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日本の3バックはなぜ森保式が大半を占めるのか

杉山茂樹スポーツライター
(写真:Shigeki SUGIYAMA)

 カタールW杯。その多くの時間を5バックと言いたくなる3バックで戦った森保ジャパン。その影響力はどれほどかと開幕したJリーグに目を凝らした。2節続けて5バックになりやすい3バックを採用したチームは18チーム中6チーム(広島、名古屋、鳥栖、札幌、福岡、湘南)。1試合の京都を加えれば計7チームで、全体の3分の1強を占めた。前シーズンは柏、降格した磐田もこの中に含まれていた。2分の1に迫る勢いがあった。森保監督の選択にはそうした意味で必然性を感じる。

 4バックを採用するチームは上位に多く存在したので、4バック勢はメジャーの立場をギリギリ守った格好である。しかし先のカタールW杯がそうであったように、7対3の関係で勝る世界の情勢と比較すれば、攻撃的サッカーと守備的サッカーが拮抗した関係にある日本は、世界でも類を見ない特殊な国となる。つまり対立軸は実は日本は他より断然、鮮明な国なのだ。繰り返すがそうした中で森保監督はカタールW杯本番で、4バックから5バックになりやすい3バックに乗り換えた。

 なぜ議論は起きないのか。国を二分するような論戦に発展しないのか。メディアはそれを主導できないのか。90年代後半、スペイン、イタリア、ドイツなど欧州各国で展開された攻防を目の当たりにした筆者には、それが日本サッカー界の後進性を象徴するものに見える。

 だがそれ以上に特質すべきは、日本の3バックは揃いも揃って5バックになりやすい守備的であるという点だ。5バックになりにくい攻撃的な3バックを見かけることは珍しい。見かけたとしても、たとえば両者の違いについて言及する解説者はまずいない。3バックの一言で片付けようとする。

 森保ジャパンの問題点もそこにある。数ある選択肢の中からなぜ5バックになりやすい(あるいは最初から5バックで構えている)3バックを選択したのか。守備的に戦いたいからなのだろうが、その本質がメディアを通して明らかにされていない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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