大震災後に生まれた「小役人的政治」が「博奕打ち的政治」をもたらす
フーテン老人世直し録(137)
弥生某日
4年前の3月11日、国会審議のテレビ中継を見ながら原稿を書いていた時にあの大地震がやって来た。部屋の本棚から一斉に本が飛び出し、思わず机にしがみついて揺れに耐えた。私が経験した揺れはその程度だったが、その後に東北地方を襲った津波の映像をテレビで見て息をのんだ。
仙台で生まれたフーテンには東北に親戚・知人が多い。電話がつながらずにそれからの1週間はいたたまれない日々を送った。幸い知り合いの無事を確認する事はできたが、しかし原発事故の惨状を見て、戦後営々と築き上げられた経済大国が二度目の敗戦を迎えたという心境になった。
第二次大戦で日本を敗北に導いた権力の無責任体制をフーテンは紙に書かれた記録でしか知らない。ところがこの大地震はその無責任体制を現実のものとして実感させてくれた。国民のパニックを怖れる余り嘘情報を垂れ流す、責任を回避するために情報を隠す、そしてそれを追及しないメディアが存在する。日本という国はあの戦争から何も学んでいないと痛感した。
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