新茶の季節に知りたい「お茶のいれ方」!日本茶のプロがおいしくいれるコツをご紹介
今年の八十八夜は5月2日!
茶摘みシーズンが到来し、既にお店にも新茶が並び始めています!
ここ最近は温暖化の影響もあり暖かく、今年は特に気温が高くなるのが早かったため、茶摘みも前倒しになっている地域も多いとか。
そろそろ新茶が飲みたいなぁと思っている方に、急須でいれるお茶のおいしさをお家でも味わえる「お茶のいれ方」のコツをご紹介します!
新茶とは?
4月下旬から店先に「新茶」という文字が並びますが、そもそも新茶って何?と疑問に思う方も多いと思います。
新茶とは「その年の一番最初に採れたお茶」のことです。
立春から数えて88日目を八十八夜と言い、昔からこの時期に摘んだ新芽を使った新茶を飲むと病気にならないとも言われ、縁起物として扱われてきました。
茶摘みは桜前線のように南の地域からスタートします。鹿児島では4月上旬から始まり、静岡では5月上旬ごろがピークです。
出始めたころの新茶は値段も高く、うま味や甘味の強いものが多い傾向にありますが、5月中旬を過ぎればすっきりした味のお手頃価格の新茶も多く出ます。
お茶をいれる際に大切なポイント3つ
では実際にお茶をいれる準備に入りましょう。
日本茶インストラクターとしてお茶のいれ方講習で必ず伝えているのがこちらの4つです。
- お湯の量
- お湯の温度
- 茶葉の量
- 浸出時間
こちらを意識してお茶をいれることで、おいしさがぐんと違ってきます!
いざ実践!「お茶のいれ方」
普段飲むことが多い煎茶のいれ方をご紹介します。
今回は新茶をいれることをベースにしていますが、一年を通して購入できる煎茶もいれ方は同じです。
用意するものは、急須、人数分のお茶碗、沸かしたお湯、茶葉、です。
今回は2名分のお茶をいれていきます。
100g1000円くらいの茶葉を使用することを想定して、お湯は1人分90~100ml、茶葉は1人分2g程度とします。
※茶葉のランク(値段がめやすとなる)でお湯の温度や量も違ってきますが、今回は一般的な茶葉を想定しています。
手順は下記の4つ。
1.お湯を冷ます
2.茶葉を急須に入れる
3.冷ましたお湯を急須に注いで待つ
4.お茶碗に注ぐ
それぞれポイントを写真付きで解説します。
1.お湯をお茶碗に入れて冷ます
ますお湯をお茶碗に入れます。
こうすることで、お湯を冷ますことに加え計量もできます。
写真のハリオの耐熱グラスは170ml入るサイズなので、7~8分目程度までお湯を注ぐと1人あたりの量は約100ml前後になります。
お湯を器に移すと約5度から1度、お湯の温度が下がります(季節や室温によります)。
沸かしたてのお湯であっても少し置いておいたり保温ボトルに入れたりするとお湯の温度は90度くらいになります。
それをお茶碗にいれると湯温は80度ぐらいに下がります。
100g1200円~2000円以上の上級煎茶は70度くらいでじっくりいれるとうま味や甘味が引き出せますが、上級煎茶であっても新茶ならではの香りを楽しみたい場合は、80度程度がおすすめです。
上級煎茶を使う場合や苦渋味が苦手な方で、さらにお湯の温度を下げたい場合は湯冷ましやマグカップなどにお湯を移し替えると70度まで下げることができます。
2.茶葉を計量して急須にいれる
煎茶の茶葉を急須に入れる際は、慣れないうちはティースプーンを使って計量してみてください。
ティースプーンに軽く1杯が約2グラムです。
ティースプーンはコーヒースプーンより一回り大きいサイズで、100均でも購入できます。
今回は2人分いれるので、急須に茶葉を2杯半ほど入れます。
濃い目が好きな方は茶葉を多めにするなど自分好みに調節してみてください。
3.お湯を急須に入れてふたをして待ちます
お茶碗で冷ましたお湯を急須にいれてふたをします。
浸出時間のめやすは普通煎茶なら1分、深蒸し煎茶なら30秒です。
キッチンタイマーがあると便利です。
お家にある茶葉が昔ながらの普通煎茶なのか深蒸し煎茶なのかわからない方は、パッケージを見て「深蒸し」とあれば深蒸し煎茶です。
しかし、パッケージに記載がないものもあるので、どちらかわからない場合はこちらの写真で茶葉の形状の違いを確認してみてください。
普通煎茶
京都の宇治茶、静岡の山間部(川根、天竜など)は普通煎茶が主流です。
関西では普通煎茶が飲まれることが多いです。
深蒸し煎茶
静岡の平野部(牧之原、掛川など)、鹿児島の平野部(知覧など)、福岡の八女茶は深蒸し煎茶が主流です。
関東では深蒸し煎茶が人気があり、店頭でよく見かけるのは深蒸し煎茶です。
4.お茶碗に「回し注ぎ」しながら最後の一滴まで注ぐ
回し注ぎというのは、複数個のお茶碗にお茶を注ぐ場合のテクニックです。
お茶碗が2つの場合はお茶碗を行ったり来たりして、1→2、2→1、と繰り返し少しずつ注ぎます。
3人分でお茶碗が3つの場合は1→2→3,3→2→1を繰り返します。
こうすることで、それぞれのお茶碗の中のお茶の量と濃さが均一になります。
また、最後の一滴まで注ぎきっておくと、急須の中に余分な水分が残らず二煎目もおいしくいれることができます。
二煎目をいれる前のポイント
このままだと急須の内側の茶こし部分に茶葉がくっついていて、二煎目のお湯を注ぐと茶こしに茶葉が詰まってうまくお茶が注げないことがあります。
詰まりを防ぐために、ふたと急須を押さえながら急須の口と反対側(下の写真の青く囲んだ部分)をトントンと軽くたたいて、急須の口側の茶こしの部分にくっついている茶葉と急須の内側との間に空間を作ります。
トントンと軽くたたいた後は下の写真のように茶こしと茶葉の間に空間ができます。
ここまで空間ができていなくても、隙間ができていればOKです。
そして、急須の中で茶葉が蒸れすぎないように、二煎目をいれるまで蓋は少しずらしておきます。
最初はちょっと面倒かもしれませんが、これらのひと手間でお茶の味がぐっとおいしくなりますので、ぜひ試してみてくださいね。
二煎目は一煎目よりお湯の温度を上げて、浸出時間は普通煎茶なら30秒程度、深蒸し煎茶は濃くなりすぎるため待たずにすぐお茶碗に注ぎます。三煎目も同様です。
和菓子などのお菓子と一緒にお茶を楽しむ場合は、一煎目はお茶そのものの繊細な香りと味を味わうためにそのまま飲んで、しっかり濃い味の二煎目や三煎目と一緒にお菓子を食べることをおすすめします。
さらにおいしく!お茶をいれる際のポイント
お茶をいれる際に、高温のお湯でいれるなら浸出時間は短く、低温なら浸出時間は長くとるのが基本です。
お湯の温度が高いと苦渋味が出やすい反面、香りが立ちます。
お湯の温度が低いとうま味や甘味は引き出せますが、香りは少し弱くなります。
低温でじっくり抽出する上級煎茶はお湯の量も少な目にして浸出時間も長めにとることで濃厚なうま味や甘味も引き出せます。
逆に、お値段がお手頃な日常使いの煎茶は90度ぐらいで浸出時間を短くするとすっきりした苦渋味と香りが立ちます。
日常使いの煎茶の茶葉にはそもそもうま味や甘味はあまり含まれていないので、どんなに低温でじっくりいれてもぼんやりした味のお茶になってしまいます。
茶葉に適した温度があるので、茶葉を購入する際にお店の人にいれ方を聞いたり、湯温や浸出時間を変えて何度かいれてみることをおすすめします。
新茶の季節にお茶を気軽に楽しんで!
一年で一番フレッシュな茶葉の香りと味が楽しめるのが5月から6月の新茶の季節です。
急須やティーポットがある方はぜひお茶をいれてみてください。
急須やティーポットがない方は、お湯の冷まし方は今回の説明を参考に、過去記事「マグカップと100均のだしパックを使って日本茶をいれる時短ドリップバッグ」を参考にいれてみてください。
季節の和菓子とともに今年の新茶を楽しんでみてくださいね!
新茶についての過去記事まとめ
・新茶飲むなら「今でしょ!」新茶って何が特別なの?の疑問にお答えします(2021年)
・新茶の季節に覚えておきたい「お茶の保存方法」美味しいうちに飲み切るコツ!(2021年)
・栄養豊富な「茶殻」を食べる!「和えるだけ」で一品完成!食べても美味しい新茶の茶殻(2021年)
・おいしくお茶を飲むために知っておきたい「急須」にまつわる5つのポイント(2021年)