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函館本線山線のバス転換協議 1年3カ月ぶりに開催も「現実無視」の道庁提案に批判噴出

鉄道乗蔵鉄道ライター
函館本線長万部駅(筆者撮影)

 2024年8月28日に1年3カ月ぶりに北海道新幹線並行在来線対策協議会後志ブロックが開催されたことは、2024年8月29日付記事(函館本線山線「バス転換協議が1年3カ月ぶりに開催」 バス会社が初めて協議に呼ばれるも道提案に難色)でも詳しく触れた。北海道庁が主導する密室の協議会において強引に廃止の方針が決定された函館本線の長万部―小樽間について、バスドライバー不足などの問題から協議が中断していた。

地域の利便性を著しく損ねる現実無視の道庁提案

 今回の協議では初めて沿線にバス路線網を展開するバス会社が呼ばれた。協議に参加したのは北海道中央バス、ニセコバス、道南バスの3社で、これらのバス会社を前に道側は、鉄道代替バスの内容を説明した。

 説明の内容は長万部―小樽間を9つの区間に分割し、余市―小樽間で21本、仁木―余市間で19本、ニセコ―倶知安間で16本の新設のバスが必要になるというものだったが、2022年11月の協議会で道が示していた当初の案は、バス路線を長万部―黒松内、黒松内―倶知安、倶知安―余市、余市―小樽に4分割するというものだった。分割区間が増えることから、公共交通機関としてはより分かりにくくなり、かつ所要時間の増加を招くというプランに改悪されていた。

 余市―小樽間で21本、仁木―余市間で19本、ニセコ―倶知安間で16本の新設のバスが必要になるというものだったが、協議に初めて出席した北海道中央バス、ニセコバス、道南バスの3社はいずれも既存のバス路線を維持するだけで手いっぱいの状態で、道が提案した鉄道代替バスの本数の確保は一様に困難であるとの姿勢を示した。

 本来であれば、新幹線の開業にともなって並行在来線の沿線となる地域の利便性を高め地域経済をどのように活性化させていくのかという視点に立って、交通政策をデザインするのが筋であるが、道は廃線ありきの密室協議で勝手に結論を決め、道が策定した計画を一方的に民間のバス会社や地域に押し付けるという姿勢は、地域の民間企業や住民を下に見た行政の横暴に他ならない。

 こうしたことから、さっそくSNS上には道への批判の声が噴出している。 

ネット上では道庁への批判の声が噴出

 SNS上では、道の都合で強引に決めた廃止の方針を何が何でも撤回しないという政策姿勢を問題視するものも見受けられた。

 2024年5月5日に北海道新幹線の並行在来線問題などを特集したBSフジ「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」が放送された際にも、SNS上では道庁に対する批判が噴出したことは2024年5月6日付記事(道の対応に「SNS上で疑問の声」が噴出 泥沼化の北海道新幹線「並行在来線」問題、BSフジ全国放送で)で詳しく触れた。

 このときもSNS上には、「今の北海道庁に任せていたら北海道は破壊される。北海道には国が積極的に介入すべきだ」「北海道の自称お偉い連中は頭おかしい。実際に余市行ったがアホみたいに混んでたぞ。あんなのバスで捌き切れると思っているなら本当のバカだ」など辛辣なコメントも寄せられていた。

 鈴木知事や道庁幹部はこうした声を真摯に受け止める気があるのだろうか。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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