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「私はかなりリードしているが、悪いことが起きれば負ける可能性も」トランプ氏 いよいよ決戦 米大統領選

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 いよいよ決戦の日を迎える米大統領選。

 トランプ氏とハリス氏の全米支持率は拮抗しているが、11月1日に期日前投票が終了した、激戦州の一つネバダ州では、期日前投票数では共和党が民主党を凌ぐ結果となった。

ネバダ州の期日前投票で逆転現象

 ネバダ州州務長官のウェブサイトによると、期日前投票は共和党に393,811票、民主党に344,539票、その他政党に287,762票と、共和党が民主党を約4万9000票凌いだ。一方、2020年の大統領選時の期日前投票では、同州では民主党が約4万3000票凌いでいたので、期日前投票では逆転現象が起きたことになる。

 そのため、ネバダ州選出の民主党下院議員のディナ・タイタス氏は、FOXニュースで「共和党は期日前投票で我々を圧倒している。圧倒させてはならない」と懸念の声をあげている。

 ネバダ州に限らず、激戦州のジョージア州では共和党が記録的な期日前投票数を出し、アリゾナ州やノースカロライナ州でも期日前投票で共和党が民主党をリードしていると報じられている。2020年の大統領選時には期日前投票を呼びかけなかったトランプ氏が、今回の大統領選では奨励したことが奏功したものと考えられる。

私はかなりリードしている

 全米支持率は拮抗しているにもかかわらず、トランプ氏は11月3日、ABCニュースに対し「私はかなりリードしている」と豪語したが、その背景には、激戦州における共和党の期日前投票数の急増があるのかもしれない。

 同時にトランプ氏は「負ける可能性もある。悪いことが起きるかもしれない」と不正が起きたら負ける可能性があるとも示唆している。すでに、同氏は、期日前投票で民主党がリードしている、激戦州の中でも重要なペンシルベニア州では不正が起きていると訴えているので、負けた場合、トランプ氏が2020年の大統領選時のように、「不正が起きた。選挙が盗まれた」と根拠のない主張をするのが今から目に見えるようだ。

 もっとも、トランプ氏は負けたとしても、決して負けを認めないだろう。それどころか、早々と「勝利宣言」をしてしまうかもしれない。上院議員のバーニー・サンダース氏はインスタグラムで「トランプは得票数にかかわらず、勝利宣言するだろう」と予測しており、ハリス陣営もそれを懸念している。

 過去6回の大統領選を振り返ると、一般投票では、共和党は2004年の大統領選以外では民主党に負けている。人口が多いカリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州では、圧倒的に民主党支持者が多いからだ。そのため、勝者総取り式の選挙人団システムを採用しているアメリカでは、やはり、勝敗の決め手となるのは激戦州での得票数になる。実際、トランプ氏とヒラリー・クリントン氏が戦った2016年の大統領選では、ヒラリー氏が一般投票では勝ったものの、トランプ氏がラストベルトの激戦州でヒラリー氏より得票して選挙人を獲得し勝利した。

重要な激戦州の3州は全て僅差

 様々な世論調査サイトの結果をもとに総合的に支持率を割り出している「リアル・クリア・ポリティクス」によると、投票日前日11月4日の全米支持率は両氏とも48.5%と互角だ。

 同サイトのジョナサン・ドラエガー氏は、7州の激戦州のうち重要になる州はペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ミシガン州の3州と指摘し、「トランプ氏が南部の激戦州であるアリゾナ、ジョージア、ノースカロライナを押さえつつ、これらの重要な3州のうち1州でも獲得すれば、トランプ氏は勝利する。しかし、ハリス氏がこれらの3州を全て押さえれば、ハリス氏が勝利する」と分析している。

 同サイトによると、重要な3州のうち、ウィスコンシン州とミシガン州の支持率は11月4日時点で、ハリス氏がそれぞれ0.4ポイント、0.6ポイントとわずかだがリードしている。ハリス氏はこの2州を獲得し、さらにペンシルベニア州を獲得すれば勝利するわけだが、そのペンシルベニア州は、現在、トランプ氏が0.3ポイントリードしている。3州のいずれの州も、両者は1.0ポイント以下という僅差なので、本当にどうなるのか予測できない状況だ。
 決戦の火曜日、米国民は果たしてどちらに軍配をあげるのか?

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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