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【ポイントは日差しと風】走歴30年の自分が気を付けている、マラソンのスタート前の寒さ対策

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ
大会ではスタート地点にたどり着く前にも、準備と戦略が必要です。

冬に開催されるマラソン大会は、スタートして走り始めたら体は温まるものの、スタート前は薄着で極寒の中待機しなければなりません。屋内の温かい場所や、風が凌げる建物の軒下などが確保できるならよいのですが、多くの場合は吹きっさらしの場所での準備・待機を余儀なくされます。そんな大会では、どうスタート前の時間を過ごせばよいのでしょうか。走歴30年で、多い年は年間40レースも出場していた自分のタイムスケジュール・対策を話しましょう。

①荷物預けの近くに陣取る

大きな都市型マラソン以外は、会場の到着はだいたいスタート60~90分前。そして到着したら、荷物預けのそばに場所をとります。スタート前のスケジュールは、
①トイレ5分
②着替え、サプリメントの摂取10分
③荷物預け10分
④直前のトイレ10分
⑤スタート時間30分前にスタート地点に整列
大会にもよりますが、平均するとこのような順と消費時間になります。場所を確保したらトイレに行くついでに、その動線を確認します。

②ウォーミングアップは着替えてから

厚着のままウォーミングアップをすると汗をかいてしまいます。スタート直前まで上着を着ていられる大会であればよいのですが、上着を脱いで待機しないといけない多くの大会では、ウォーミングアップで汗をかいてしまうと待機中に汗冷えをします。なので、着替えて上着ごと荷物預けをしてからウォーミングアップをします。

③ウォーミングアップは太陽に向かって

日差しは正面で受けると体が温まりやすく、逆に風は背中で受け止めると体が冷えにくいのです。冬は北風の日が多いので、効率よくウォーミングアップをするためには、日なたで南にある太陽に向かってジョギングをすると、寒い中でも効率よくエネルギーの消耗を最小限にして体を温められます。

④スタートの待機は太陽の方を向いて

スタート地点に整列したら、先ほど書いたように正面から日差しをうけ、背中で風を受け止めるように太陽の方向を向いて待ちましょう。風の強さにもよりますが、体感温度で2-3度寒さが和らぎます。必ずしも走行方向に向いて待つ必要はありません。

⑤着脱可能な防寒具を使用

さらには着脱可能なアームカバーや手袋を使用するのもよいでしょう。後半失速してしまったときなどは、再度装着することで低体温対策にもなります。また、ハンドメイドのビニールポンチョを作るのもよいでしょう。スタートして温まるまで、防寒の強いお供になります。

さいごに

体が冷えてしまうとウォーミングアップの効果が薄らいでしまうだけではなく、膀胱冷却反射や寒冷利尿という体の反応で尿意逼迫となってしまいます。その結果パフォーマンスが低下してしまう可能性があります(以前の自分の記事「【スタート前に何度もトイレに行く人は危険?】その理由と対策」も参照下さい)。

「寒いレースではどうしても結果がでない」そんなランナーの方は、小さなことですが是非試してみて下さい。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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