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奇天烈な解散劇で生じたもやもやを解消する方法

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(116)

霜月某日

何とも奇天烈な解散劇が進行している。普通、解散・総選挙というのは国の針路を巡って国民に選択を問うものだが、今回の選挙はそうではない。法律で決まっている消費増税を「先送りする事で信を問う」というのである。しかし法律には先送りについても書かれてあり、年末に金をかけて「政治空白」を作らなくとも先送りはできる。

つまり経済状況が悪ければ法律に従って増税は先送り出来る。それを「経済状況が悪くとも増税する」と変えるのなら国民に信を問う必要はある。そうでないのだから国民には選挙の必要性が理解できない。自民党の中からも岐阜県連のように「解散の説明がつかない」として反対決議が出たのは当然である。

その奇天烈な解散劇を安倍総理は常識では考えられないほど急いでいる。本来は、17日に公表される7-9月のGDPの速報値を見て経済の先行きを判断し、また18日に開かれる有識者による「景気点検会合」の意見を聞いてから先送りを決める事になっていた。

熟慮のフリをするのであれば19日以降に結論を出すのが常識である。ところが安倍総理は点検会合のある18日に「先送り」を決断して解散を表明するという。点検会合の中身を精査するフリもしないのである。それは17日の速報値も18日の点検会合も安倍総理の視野の外にある事を物語っている。

という事は、安倍総理が消費増税と我が国の経済の行方について真摯に考えるより、とにかく解散をしたいという事なのである。何のために。すべてがうまくいかないので最も勝てそうな時に選挙をやるためである。つまり党利党略、私利私欲という事になる。

しかしそれは同時にこの解散劇が練りに練られたものではない事も示している。年内解散は長期政権を目的にした内閣改造が裏目に出てすべてが狂い出した時から急浮上した。練りに練られたものでない計画はボロを出す可能性がある。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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