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クレジットカードに加盟していながら利用できない飲食店の大罪とは何か?

東龍グルメジャーナリスト
(写真:アフロ)

クレジットカードの利用制限

<店舗のクレカ金額制限は加盟店規約違反、「5000円から」「ランチではお断り」はNG>という記事が配信されていました。

キャッシュレス化が遅れているといわれている日本でさえも、今の時代は都内の飲食店であれば何かしらのクレジットカードに加盟しています。しかし、クレジットカードに加盟しており、使えると謳っていながらも、客に利用を制限している飲食店があるということです。

日本では、クレジットカード会社との契約で、飲食店がクレジットカードの利用を客に制限してはならないことになっているだけに、様々な意見が飛び交いました。

私は、外食産業においてクレジットカードは大きな役割を果たすと考えているだけに、この件を由々しき問題であると捉えています。

以下のように順々に考えていきましょう。

  • 現状の把握
  • 飲食店の立場
  • クレジットカードの重要性

現状の把握

現状はどうなっているのでしょうか。

記事中でも記載されているように、クレジットカードの利用はランチでは不可となっていたり、特定の値段以上でなければ利用できなかったりするケースは少なくありません。それらが組み合わさり、ランチでコースを注文した場合のみ利用可能であることも見受けられます。

金額で制限している場合には、3000円や5000円という金額からクレジットカードを利用可能にしている場合が多いです。ただ、1万円以上というケースも稀に見かけられます。

客に転嫁する、つまり、クレジットカードで支払うのであれば、請求額にクレジットカード加盟店手数料を上乗せするケースはあまり多くありません。

クレジットカードで支払う場合に値段を高くすることはあえて公にされないことも多いので、目立たないだけで、それなりに行われている可能性はあります。

しかし、インターネットでのショッピングが一般的となった今では、外食でクレジットカードを利用した時にだけ値段が高くなれば、違和感を覚えることでしょう。SNSや口コミサイトも一般的となっているだけに、クレジットカードにだけ料金を上乗せすることは難しくなっていると言えます。

飲食店の立場

飲食店側の立場で考えてみましょう。

まず、どうして飲食店はクレジットカードに加盟するのでしょうか。

それは、単価の高い客はクレジットカードを利用することが多かったり、持ち合わせの現金が少ない客にもっとお金を使ってもらいたかったりするからです。

では、どうして、クレジットカードの加盟店になっているのに、飲食店ではクレジットカードの利用に制限を設けようとするのでしょうか。

それは、クレジットカード会社や飲食店によっても異なりますが、通常は5%前後とされるクレジットカードの加盟店手数料を飲食店が負担に感じているからです。飲食店の利益率は10%程度なので、利益の半分くらいを手数料として支払うことになります。これでは負担に感じても仕方ないかも知れません。

特に、単価の安いランチや手頃なメニューでも手数料を取られてしまうと、利益は雀の涙になってしまいます。そのため、クレジットカード会社との契約ではいけないとされていながらも、このような制限が設けられてしまうのでしょう。

ただ、飲食店は自身の売上を増やすためにクレジットカードへ加盟したのです。どうしても加盟店手数料を支払いたくなければ、クレジットカードへ加盟しなければよいので、規約違反を認めてよい理由にはなりません。

クレジットカードの重要性

飲食店とクレジットカードについて説明してきたところで、ここからが私が述べたいことになります。

私はノーショー(無断キャンセル)やドタキャンに関して、最近では以下のような記事を書いてきました。

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ノーショーやドタキャンを解決するには、ノーショーやドタキャンがよくないことであると訴えていくことも重要ですが、食のITであるFoodTech(フードテック)が非常に有効です。

例えば、予約台帳を通し、クレジットカードの番号を入力して予約するようになれば、ノーショーやドタキャンが起きた場合に、飲食店はクレジットカードからキャンセルポリシーに従った料金を請求でき、大きな損害を免れることができます。

もしくは、特定の人数や金額以上の場合にデポジットを支払ってもらったり、もしくは、全てを事前決済にしたりすることができれば、ノーショーやドタキャンは劇的に少なくなるはずです。

こういった施策には、クレジットカードという決済手段を前提にしています。従って、このようなノーショーやドタキャンがない世界を実現するためには、多くの飲食店でクレジットカードが導入され、客が現金ではなくクレジットカードを利用することが普通になっている必要があります。

それには飲食店におけるクレジットカードの信用度が高くなっていなければなりません。従って、クレジットカード加盟店であるにも関わらず、クレジットカードが利用できないことなどあってはならないのです。

ただ、飲食店が規約違反を犯してまでクレジットカードの利用を制限するのは、利益確保という切実な理由があるからです。飲食店が潰れてしまっては仕方がないので、世界的にも高いとされている日本のクレジットカード加盟店手数料がもっと下げられる必要もあるでしょう。

飲食店からすれば、ノーショーやドタキャンを防ぐことができれば損害が減りますし、クレジットカード加盟店手数料が少なくなればクレジットカードに加盟するハードルが下がります。

クレジットカード会社からすれば、クレジットカード加盟店手数料が減っても、クレジットカードを利用する人が増えれば、売上の穴埋めもできます。より多くの人にクレジットカードを使ってもらった方がよいので、中長期的に鑑みればよいことではないでしょうか。

クレジットカードが前提

世界的にIT化やキャッシュレス化が進む中で、先進国の中では遅れているといわれている日本も、この流れは例外なく訪れています。キャッシュレスは、オペレーションを効率化したり、利便性を高めたりするだけではなく、ノーショーやドタキャンを解決するための重要な手段にもなっています。

ノーショーやドタキャンは食品ロスとの問題とも関連しているだけに、絶対に撲滅していかなければなりません。そのためには、事前決済を円滑に遂行したり、キャンセルポリシーに即した金額を引き落としたりできるクレジットカードは、飲食店にとって必要不可欠であり、飲食店はクレジットカードの信用を毀損してはならないのです。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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