位に選ばれた。
御茶ノ水店を「隠れ三浦家」に
そんな三浦さんのTwitterで興味深い投稿を見つけた。
るいの熱意に負けました
武蔵家御茶ノ水を正式に三浦家ism継承店として認めようと思ってます
朝ラーが始まるのが10月24日
都心部で三浦家が食べれる日も近いです
(10月14日)
来たる10月25日
三浦家継承店【武蔵家御茶ノ水】
STARTします! 名前は武蔵家
味と心意気は三浦家《隠れ三浦家》
初日は仕込みから僕も居ますので是非来て下さいっ!(10月19日)
数ある武蔵家の中から御茶ノ水店を「三浦家継承店」として認めるという。いったいどういうことなのか、取材してみることにした。
「いちばんはお店の空気感です。今御茶ノ水店で店長がいる時に目をつぶれば『三浦家』にいるような錯覚になると思います。この空気感こそが『隠れ三浦家』なんです。まずはここをいちばん大切にしています」(三浦さん)
「武蔵家」には接客のマニュアルは無い。個々のお店がベストな接客を模索していく。
特に「三浦家」の接客は光るものがあり、自然でやりすぎ感がなく気持ちが良い。
今回、御茶ノ水店でも全く同じ印象を受けた。
明治大学の目の前にあるお店で、学生のお客さんがたくさんいるが、それぞれのお客さんに元気に声をかけている。サラリーマンには帰りがけに「お仕事行ってらっしゃい!」と声をかける。
こういった接客は、マニュアルに縛られていると時にやりすぎ感が出るものだ。「三浦家」や御茶ノ水店の店員は心からの自然の声で接客していることが伝わってきて、本当に気持ちが良い。これはなかなかできることではない。
「武蔵家」と直系のハイブリッドスープ
さらには、スープの作り方も「三浦家」流にしている。
「スープについては完全に変えることはせず、以前のものと『三浦家』の間をとっています。
寸胴の底の方のガラは動かさずに煮込んで、その上に積んだガラを頻繁に変えることでフレッシュ感を出しています。ひとつの寸胴で煮込む本来の『武蔵家』っぽさと、直系店のようなフレッシュ感を同時に出すわけです。煮詰めるのではなく、煮込んだところに新しいガラを頻繁に入れることで濃厚さと肉のパンチが共存します」(三浦さん)
カエシは以前のものに「三浦家」の生醤油を加えることで塩分濃度を下げ、その分カエシの量を増やして、より醤油感が強くなるようにしている。
さらに鶏油は、元々は煮出して作っていたが、今は「三浦家」のように香味野菜と一緒に揚げたものを使っている。「三浦家」ほどは香りを強く出していないので、万人受けしやすい鶏油になっているそうだ。
そして、このラーメンが650円で提供されている。しかもライスは食べ放題だ。これで満足しない人がいるだろうか? 筆者は、お世辞抜きで御茶ノ水で650円で得られる最高の幸せを感じてしまった。
三浦さんは以前から家系ラーメンには"幅"があることにこだわっている。同じ武蔵家グループの中でも隠れ三浦家を増やしていくことによりその幅を演出していく。家系も個性の時代だ。
横浜家系ラーメン 武蔵家 御茶ノ水店
東京都千代田区神田駿河台1-8-4
※写真はすべて筆者による撮影
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