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【Yahoo!ニュース 個人】12月の月間MVAとMVCが決定

(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

■Yahoo!ニュース 個人、12月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、Yahoo!ニュース 公式コメンテーターによるニュースへの理解が深まるコメントとして「月間MVC」も選出しました。厳選4本の記事と4本のコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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12月のMVA

意外な低順位? 賞レース型マンガ賞は『鬼滅の刃』をどう評価していたか(加山竜司)

筆者による受賞コメント:近年、「このマンガがすごい!」(宝島社)に代表される賞レース型マンガ賞が増加しています。読者が新しい作品と出会う場として機能し、知名度を高めている一方で、歴史的なヒット作となった『鬼滅の刃』はどう評価されてきたのか気になりました。『鬼滅の刃』の順位動向を分析することで、賞レース型マンガ賞の傾向が浮き彫りになったように思います。(加山竜司

選出理由:近年「賞レース型マンガ賞」受賞作品への注目が高まっていますが、「『鬼滅の刃』や『東京卍リベンジャーズ』のような“時代”を代表する作品はきちんと取り上げられてきたのか?」という疑問は、ファンならずとも一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。本記事では、文芸や映画と異なり、人気マンガ=長期連載作品という構造ゆえの年度評価の難しさについて、各賞のレギュレーションやデータとともに詳しく解説。空前のヒットとなった鬼滅を筆頭にマンガブームに沸く中、一歩引いた中立的な視点での分析と提言が展開されており、それゆえに筆者のマンガ愛もしっかりと伝わってくる記事となっております。

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「経口中絶薬」、厚労省に製造販売の承認申請 どんな仕組みで中絶するの?(重見大介)

筆者による受賞コメント:今回、経口中絶薬について解説しました。医療に関する記事では、可能な限り科学的根拠や国内外のデータをベースにし、フラットな視点でわかりやすく解説することを心がけています。人工妊娠中絶というのは誰にとってもつらいことで、第一に優先されるべきは女性の安全(健康)と権利です。それを、いかに医療技術や運用体制で守っていくかが大切であり、今後の判断や議論に本記事が役立てば幸いです。(重見大介

選出理由:人工妊娠中絶ができる経口薬の承認申請がなされたというニュースを受けて、産婦人科医であるオーサーが人工妊娠中絶の方法から世界と日本の現状、日本における経口中絶薬をめぐる動きについて丁寧に解説しています。経口中絶薬に関してはその運用や価格についての議論が高まっていますが、そうした課題を考える上で前提となる知識をフラットに伝えてくれました。

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沖縄県の米軍基地における集団感染 オミクロン株の拡大を防ぐ(高山義浩)

筆者による受賞コメント:古来より疫病がはやると、人種や特定のコミュニティーを感染源として指弾し、人々が過熱してしまいがちです。今回、米軍基地が沖縄県における流行の端緒となった可能性が高いですが、政治的なことを抜きにして、冷静に分かっていること、何が原因だったか、そして、これから何をすべきかを専門家の立場から明らかにする必要があると考えました。(高山義浩

選出理由:新型コロナウイルスの感染急拡大が止まらず、いわゆる「第6波」に突入した沖縄県。大規模な集団感染が起きた米軍の基地内外での行動パターンから拡散を想定、早期に「第6波」の兆候を捉え、現場からの警鐘を鳴らし、具体的な対策を提言した貴重な記事です。

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女芸人No.1決定戦『THE W 2021』で問われた審査方法と番組演出(田辺ユウキ)

筆者による受賞コメント:『THE W 2021』の審査方法は例年の通りとは言え、違和感を覚えるものがありました。「勝ち残りシステム」ということで、審査員は、勝ち残った芸人に関するコメントを何度も繰り返すことになります。一度のバトルで勝者・敗者の二者に対してコメントをするワケですから、当然、時間的にも批評内容が薄くなってしまう。これだけお笑いの賞レースが充実し、審査員のコメントが大きく注目されるなか、『THE W』の審査評は単純に物足りなさがありました。その根本には「審査方法と番組構成にあるのでは」と感じ、番組終了後、すぐ執筆にとりかかりました。あとこの場を借りて伝えたいのが、今回の記事は「オダウエダの優勝に疑問を呈するものではない」ということです。どんな審査方法であれ、『THE W 2021』の優勝者は間違いなく同コンビだと思います。お笑いコンテストの勝者を決めるのは、あくまで審査員とその番組であり、私たちではないのです。今後も『THE W』を本当に楽しみにしています。(田辺ユウキ

選出理由:審査方法と演出形式という「フォーマット」は、賞レースの結果自体に大きな影響を及ぼします。出場者の芸人人生を左右する、といっても過言ではありません。それが視聴者もわかっているからこそ、『THE W』については、フォーマット自体に疑問を感じるという声がSNSを中心に多く見かけられました。本記事は、それら視聴者側ではうまく言語化できなかったであろう「違和感」について、その要因をしっかりと紐解いてくれた内容となっています。本記事のおかげで、翌週の『M-1』にはじまる「年末年始のお笑いシーズン」を、より深く楽しめたという方も多かったのではないでしょうか。

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12月のMVC

『選手会「選手に対する配慮を著しく欠いている」大減俸頻発や自由契約ベースの契約に警鐘(デイリースポーツ)』の記事へのコメント(赤坂英一)

筆者による受賞コメント:初めて月間MVCに選出していただき、ありがとうございます。プロ野球界はコロナ禍の影響もあってか、年俸減額制限の有名無実化、戦力外通告の若年齢化が、年々加速している印象が強い。その半面、メジャーや他球団への流出防止のため、ごく一部の主力の年俸は破格の高騰を続けている。プロの世界、勝ち組と負け組にかなり差がつくのは当然としても、この傾向に拍車がかかれば、野球人口を減少させる遠因にもなりかねません。今後もそうした視点から提言をしていきたいと思います。(赤坂英一

選出理由:球団との契約交渉シーズンに入り、コロナ禍の影響で頻発する大幅減俸について日本プロ野球選手会が危機感を示したことを伝える記事へのコメントです。球界全体で減俸が続く一方で、球団経営を圧迫する可能性があるスター選手との数億円規模の契約を指摘。選手間で広がる"年俸格差"問題に鋭く切り込んでいます。長年球界の取材を続ける筆者による、思い切った提言にも注目です。

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『生乳、5000トン廃棄の恐れ 農水大臣「消費拡大を」(テレビ朝日系(ANN))』の記事へのコメント(井出留美)

筆者による受賞コメント:私自身「生乳が余ればバターにすればいいのでは?」と安直に考えていましたが、乳業関係者に取材し、すでに全国の工場がフル稼働で加工していること、たとえバターに加工しても、商慣習で賞味期限より前に販売できなくなるといった業界の事情を知ることができました。生乳は日持ちしません。かといって、搾乳しなければ牛が乳房症になってしまいます。牛乳を「飲む」だけではとても追いつかない、「食べて」もらえば少しでも多く消費できるという思いから、家庭で簡単に加工できるやり方を伝え、一人でも多くの人に今すぐ実践してほしいと強く願って書きました。取材でお世話になった皆様と一緒に受賞できたと思っており、非常に嬉しく、発信者として励みになります。感謝申し上げます。(井出留美

選出理由:「余った牛乳を加工すれば問題を解決できるのではないか」というユーザーが抱く疑問にこたえつつ、家庭で牛乳を消費する際の工夫を紹介し、個人のアクションを促すようなコメントをしてくれました。筆者が食品ロスの専門家としてこの問題に対して丁寧に取材を行い、コメントや記事を精力的に投げかけたことによって廃棄の回避に一役買った側面もあると思われ、一連の優れた発信を評価します。

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『米で竜巻、50人超死亡か 南・中西部で数十個発生(共同通信)』の記事へのコメント(千種ゆり子)

筆者による受賞コメント:MVCの受賞に、ただただ驚いております。近年はアプリだけで気象情報を確認する人も多く、テレビの現場で働いていても「予報・結論だけ端的に知りたい」と言われることも多いです。そんな中、Yahoo!ニュースのコメントは、ニュース記事からさらに一歩踏み込んだこと・補足・解説を書かせて頂ける貴重な場所です。今後も、気象だけでなく気候変動などについても、ニュースの背後にあることにまで踏み込み、多角的な視点を提示していきたいと考えております。(千種ゆり子

選出理由:アメリカで複数の竜巻が発生し、多くの死傷者が出たという深刻な被害状況を伝える記事に対するコメントです。一般的には知られていないアメリカと日本の竜巻発生状況や規模と合わせて、竜巻が発生した際の具体的な対処法を解説。気象予報士の視点から、ユーザーの防災意識の向上に貢献されています。

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『「つながる車」特許侵害か 米社、トヨタ・ホンダを提訴(共同通信)』の記事へのコメント(牧野和夫)

筆者による受賞コメント:評価をしていただきとても嬉しいです。自動車業界は電気自動車化、自動運転化、IT化が急速に進展し、テスラの台頭、米GAFA、中国BATなどIT大手の参入などで現在も大きな革命が起こりつつありますが、大手IT業界の米国における特許問題(パテント・トロール)も、IT化する企業にとっては他人事ではなくなって来た典型例です。ユニクロの自動レジ特許問題も、アパレルではこれまで無縁だった特許問題への対応が求められました。これからも各業界のIT化に伴う新たな特許問題の本質を分かり易くコメントしていきたいです。(牧野和夫

選出理由:特許を侵害されたとして、米特許管理会社がトヨタやホンダなどを提訴したという記事へのコメントです。パテント・トロールの存在や、なぜ大手自動車メーカーがターゲットとされたのかについて、記事を的確に補足しています。弁理士としてアメリカでも活躍されている筆者ならではの分かりやすい解説です。

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