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耐震改修中の木造駅舎と駅を見守り続けた樹齢百年のイチョウ 土讃線 日下駅(高知県高岡郡日高村)

清水要鉄道・旅行ライター
日下駅

日本三大急流の一つ・仁淀川の西岸に位置し、特産のシュガートマトを使ったオムライスで町おこしを行っている高岡郡日高村。その中心部にあるのが日下(くさか)駅だ。「日下」は日当たりのいい場所を意味する言葉で、「日の下の草香」というように生駒山麓の「草香」という地名にかかる枕詞だったのが転じて日下と読むようになった。しかしながら、日高村の日下と生駒山麓の日下の関連は定かではない。

仮待合室
仮待合室

日下駅の駅舎は昭和23(1948)年に建てられたもので、JR四国への移行後に和風に改装された。令和4(2022)年10月1日に日高村に譲渡されており、耐震化・改修工事のため3月28日より仮待合室で営業している。駅舎の工事は3月完了予定だ。

仮待合室内
仮待合室内

プレハブの待合室内にはベンチが二脚置かれている。締切可能で、徳島や香川で近年増えつつある簡易駅舎よりも快適に列車を待つことができそうだ。

改修工事前の駅舎
改修工事前の駅舎

日下駅は大正13(1924)年3月30日に須崎から伸びてきた高知線の終点として開業。今年でちょうど開業百周年の節目の年を迎える。当時の所在地は高岡郡日下村で、昭和29(1954)年10月15日の合併で日高村となった。「日高」の村名は「日本」と「高知」から一文字ずつ取ったのが由来だ。

改修前の駅舎内
改修前の駅舎内

現在改修工事中の駅舎は無人駅としては大きく立派なもので、待合室も広かった。規模が大きければ当然、維持費もその分嵩むものなので、日高村がJRから無償譲渡を受けて村で管理することを決断していなければ、いずれ簡素化されて仮待合室よりも小さな駅舎になっていたであろうことは想像に難くない。

改修前の駅舎内
改修前の駅舎内

改修工事が完成に近づきつつある駅舎は早くもその外観を現しつつある(表題写真)。構造自体には大きな変化はないが、内部は果たしてどうなっているのだろうか。

改修前の駅舎(ホーム側)
改修前の駅舎(ホーム側)

改修前の駅舎は和風の落ち着いた趣で、関所をイメージしたものとされているが、駅周辺に関所の史跡があるわけでもないので、なぜ関所風にしたのかが気になるところだ。

駅構内
駅構内

構内は相対式ホーム2面2線。駅舎側の1番線が高知方面、反対側の2番線が須崎・窪川方面だ。2番ホームには桜の木が植えられているので、春にはさぞ美しいことだろう。

開業記念樹
開業記念樹

駅前広場の隅には駅の開業を記念して植えられたイチョウの木がある。駅の開業が百年前なので、当然この木も樹齢百年。開業に際しては桜や梅、ツツジなど他の木も植えられたそうだが、百年の月日を経て残ったのはイチョウのみに。伐採されそうになるも、記念樹と分かって切るのをやめたという話も残っているそうだ。開業百周年の節目の年に築76年の駅舎が改修された村の玄関口を、イチョウの木はこれからも見守っていくことだろう。

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鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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