栄養豊富な「茶殻」を食べる!「和えるだけ」で一品完成!食べても美味しい新茶の茶殻
春の柔らかい芽を摘んだ新茶、もう召し上がりましたか?
「このお茶、おいしい!」と気に入った味のものがあれば、ぜひ茶殻も食べてみてください。
苦渋味の少ない上質なものは、茶殻もおいしいのです!
え?茶殻を食べるの?と驚かれることもありますが、茶殻を侮ることなかれ。
美味しいうえに、茶殻に残る栄養素も丸ごと摂れますよ。
せっかく買った新茶の茶葉。「和えるだけ!」の簡単レシピで丸ごと活用してみましょう!
茶殻は実は栄養たっぷり!
上質な新茶は茶殻も美味しい!
ツウはみんな食べています(たぶん)。
「今まで捨てていた!」という方、もったいないですよ!
なぜなら、茶殻は栄養たっぷりなのです。
お茶を淹れた際、茶液にはカテキンやカフェイン、アミノ酸のテアニン、水溶性の食物繊維やビタミンCなどが溶けだしています。煎を重ねるとその都度だんだん薄まりながらも抽出されますが、脂溶性の成分は茶殻に残ったままです。
茶葉には脂溶性のビタミンA(β-カロテン)、ビタミンE、脂溶性の食物繊維、ミネラル(カリウム・鉄分・亜鉛・フッ素)などが含まれます。茶殻を食べることで、こちらも摂取できるのです。
日本茶研究の第一人者である農学博士の大森正司先生は著書『日本茶インストラクターに学ぶお茶の本』の中で、「大さじ1杯の茶葉(乾燥した状態)を食べると一日分のカテキンを摂ることができる」とおっしゃっています。
価格帯の高い上級茶の新茶なら、茶殻の見た目も美しく、食べておいしく、栄養も摂れる。ぜひ、試していただきたいです。
食べるなら玉露か上級煎茶の茶殻
では、どんな茶殻ならおいしく食べられるでしょうか。
番茶やほうじ茶は硬くて大きい葉を原料にすることが多いので、茶殻を食べるには不向きです。
厳選された柔らかい新芽を摘んだ玉露や上級煎茶は、茶殻になっても柔らかく美味しく食べることができます。
新茶のおいしいこの時期のおすすめは、上級煎茶の「新茶」茶葉。
深蒸し煎茶も昔ながらの製法の普通煎茶もどちらもおいしいですが、私のおすすめは普通煎茶の茶殻です。
普通煎茶は茶殻にしても葉の形状がはっきりと残り食感が良く食べ応えがあって、おかずやおつまみの一品になるのです。
上質な茶殻を美味しく食す
上級のお茶(値段に比例します)ほど苦渋味も少なく、葉っぱも柔らかく美味しいです。
玉露の場合は苦味や渋味が少ないので、幅広い調味料と相性がよいのですが、新茶が多く出回る時期ですので、少し苦渋味もある上級煎茶の新茶の茶殻を使います。
水出し茶の茶殻はどうしても味が水っぽくなりますので、できれば急須で三煎以上淹れた後の茶殻をご活用ください。
では、茶殻はどのようにしたら美味しく食べられるでしょうか。
お料理が得意な方は沢山レシピが思いつくのではと思いますが、今回はどなたでも簡単にすぐにできる「和えるだけ」のアレンジです。
まず、何も付けない状態で茶殻を食べてみます。
柔らかいけれど柔らかすぎず、少しシャキシャキした食感。このままでも美味しいです。
さらに、家にあるものを使って簡単にアレンジしてみました。
①お醤油
さすが万能調味料のお醤油。茶殻の苦渋味もマイルドになります。
これで一品完成!な味です。
味噌も美味しいですが、味噌味が強くなるので味噌の場合は少量が良いでしょう。
②鰹節
茶殻に残るうま味(テアニン)と鰹節のうま味(イノシン酸)あいまって美味しくなりました。塩分が無くてもこれだけでも美味しいです。ご飯に載せるなら少しお醤油を足すのがおすすめです。
③塩昆布
こちらも茶殻のうま味と昆布のうま味(グルタミン酸)の相乗効果でしょうか。塩味もあるので、このままご飯のおともに。
塩味が渋味を助長させる傾向がありますが、気になる方はほんの少しお醤油を足すと味がまろやかになります。
④鮭ほぐし
シンプルな味の鮭ほぐしと和えてみました。こちらは上品なおかずといった感じです。家族にも好評で、箸休めにも良い味です。
⑤味付け海苔
昆布とも相性が良かったので、海苔もどうかな、と試してみました。味付け海苔なので、ほんのり醤油味があり海苔と茶殻の香りも相性よく美味しいです。
他にも乾物や調味料など、お家にあるものを利用してぜひ試してみてくださいね。
もっとお料理感を出したい方は、茶殻の水分を切り炒飯にした「茶ーハン」(笑)とか、油で炒めながら砂糖・酒・味醂・醤油などで味付けし鰹節やゴマなどを混ぜたふりかけもおいしいですよ。
カフェインに注意
とはいえ、茶殻にもカフェインは含まれていますので、カフェインを控えている方や小さいお子様は注意が必要です。
おいしいのでつい沢山食べたくなるのですが、茶殻を食べる場合も適量にしましょう。
丸ごと食べる利点
お茶を飲んだ後の茶殻まで丸ごと食べる利点としては、ゴミを減らせるということも上げられます。
もちろん、茶殻は食べる以外にも利用方法があります。
乾燥させて消臭剤代わりにしたり、肥料にしたり、箒での掃除に利用したり、昔ながらの知恵が沢山です(別途記事にする予定です)。
でも、丸ごと食べてしまえば、ゴミはゼロ。おかずの一品も増えて一石二鳥ですね。
上質の茶殻は食べて、番茶やほうじ茶など食べるのには向かない茶殻はそれ以外の利用方法で、と利用すると無駄がなくエシカルライフにも繋がります。
無理のない範囲で、楽しく気負わず、生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考:『日本茶インストラクターに学ぶお茶の本』大森正司著(キクロス出版)、『日本茶の図鑑』監修:公益社団法人日本茶業中央会、NPO法人日本茶インストラクター協会(マイナビ出版)
ご参考までに、今回使用の茶葉。