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【値上げ情報2022年11月】オロナミンCにみる看板商品値上げトレンド 電気代はさらなる値上げへ動く

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
オロナミンCのような定番商品の値上げも今年の傾向です(写真:アフロ)

今年の春から毎月値上げ情報をお届けしているシリーズです(バックナンバーはこちらから )。今月も値上がりが続いています。

10月の値上げラッシュは確実に家計に反映

10月はかつてない値上げラッシュだと先月紹介しました。なにせスーパーマーケットでは食品関係の値札貼り替え品目が6700品に達したと報じられていたほどです。

Yahoo!ニュース(筆者記事)酒もお水もお茶も値上げ!外食はマックも吉野家も回転寿司も値上げへ【2022年10月値上げ情報まとめ】

メーカーが値上げしたとき、店頭でも同額を値上げするかはお店にとって悩ましい問題です。値上げして売上ダウンとなっては困りますし、値上げしなければ自分の利益が減ってしまいます。

現場が本当に値上げされたのか注目されていましたが、ほぼ確実に家計に負担となっているようです。

全国の消費者物価指数に先駆けて公表される東京23区の消費者物価指数において、10月分がプラス3.4%アップ、消費税増税の影響を除けば40年ぶりのことと報じられています。

NHK 2022/10/28 東京23区 10月の消費者物価指数 3.4%上昇 約40年ぶりの高水準

先ほど述べた食品値上げの影響をみてみると「生鮮食品を除く食料」において、昨年同月比+5.9%だったそうです。すでに指摘されていますが「電気代」+26.9%、「携帯電話機」+16.5%などの値上げの影響も少なくないインパクトを与えています。

実は世界的にはもっと厳しい物価上昇傾向にありますので、日本はまだまだマイルドといえなくもないのですが、やはり長期にわたってデフレ~低インフレだった私たちにとってインパクトは絶大です。

考えてみると40年ぶりということは、現役世代の半数以上が一度も経験したことのない「大波」です。私たちはこの並をどう切り抜けるのか真剣に考えていかなければならないわけです。

オロナミンCにみる看板商品の値上げというトレンド

今月の値上げで報道が取り上げているのが「看板商品の値上げ」というテーマです。

すでにキユーピーのマヨネーズであったり、コカコーラ社のコカコーラであったり、その会社の看板商品の値上げという流れは生じているのですが、あらゆるラインナップで値上げを回避することができない、という傾向が鮮明になってきています。

今月紹介されているその象徴は「オロナミンC」です。オロナミンCといえば、他より小さめの容量ですがオリジナルの瓶を使用し、自動販売機やコンビニエンスストアでも存在感を発揮している大塚製薬の看板飲料のひとつです

もうひとつの看板商品といえばポカリスエットですがこちらは6月に値上げ済みで、このとき、オロナミンCは対象外とされていました。今回それが値上げに含まれたわけです。。

私は子どもに炭酸を飲ませるのにしばしばオロナミンCを買い与えています。500mlのペットボトルでは多すぎるからちょうどいいというのが理由ですが、子どもも喜んで飲んでくれるため重宝しています。

自販機によっては100円あるいは110円で購入できることも手頃でありがたい商品でしたが、今回の値上げにより、標準小売価格が105円から120円(税別)となります。今後、自販機での110円購入は難しくなりそうです。

看板ブランドの値上げは勇気がいることです。過去にはカップラーメンの値上げが売上ダウンとなって立て直しに苦しんだこともありました。

これからは強いブランドのあるほうが、堂々と値上げを訴求することで、ライバルブランドも追随値上げをするようなサイクルに入っていくかもしれません。

電気代は来年以降さらなる値上げへ動きそう

電気代やガス代などの光熱費はこの1年で大幅値上げとなっています。25%以上の上昇幅となって家計を大きく圧迫していますが、これでも世界的には上昇幅はマイルドなものです。

アメリカやユーロ諸国では「2倍以上」というケースもしばしば報道されています。2倍の値上げは家計が簡単に吸収できるものではありません。これに比べて日本が低めの上昇率でとどまっているのは、価格の上限を政府が定めている「規制料金」があるからです。

22/3/28 ブルームバーグ 電気代が2倍に上昇、米家計を圧迫-燃料価格高騰で高止まりの公算大

実はこの規制料金の上限にすでに達しているのが現状で、東京電力は11/1の中間決算において値上げをしてもなお1433億円の赤字になっており、値上げは燃料費調達コストの上昇をカバーしきれていないことを公表しました。

これに伴い規制料金の値上げを申請する意向を示しています。民間企業として考えた場合、商売を続ければ赤字が拡大していくわけですから、これは避けられないことだと思います(東京電力は公共財としての電力提供を行う側面と、民間企業として利益を出さなければならない側面を持ちます)。

11月1日の報道では全国の電力会社10社中6社が値上げ検討に入ったとしており、年内にも値上げ申請が行われるのではないかとしています。これを受けて来年春以降に私たちに値上げが生じるのではないかと予想をしています。

実は物価上昇対策として政府が来年1月から家庭の電気代2割、都市ガス代の1割ほどを軽減する支援を行うとしていますが、値上げ分とこの補助金とは相殺されることになるかもしれません。それでも電力会社を批判するのは筋違いでしょうが、厳しい状況が続きます。

11/2 テレ朝ニュース 家計に“深刻影響”の可能性…東京電力10年ぶり「規制料金」値上げ検討

コラム:政府の賃上げ要請に企業は応えられるか

ちょっと気が早い話ですが来年春の賃上げがそろそろ気になるところです。少なくとも今年の物価上昇率に見合うくらいの賃金上昇率が確保されないと「実質賃金減」になってしまうからです。

政府もすでに意識しており、賃上げ要請を各所で明言し始めています。

10/4 時事通信 物価上昇に見合う賃上げを 来年春闘へ要請―価格転嫁拒否で企業名公表も・政府会議

先ほど40年ぶりの物価上昇というキーワードが飛び出しましたが、これは言い換えると「物価上昇対応の賃上げ交渉も40年ぶり」ということです。22歳から60歳まで38年会社に勤めるとすれば、前回の賃上げ交渉の担当者は誰もいないということになるほどのロングスパンであり、会社側も労働組合側も手探りの交渉と言うことになるでしょう。

しかし、物価上昇の流れはもう止めようがなく、できることなら2024年分の物価上昇をも見据えた賃上げ交渉が行われることを期待したいもの。

私たちも「やった!給料3%上がった!」ではなく「物価上昇3%をようやくカバーしてくれた。……ってことは実質プラマイゼロ?」くらいの意識で賃上げを見ていく必要があります。

この感覚も久しく失われていますのでぜひ意識してみてください。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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