衆院選後、自民党の「厚労族」はどうなる? 世代交代進み、医療・介護・年金・雇用に変化はあるか
10月31日の衆議院総選挙の結果、自民党の「厚労族」はどうなるか。
自民党には、厚生労働省が所管する政策や制度の改正や運用について、影響力を持つ国会議員がいる。その議員グループを、厚生労働族ともいう。いわゆる、族議員の1つである。
厚労族は、自民党の厚生労働部会や社会保障制度調査会の運営を司り、そこで俎上に載る政策決定に強い影響力を持つ。
その厚労族に、今般の衆議院総選挙で大きな変化があった。
それは、厚労族の中でも、ベテラン議員として存在感のあった、伊吹文明元衆議院議長、川崎二郎元厚生労働大臣、塩崎恭久元厚労相、鴨下一郎元環境大臣が軒並み、今般の衆院選に出馬せず引退することとなったのである。
各政策分野でいわゆる族議員の中で、一定の影響力を持つ中で、これでだけ多くのベテラン議員が一度に不出馬となる「族」も珍しい。
ベテラン議員が引退したとしても、厚労省が所管する政策や制度の重要性が低下することは、今日のわが国の社会経済情勢からしてあり得ない。
しかし、政策決定の方向性や、取りまとめの円滑さといった点では、厚労族のベテラン議員も一定の貢献をしていたことから、それに代わる衆議院議員が、自民党の中で出てこなければ、衆院選後には大なり小なり変化が起こりうる。
しかも、それは、単に社会保障分野の政策の中だけの話に限らない。
国の予算には、限りがある。社会保障分野の政策も大事だが、公共事業や教育や防衛関係など、それぞれの政策の重要性を、各分野の族議員は党内で訴えている。
つまり、各政策分野の族議員は、政権与党内で政策の優先度や予算の重点配分などを巡って、競い合う存在である。だから、ある分野の族議員の影響力が相対的に衰えれば、他の分野の族議員の影響力が党内で強まることさえあり得る。
そうした政策形成過程を踏まえれば、今般の衆院選後に、厚労族が影響を持っている医療、介護、年金、雇用において、政策形成はどう変わるか。それは、岸田文雄内閣において、
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