強い寒気南下で日本海側大雪 寒気の目安は上空5500メートルの気温と上空1500メートルの気温の2つ
北日本から西日本で日本海側を中心に暴風雪
低気圧が急速に発達しながら本州の南岸から日本の東へ進み、また別の低気圧が、急速に発達しながら日本海から北海道を通って千島近海へ進む見込みです(タイトル画像参照)。
これらの低気圧の通過後は、日本の上空に強い寒気が流れ込み、日本付近は18日(土)にかけて西高東低の強い冬型の気圧配置となる見込みです。
このため、日本海側を中心に非常に強い風が吹き、猛ふぶきとなる見込みです。日本海側の山沿いでは大雪となり、平地でも積雪となるでしょう。
猛ふぶきによる視程の悪化や大雪による交通障害、高波にも十分な警戒が必要です。
また、路面凍結による交通障害に注意・警戒し、なだれや着雪に注意してください。
気象庁は5日先までの警報を発表する可能性を「高」と「中」の2段階で示す、早期注意情報を発表しています。
これによると、12月17日(金)は、北海道南部から西日本までの広い範囲で暴風警報を発表する可能性があります(図1)。
また、18日(土)も、西日本で暴風警報の可能性が低くなる所があるものの、逆に北日本では暴風警報の可能性が高くなる所が増えています。
北陸地方を中心に雨が雪に変わって大雪となる見込みです。
12月17日から18日までの48時間降雪量は、北日本の日本海側から東日本の日本海側にかけて多く降り、山形県や新潟県の山沿いでは100センチを超える積雪の予報です(図2)。
湿っている雪ですので、着雪しやすく、大雪被害が拡大する可能性があります。
上空の寒気
日本の上空約5500メートルの気温は南下してくる寒気の強さの目安として使われます。
大雪をもたらす目安とされる、上空約5500メートルで氷点下36度以下という寒気は、東北北部からの能登半島まで南下してくる予想です(図3)。
また、日本の上空約1500メートルの気温も南下してくる寒気の強さの目安として使われます。
平地でも雪となる目安とされる、上空約1500メートルで氷点下6度という寒気は、関東地方を除いて、北日本から東日本、西日本の広い範囲をおおう見込みです。
つまり、ほとんどの地方で、降水現象があれば雪として降ることを示しています。
このように、上空約5500メートルと、上空約1500メートルで南下してくる寒気を考えるのは、寒気が立体的な構造をしているからです。
立体的な寒気の南下
冬季間、シベリアでは太陽が当たらないために地表面付近が冷やされ、寒気団が形成されます。
この寒気団は南に向かって流れだし、日本にやってくるのですが、全体としてはドーム状になっています。
寒気団内部では下向きの運動をしながら南下し、寒気団の背は低くなりますが、寒気団の先頭が北緯40度位まで南下するくらいまでは、約5500メートル位の高さの天気図を見ていると動向が良く分かります。
テレビなどで、気象予報士が上空約5500メートルで気温が云々と説明するのはこのためです(図4)。
ただ、第三段階以降になると、寒気団の背は低くなっており、上空約5500メートルでは説明できなくなりますので、気象予報士は上空約1500メートルの寒気の説明に切り替えます。
このように、寒気は立体的なのです。
寒気が南下してくると、日本周辺の海は、寒気の南下に伴う筋状の雲ができます。
そして、第四段階になると寒気団は衰え、地表付近の薄い層になってゆきます。
寒気団が衰えたのですが、北の方では新しい寒気団が現れ、南下のチャンスをうかがっています。
次の強い寒気の南下
12月17日から18日の強い寒気の南下以降は、気温が高い状態がしばらく続きます。
次の強い寒気の南下は年も押し詰まった12月27日頃です(図5)。
北海道には、上空約5500メートルで氷点下42度以下という、今回の寒気より強い寒気が南下してきます。
関東地方でも、上空約1500メートルで氷点下6度以下という、今回の寒気より強い寒気が南下してきます。
東京の最高気温と最低気温の推移をみると、11月はともに平年より高い状態が続いていたのですが、12月に入ると、気温の変動が激しくなります(図6)。
そして、今回の寒気で12月18日には最高気温が平年以下に、最低気温が平年並みに下がります。
しばらく平年より高くなりますが、12月27日以降、最高気温と最低気温は、共に平年より低くなって新年を迎える予報です。
年末年始の移動時期にからんでくる寒気ですので、最新の気象情報に注意してください。
タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。
図1、図2、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図4の出典:筆者作成。
図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。