Yahoo!ニュース

2020年度の公債依存度は73.5%! 国の一般会計で歳出の約3/4を借金で賄うことになったワケ

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
国の一般会計における公債依存度(公債金収入÷歳出総額)

10月4日に岸田文雄内閣が発足し、第2次安倍晋三内閣から菅義偉内閣まで戦後最長の8年9カ月在任した麻生太郎副総理兼財務相が退任し、鈴木俊一新財務相が就任した。

新財務相の下で、早速、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会が、10月5日に開催された。

この会合では、2020年度の予算と決算に関する資料が提示され、今後の財政運営を見据えて総論的な議論が委員の間で交わされた。

そこで示された衝撃的な数字がある。

2020年度は、3次にわたる巨額の補正予算が組まれ、国の一般会計において、補正後予算ベースで、歳出総額は175兆6878億円となり、そのうち112兆5539億円を公債発行で財源を賄った。

歳出総額に占める公債発行額の比率を、公債依存度という。その年度における支出を、どの程度借金で賄ったかを示す指標である。

2020年度第3次補正後予算ベースでみると、公債依存度は64.1%と、歳出総額の約3分の2を占め、過去最高を記録した。そうなる過程は、拙稿「10万円一律給付の補正予算で、ワニの口は崩壊した」でも詳述したところである。

では、2020年度の決算ベースではこれらがどうなったか。

2020年度の決算では、国の一般会計の歳出総額は147兆5973億円となり、そのうち108兆5539億円を公債発行で財源を賄う結果となった。

これにより、2020年度の公債依存度は、なんと73.5%と、歳出総額の約4分の3を占めるに至った。もちろん、断トツの過去最高を記録した。

補正後予算ベースの64.1%から、決算ベースで73.5%へと、公債依存度はなぜこれほど上昇したのだろうか。それは、

この記事は有料です。
慶大教授・土居ゼミ「税・社会保障の今さら聞けない基礎知識」のバックナンバーをお申し込みください。

慶大教授・土居ゼミ「税・社会保障の今さら聞けない基礎知識」のバックナンバー 2021年10月

税込550(記事2本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

土居丈朗の最近の記事