兵庫県知事選で県内22市長が稲村和美氏支持を表明するも落選 法的責任は? #専門家のまとめ
兵庫県知事選は斎藤元彦前知事が失職からの劇的な返り咲きを果たしました。一方、落選した稲村和美・前尼崎市長を巡っては、市長会有志による投票3日前の異例の支持表明が改めて問題視されることでしょう。県内22人の市長が稲村氏支持を表明した上、うち7市長が県庁で記者会見を開いたというものです。この件を巡る法的責任について、参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
公職選挙法では公務員の地位を利用した選挙運動が禁止されています。違反したら最高で禁錮2年、罰金だと30万円以下に処されます。7月の都知事選を巡る小池百合子知事や10月の衆院選を巡る福岡県議会議長らのように市民から刑事告発された例もあります。22市長らも同様に刑事告発されることが予想されます。
その場合、「地位を利用」すなわち市長の権限に基づく影響力や便益を利用するなど、職務上の地位がその行為と結びついているといえるか否か、また、「選挙運動」すなわち稲村氏の当選に向けた票集めとして、直接・間接に必要で有利な行為といえるか否かが捜査の焦点となります。
県選管はそれらにはあたらないと述べていますが、行政解釈にすぎないので、もし刑事告発されたら、市長らによる行為の実態を踏まえた上で、検察において改めて違法性の有無を検討する必要があります。
たとえ不起訴になっても、検察審査会に審査を申し立てられることでしょう。市長らは県政の混乱を収束したいと述べていましたが、法的責任とは別に彼らの政治責任を問う声もあり、かえって混乱の様相を呈する結果となりそうです。(了)