高校のグラウンドで車を横転させる死亡事故 生徒は無免許運転の罪に問われる? #専門家のまとめ
埼玉県の高校のグラウンドで深夜に男子生徒(16)の運転する軽乗用車が横転し、助手席の窓から外に身を乗り出していた男子生徒(17)が挟まれて死亡しました。普段からそこに置かれていたグラウンド整備用の学校の車で、生徒らは無免許でした。警察が危険運転致死などの容疑で捜査しています。では、こうした高校のグラウンドの場合、道路交通法の無免許運転の罪に問えるでしょうか。理解の参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
【独自】「過去にもグラウンドで運転した」埼玉栄高校グラウンドで生徒が無免許で運転し横転 助手席の男子生徒死亡 生徒の運転は常態化か|TBS NEWS DIG
エキスパートの補足・見解
道路交通法の「道路」には公道だけでなく「一般交通の用に供する場所」が含まれます。立地や広さ、利用状況などを踏まえ、不特定多数の人が自由に通行・利用できる状態だったか否かによって判断されます。
これに該当すれば私有地などでも「道路」とみなされます。飲食店やコンビニの駐車場が「道路」にあたるとされる一方、限られた契約者しか使えない月極駐車場だと「道路」にあたらないとされた裁判例もあります。
この高校のグラウンドが普段から一般に開放されていたのか、保護者や業者などを含めて人や車が自由に出入りできていたのかが重要です。そうした状態だったのであれば「道路」での運転ということになり、無免許運転の罪が成立します。
ただし、道路交通法の「道路」か否かと危険運転致死罪の成否とは関係ありません。「道路」以外の場所での事故でも罪に問われる規定だからです。制御技能を有しないで走行させる未熟運転も「危険運転」の一つとされており、最高で懲役20年です。これにあたらないとしても、無免許過失運転致死罪に問われれば最高で懲役10年になります。学校側による車や鍵の管理体制の不備も問題となるでしょう。(了)