解散・総選挙は自民党と公明党がナチスに近づく第一歩
フーテン老人世直し録(115)
霜月某日
北京で開かれたAPECは、中国の習近平国家主席が常にアメリカのオバマ大統領とロシアのプーチン大統領の間にいて、そのスリー・ショットを世界中に見せつけた事がすべてである。これからの世界秩序はアメリカの一極支配ではなく、中国が米ロの間に入る形で協調体制を構築する事がカギになると言いたげなパフォーマンスであった。
一方、3年ぶりに行われた日中首脳会談は世界から注目されたが、安倍総理に対する中国側の冷遇ぶりは想像を超えていた。中国は日本との関係改善には応じるが、安倍総理との関係はまだである事を見せつけた。改善したければ安倍総理自身が自らを変えるか、あるいは安倍政権そのものが交代する事を期待するようなパフォーマンスである。
国内では首脳会談が実現した事をもって「関係改善の第一歩」と評価する声が多い。しかしまだ尖閣国有化以前の状態に戻ったわけではない。戻るための一歩を踏み出したに過ぎない。そしてこのAPECが日本の大平総理の構想から生まれた事を考えると、世界第三位の経済大国日本の存在感が日増しに小さくなってきている事を痛感した。
そうした中で日本の永田町では年内解散が既定路線化した。フーテンは今月3日に「解散風が本格化した」として、「安倍政権は『黒い霧解散』を真似るのか」というブログを書いたがその通りになった。全く国益を考えない私利私欲だけの解散である。
そしてこの解散・総選挙が意味するものは、最も民主的な憲法と民主的な仕組みの中から民主的な方法でファシズムを生み出したナチスのやり方の再現であるということだ。片山杜秀慶応大学教授の『国の死に方』(新潮選書)によれば、ヒトラーが独裁権力を獲得したのは、スターリンのように敵対者を次々粛清するのではなく、国民に合理的な判断をさせない事で成し遂げたのだという。
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