ダメ組織から抜け出すにはどうすればいいのか? ダメな職場に染まらない唯一の方法
■「組織論262の法則」とは?
「組織論262の法則」とは、組織は「20%のできる人」「60%の普通の人」「20%のできない人」に構成されやすいとした法則である。これは人間のみならず、アリ等でも同様だ。「働くアリ」「働くふりをするアリ」「働かないアリ」の3種類に分けられ、この配分も「262」になると言われている。
この「262の法則」で興味深いのは、ある層(レイヤー)の構成員が抜けても、残った構成員によって自然と「262」に再構成するということである。
不思議だ。
たとえば「できる人」が組織からいなくなっても、「普通の人」から再び「できる人」が20%現れてくるのである。これは「できない人」が抜けても同様である。アリの世界でも同じで、「働くアリ」を集団から意図的に除いても、他の80%のアリの中から「働くアリ」が誕生してくる。
■「ダメな会社」「ダメな部署」に属していることが運のツキか?
私は現場に入って組織改革をするコンサルタントだ。そのせいもあり、この「組織論262の法則」を何度も目の当たりにしている。採用で「できる人」ばかり集めても、組織が「できる人」ばかりにはならないし、リーダークラスがある事情で抜けてしまっても、残ったメンバーからリーダーが生まれてくる。
この「262の法則」は「人単位」でもあり「組織単位」でも存在する。ある企業を観察したとき、「優秀な部署」「普通の部署」「物足りない部署」に分けられる。もちろん「会社単位」でも存在し、同じ業界でも「素晴らしい会社」「普通の会社」「ダメな会社」と構成されるのである。この法則を知ることで残酷だと感じることもあれば、救われることもある。
絶対的な評価からすると「いまひとつ」の人材であっても、業界の中で「素晴らしい会社」に運よく勤めることができ、運よく「素晴らしい部署」に配属されたら、そこそこの結果を残せるだろう。
それなりの報酬や待遇が保障されることにもなる。反対に、人材としては力があっても、運悪く「ダメな会社」に就き、「ダメな部署」に配属されてしまったら、なかなか這い上がれない。ヒドイ場合は、その組織の「空気」に染まり、自分のポテンシャル自体を下げてしまうことになる。
とくに長い期間「うるさい組織」に所属していると、慢性的に思考ノイズが多くなってしまい、頭が整理できない体質になっていく。
<参考記事>
■原因は「脳のミラーニューロン」
組織風土は人の価値基準を決定付けるインパクトの強い要素だ。
特定の脳の神経細胞(俗称:ミラーニューロン)について覚えておこう。人は近くにいる人の言動のみならず思考までも無意識にモデリングしてしまうものだ。同じ構成員で、組織改革がうまくいかないのはそのせいだ。
家庭のことでも、企業のことでも、外部のカウンセラー、コーチ、コンサルタントに「変革」を依頼するのは、その人物のスキルや能力もさることながら、同じ組織の「空気」に染まっていない人物であるからなのだ。
外部の人材を招聘することよりも現実的な施策は、積極的に外の空気を吸いに出かけること。いろいろな会社や組織の人が集まるセミナーや勉強会、朝会などに出かけるのもよいだろう。違う空気に触れ続けることで「感化」され、現在属しているレイヤーから抜け出すチャンスが手に入る。
気をつけなければならないのは、やはり「262の法則」だ。コーチやコンサルタントなど、外部の人材に組織改革を依頼する場合は、その人物が「262の法則」のどこのレイヤーに属しているか、ということだ。コーチやコンサルタントにも「262」があるからだ。同じように、外部のセミナーや勉強会も、いろんな企業の「上位レイヤー」が集まっているかどうか、問題意識の高い人が絶えず出入りしているかで判断しよう。
「経営者の会」でも、業績の悪い会社の経営者ばかりが集まる会が存在する。ダメ会社の社長は、そういう会にいると居心地がよいのだろう。似たもの同士で傷を舐めあえるため入り浸っている。しかし、そういった会は下の20%に属している。そこに顔を出している限り、そのレイヤーから脱出することはない。
■自分が「262」のどこに位置するのか?
外部のセミナーや勉強会に参加し、意欲の高い人たちと触れ合ったとき、「楽しい」「安らぐ」などと思えるようなら、現在属しているレイヤーから抜け出すことは可能だ。反対に、問題意識の高い人たちと一緒にいると「しっくりこない」「居心地が悪い」と感じるようなら、今のレイヤーにどっぷり浸かりこんでいる証拠。危険だ。「しっくりくる」か「しっくりこない」か、という感覚的なものを判断基準にしてください。
自分を変える、組織を変える、と考えたとき、普段触れている「空気」を変えることがとても重要だ。過去の歴史によって淀んでしまった「空気」は、なかなか変えられない。外に存在する「空気」をうまく取り入れていこう。
<参考記事>