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金沢の町屋カフェ「久連波(くれは)」で絶品和菓子と抹茶を堪能!江戸の風情と加賀友禅の美しさも楽しめる

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター
石川県金沢市にある町屋カフェ「久連波(くれは)」の店内でいただく絶品和菓子と抹茶

秋の金沢は兼六園をはじめ美しい場所がたくさんあります。

先日、初めて訪れた金沢で一番行ってみたかったお店に伺いました。

日本茶や日本文化に詳しい方々が口をそろえて「行くべし!」とおすすめしてくださったお店。

それが、今回ご紹介する「久連波(くれは)」さんです。

江戸の情緒あふれる雰囲気のお店で、絶品和菓子と抹茶をいただきました!

金沢の観光名所「ひがし茶屋街」にあるお店

江戸時代からの町屋が保存されている金沢の東山エリアに位置するひがし茶屋街(ちゃやがい)。

小京都とも呼ばれる町並みは、京都の祇園や先斗町に似ていて、古い町屋が連なる石畳の道を歩くとまるでタイムスリップしたかのような雰囲気。

ひがし茶屋街でも観光客でにぎわうメインロードから1本入った小路は休日でも静かに散策できます。人がいない瞬間を狙ってパチリ。
ひがし茶屋街でも観光客でにぎわうメインロードから1本入った小路は休日でも静かに散策できます。人がいない瞬間を狙ってパチリ。

メインロードは観光客でにぎわっていますが、少し入ると静かな通りもあり、ゆっくりと古風な街並みを見ながら散策できます。

石川県観光公式サイト(外部サイト)によると、ひがし茶屋街は美しい出格子と石畳が続く古い街並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているそう。

金沢駅からバスで10分ほど。

市内観光で巡る場合、兼六園から歩くこともできる距離です(筆者の足で20分から30分程度でした)。

ひがし茶屋街は金沢グルメはもちろん、石川県の伝統文化や伝統工芸にも触れられるお店がたくさんあり、見ていて楽しいお店ばかりです。

加賀友禅の呉服店が営む町屋カフェ「久連波(くれは)」

金沢へ行く際に、日本茶マニアの方や日本文化に詳しい方の誰もが「ここはおすすめ!」「ぜひ行ってほしい!」と推薦してくださったのが、江戸時代からの町屋を利用したカフェ「久連波(くれは)」さん。

江戸時代から続く金沢の老舗呉服店が営む加賀友禅のギャラリーに、町屋の雰囲気が楽しめるカフェが併設されているとのこと。

そんなにおすすめならぜひ行かねば!とわくわくしながら地図をたよりに歩いていくと、ありました!

1階は加賀友禅の小物や着物を扱う友禅ギャラリー「久連波」。1階の一部と2階が茶房「くれは」。
1階は加賀友禅の小物や着物を扱う友禅ギャラリー「久連波」。1階の一部と2階が茶房「くれは」。

とても素敵な風情ある建物です。

お店の横にかかっている看板にはこのような説明書きが。

こちらの建物はひがし茶屋街でも特徴的な建物だそうで、入る前から興味津々。

入り口にはカフェのメニューも置いてあります
入り口にはカフェのメニューも置いてあります

どんなお店だろう?と中に入ってみると、1階は加賀友禅の小物や雑貨が並ぶギャラリーとなっています。

加賀友禅を使った品々がたくさん並んでいて見ていて楽しい
加賀友禅を使った品々がたくさん並んでいて見ていて楽しい

小物入れやポーチ、ヘアゴムなど、金沢土産にぴったりの可愛い雑貨が揃っています
小物入れやポーチ、ヘアゴムなど、金沢土産にぴったりの可愛い雑貨が揃っています

カフェの利用を伝えると、2階へどうぞと案内されました。

くつを脱ぎ、少し急な階段を上ると、そこは別世界!

町屋の雰囲気がそのままの2階の茶房

わぁ!と声がでるほど、そこには江戸時代にタイムスリップしたかのような空間が広がっています。

階段を上ったところにある部屋と部屋を繋ぐ通路も畳敷き(許可をいただき撮影しております)
階段を上ったところにある部屋と部屋を繋ぐ通路も畳敷き(許可をいただき撮影しております)

2階には4部屋あり、それぞれに趣向がこらされたインテリアが出迎えてくれます。

障子も素敵ですが、障子を開け、窓を開けると通りを挟んだ向かいの町屋や街灯が見え、素敵な雰囲気です
障子も素敵ですが、障子を開け、窓を開けると通りを挟んだ向かいの町屋や街灯が見え、素敵な雰囲気です

テーブルとテーブルの間にゆとりがあるので、ゆったりとくつろげます。

障子が扇形になっていて、こちらのお部屋も素敵です
障子が扇形になっていて、こちらのお部屋も素敵です

どのお部屋も落ち着いた雰囲気でとても素敵です。

さりげなく飾られている「御几帖(みきちょう)」。「紫根地霞に松藤たんぽぽ文様長絹」という能装束の文様と技法を当時に近い形で再現したもの。貴重なものがさりげなく飾られている店内のインテリアも必見。
さりげなく飾られている「御几帖(みきちょう)」。「紫根地霞に松藤たんぽぽ文様長絹」という能装束の文様と技法を当時に近い形で再現したもの。貴重なものがさりげなく飾られている店内のインテリアも必見。

カフェのメニューは抹茶と和菓子だけでなく、抹茶や加賀棒茶を使ったドリンクやスイーツ、ぜんざいやパフェ、軽食まで豊富に揃っています。

散策の合間にひと息つくのにぴったりのお店ですね。

11月1日からの冬メニューはこちら。上生菓子1つと抹茶をセットでいただくと1050円になります。
11月1日からの冬メニューはこちら。上生菓子1つと抹茶をセットでいただくと1050円になります。

カフェでいただく金沢の和菓子の名店「吉はし」の和菓子

私が訪れた目的はこちらで和菓子と抹茶をいただくこと。

おすすめしてくださった方々が口をそろえておっしゃるには、金沢では「吉はし」さんの和菓子は必食ですよ!とのこと。

日本茶好きと和菓子好きの方々の激推しの「吉はし」さんの和菓子。

聞くところによると、吉はしさんの和菓子は前日までに予約しお店で受け取るスタイルで、店内では食べられないとのこと。

主に茶道のお茶席や料亭向けに和菓子を作られている和菓子屋さんなのだそう。

そんな貴重な和菓子が、久連波さんのカフェでは1つから注文でき抹茶とともにいただけるなんて!

いったいどんな和菓子なの?と楽しみに久連波さんのカフェを訪れたのでした。

和菓子は取り置き可能

実はこの日が旅の最終日。

帰るまでにどうしても久連波さんで和菓子が食べたい私はお店に問い合わせてみました。

お電話で尋ねると、お席の予約はできないが和菓子の取り置き(予約)は可能と聞き、取り置きしていただきました。

この日の上生菓子は3種類。

栗きんとんもあるとのことで、そちらもお願いしました。

どうしてそこまで?とお思いかもしれませんが、伝統工芸だけではなく古くから茶の湯文化が根付いている金沢は和菓子大国でもあるのです!

その金沢で誰もが絶賛する「吉はし」さんの和菓子

食べないで帰るわけにはいきません。

それはもう、気合十分で臨みます(目が真剣)。

念願かなって「吉はし」さんの和菓子を、いざ実食!

注文した和菓子と抹茶が運ばれてきました!

わぁ~!と思わず感嘆の声。お皿も和菓子に合うようにセレクトしてくださっていてうれしいです。
わぁ~!と思わず感嘆の声。お皿も和菓子に合うようにセレクトしてくださっていてうれしいです。

さてさて、どれからいただきましょうか。

手前左が栗きんとん、右が「唐錦(からにしき)」、右奥が「里の秋」、奥の中央が「鹿の子(かのこ)」
手前左が栗きんとん、右が「唐錦(からにしき)」、右奥が「里の秋」、奥の中央が「鹿の子(かのこ)」

季節は秋。

まず、栗きんとんからいただきます。

栗きんとん
栗きんとん

なめらかな舌触り。

栗の香りがしっかり感じられとてもおいしいです。

上生菓子「唐錦(からにしき)」
上生菓子「唐錦(からにしき)」

お次は上生菓子の「唐錦(からにしき)」。

とてもやわらかくとろけるような練り切り生地の中に、白粒あん。

いえ、白つぶしあんと言った方がよいのでしょうか。

時々感じる白小豆の食感が楽しい上生菓子です。

これまで各地の様々な和菓子を食べてきましたが、こんな食感の上生菓子は初めてです!

上生菓子「里の秋」
上生菓子「里の秋」

それから、お次は「里の秋」。

柿の実を模した上生菓子です。

こちらはなめらかなねりきり生地にこしあんが包まれています。

上品なこしあんは甘さ控えめでとてもおいしいです。

上生菓子「鹿の子(かのこ)」
上生菓子「鹿の子(かのこ)」

最後は「鹿の子(かのこ)」。

茶色に白の水玉もようがバンビのような小鹿を表しているのでしょう。

秋の山を飛び跳ねて、体に紅葉の葉っぱが付いている小鹿を想像すると、なんだかとってもかわいく見えてきます!

こちらはねりきり生地に白こしあんが入っています。

上生菓子のデザインは日替わり!

ここまででお気付きでしょうか。

上生菓子の中に入っている餡子が全て違うのです!

お店の方に伺うと、吉はしさんでは毎日上生菓子の意匠(デザイン)と菓銘(お菓子に付けられた名前)が変わり、それぞれ中に入っている餡子も違うのだそう。

毎日違ったものを作るなんて!

さらに餡子も数種類用意して上生菓子に使っているとは!

きめ細かいお仕事をされている和菓子屋さんなのですね。

味はもちろんのこと、金沢で人気なのも大変よくわかりました。

抹茶は「京はやしや」のものを使用

日本茶マニアとしては抹茶についても伺ってみなくては、とお尋ねしたところ、京都の「京はやしや」さんの「許波多の白(こはたのしろ)」という抹茶を使っているとのこと。

甘い和菓子の後に飲むとさらっとおいしい抹茶です。

やはり上生菓子には抹茶がよく合います

江戸の風情あふれる雰囲気の中、ゆっくりと美しい絶品和菓子と抹茶を楽しむことができました。

次に金沢へ来たらまた久連波さんで和菓子と抹茶を堪能したいと思います!

店内では加賀友禅の実演も

この日は日曜日。

ちょうど久連波さんの1階で加賀友禅の職人さんの実演があり、見学させていただきました。

こちらは加賀友禅の老舗呉服店が営むお店だけあって、店内の至る所で加賀友禅の魅力を存分に味わえます。

お店の1階の奥の部屋で加賀友禅の着物の展示や実演が見られます(実演はこの期間は日曜日のみ)
お店の1階の奥の部屋で加賀友禅の着物の展示や実演が見られます(実演はこの期間は日曜日のみ)

この日は加賀友禅職人の牧野顕三さんが下絵に糊を置く実演をされていました。

職人さんの作業を間近で見るのは初めて!

とても貴重な機会です!

下絵の線に沿って糊を置いていく様子。簡単そうに見えますが、均一に糊を置き、色を入れて染める際に防波堤のようになる部分を作る、とても細かい作業です。
下絵の線に沿って糊を置いていく様子。簡単そうに見えますが、均一に糊を置き、色を入れて染める際に防波堤のようになる部分を作る、とても細かい作業です。

こちらからの質問にもたくさんお答えいただき、加賀友禅がどのように作られているのかを教えていただきました。

お話を伺って加賀友禅にますます興味がわきました!

加賀友禅の制作中にはいつも日本茶を召し上がる職人の牧野さん。仕事前には玉露、仕事中には煎茶、夕方はほうじ茶、と相当な日本茶通とお見受けしました。
加賀友禅の制作中にはいつも日本茶を召し上がる職人の牧野さん。仕事前には玉露、仕事中には煎茶、夕方はほうじ茶、と相当な日本茶通とお見受けしました。

店内では、牧野さんが一つ一つ丁寧に描き染めて作成した加賀友禅の飾り扇子や色紙などの作品が並んでおり、購入することもできます。

四季折々の花鳥風月が描かれた作品はどれも手描きの一点もの。加賀友禅のやわらかで華やかな色合いが素敵です。
四季折々の花鳥風月が描かれた作品はどれも手描きの一点もの。加賀友禅のやわらかで華やかな色合いが素敵です。

かさ張らない扇子や色紙なら、海外へのお土産にも良さそうですね。

外国人観光客の方にも人気だそうです。

着物では表現できない意匠も色紙や小物には自由に表現できるので楽しく制作しているのだそう。見ているこちらも楽しくなる雰囲気の作品です。
着物では表現できない意匠も色紙や小物には自由に表現できるので楽しく制作しているのだそう。見ているこちらも楽しくなる雰囲気の作品です。

牧野さんの作品の展示販売は11月25日まで、実演は期間中毎週日曜日とのこと。

加賀友禅職人 牧野顕三さんのホームページ(外部サイト)

久連波さんへ行かれたら、ぜひご覧ください!

着物のレンタルも可能

久連波さんでは、着物をレンタルして撮影や街歩きも可能なのだそう。

加賀友禅の着物を着て古風な町並みで撮影なんて、素敵な旅の思い出になりそうです。

この日もひがし茶屋街を着物で楽しそうに歩く観光客の方が何人もいらっしゃいました。

次に訪れる際はぜひ加賀友禅を着て、優雅な時間を過ごしてみたいです。

金沢で絶品和菓子と抹茶を楽しめるお店「久連波」

今回の旅は、あまり予定を立てておらず行き当たりばったりにもかかわらず、たくさんの素敵な場所を訪れることができました。

京都よりコンパクトで移動しやすく、散策しやすい金沢。

心なしか、都内近郊より時間がゆっくりと流れているような気がします。

「久連波」さんでは老若男女、国籍を問わず、ゆったりと静かな雰囲気を楽しんでいらっしゃいました。

加賀友禅の美しさにも触れられる素敵なお店「久連波」さんで、絶品和菓子と抹茶を味わってみませんか?

加賀友禅ギャラリー「久連波」/ 茶房「くれは」

石川県金沢市東山1-24-3

営業:10時~18時(カフェは17:30まで)

定休日:水曜日

電話: 076-253-9080

久連波Instagram(外部サイト)

久連波ホームページ(外部サイト)

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。 美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。 日本茶の商品開発、カフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導も行う。 NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。 日本語教師(外国人対象)。

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