クリスマスが寒波を連れてやってくる これまでの寒気とは違う寒さの到来
寒波と寒気
気象庁では、寒波と寒気について、次のように定義をしています。
寒波:主として冬期に、広い地域に2~3日、またはそれ以上にわたって顕著な気温の低下をもたらすような寒気が到来すること。
寒気:周りの空気に比べて低温な空気。用例「輪島の上空約5,000mには氷点下40度以下の寒気がある」
つまり、寒気は一時的で小規模なもの、寒波は寒気よりも大規模で、長く続くものです。
今冬は、これまで、しばしば寒気が南下してきました。
そして、その度に冬日(日最低気温が氷点下)を観測する地点が増え、夏日(日最高気温が25度以上)の日はほとんどなくなっています(図1)。
12月19日は、南下した寒気によって気温を観測している全国920か所のうち、約72パーセントにあたる662地点で冬日を観測しました。
しかし、寒気の南下が一時的で寒さは長続きしませんでした。
クリスマスの天気
12月23日は、北日本から東日本の日本海側では、寒気の南下が続いており、西高東低の冬型の気圧配置となって雲が多くなり、所々で雪という天気が続く見込みです(図2)。
しかし、寒気がそれほど降りてこない東日本の日本海側から西日本では、沖縄付近にある低気圧が本州の南岸を通過する影響で週末は雨か雪となる見込みです。
ただ、この低気圧の通過する緯度や、北側で風が収束した雲の北への延び方など、不確実な要素が多くあり、予報が非常に難しくなっています。
しかも、この低気圧は、南シナ海で熱帯低気圧となった台風22号の東側をまわる気流によって多量の水蒸気を持った危険な低気圧でもあります。
関東から東海地方についていえば、クリスマスイブに雪がパラパラと降ってくる天気から全く降水現象がない天気、しっかりとまとまった雨が降る天気、いろいろなケースが考えられ、気象予報士の中でも見解が分かれています。
クリスマスの直前になるまで当日の天気予報がわからないという予報の難しい日です。
ただ、この低気圧が通過した後は、予報がはっきりしています。
クリスマスが寒波を連れてやってきた感じとなるからです。
これまでとは違って寒気南下の期間が長くなり、12月25日から27日頃は、日本付近は冬型の気圧配置が強まり、西日本の大都市圏でも降れば雪となるような寒気が流れ込んでくる予想です。
気象庁では、早期注意情報を発表し、5日先までの警報級の現象がおきる可能性について、「高」「中」の2段階で発表しています。
これによると、12月26日から27日は北陸から西日本の広い範囲で大雪警報を発表する可能性が「中」となっています。
現在の段階では正確に降雪量を見積もることは難しいですが、北~西日本の日本海側を中心に降雪量が増え、多くの人が移動する年末の各種交通機関に影響が出ることは十分に考えられます。
また暴風警報が発表される可能性も日本海側を中心に「中」が出ています(図3)。
週初めから年末年始の寒さ
来週、今年最後となりますが、強い寒気が広く南下し、典型的な冬型の気圧配置となりますので、日本海側は曇りか雪、太平洋側は晴れ、南西諸島は曇りという冬特有の天気となります。
このため、今週末より天気予報が易しくなります。
とはいえ、寒波の南下で、12月26日の東京の最高気温は5度の予想です。
最低気温が5度ではありません。
福岡に至っては、最高気温が3度の予想です。
寒気の強さの目安として、上空約5500メートルの気温を使うことがあります。
この高さでの気温が氷点下36度以下なら大雪の目安となりますが、今回の寒気は、この目安より低い、氷点下42度以下の寒気が北日本まで南下してきます(図5)。
北海道東部の上空では氷点下45度以下となる予想で、真冬でもめったに見られない低い温度です。
しかも、真冬とは違って地上付近の気温はまだ冷え切っていませんので、上下の温度差は真冬の時より大きくなり、激しい気候現象が起きる可能性があります。
厳しい寒さの週明けで、その後、少し気温を戻して年末年始となる予報ですが、
冬に多い西高東低の冬型の気圧配置が続くため、これは信頼度の高い予報と考えられます。
最新の気象情報の入手に努め、無事に新しい年を迎えることができるよう、年末年始の行動の目安にしてください。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。