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【神戸市】神戸電鉄創業者、山脇延吉の碑を訪ね神鉄道場駅へ!難工事を経て生まれた神鉄は神戸市民の誇り

斎信夫(いつき)WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

阪急電鉄の創業者である小林一三は、多くの人に知られていますが、神戸電鉄の創業者は誰?と聞いてすぐ答えられる神戸市民はおそらくごく僅かではないでしょうか。神戸電鉄の前身、神戸有馬電気鉄道の創業者は、1875(明治8)年に有馬郡塩田村(現神戸市北区道場町塩田)に生まれた山脇延吉(やまわきのぶきち)という人物です。その山脇延吉の碑が生誕地の神戸電鉄神鉄道場駅にあると聞いて、ちょっと訪ねてきました。神戸電鉄の歴史と共にご紹介します。

駅構内の案内図にも「山脇延吉翁の碑」と記載されています。

駅の西側を出たところにある案内板に沿って進みます。

すぐ近くには古墳もあります。(別記事で紹介の予定)

駐輪場横の階段を降りて行くと・・・

あ、ありました。

緑に囲まれた中に、山脇延吉翁頌徳碑がひっそり佇んでいます。ここまで駅から徒歩約3分。

「故正六位勲五等功四級山脇延吉君ハ明治八年二月有馬郡道場村ニ生レ・・・」と、山脇延吉の功績が記されています。

この碑は、山脇延吉の死後2年経過した1943(昭和18)年に建立されました。当時は「道場川原駅」という駅名だったそう。

山脇延吉は、兵庫県会議長を三度務め、帝国農会副会長など農政関係の重要ポストを歴任した農政家であり、治山治水にも尽力してきました。

昭和恐慌で農民が苦しんだ際には、政府に意見書を出して救済費の計上と経済更生部の新設を実施させるなど、農村振興に一身を賭した事でも知られています。

神戸電鉄有馬線有馬温泉駅
神戸電鉄有馬線有馬温泉駅

鉄道実業家でもある山脇延吉。三田~有馬間の鉄道敷設を目指し、1913(大正2)年に鉄道敷設免許を申請。1914(大正3)年に山脇延吉が社長となり有馬鉄道株式会社を設立。1915(大正4)年4月に一旦開業するも、鉄道院(後の鉄道省)に借り上げられ国鉄有馬線に。

一旦路線を手放した山脇延吉は、再び1923(大正12)年11月に鉄道敷設免許を出願。1926(大正15)年3月に、神戸有馬電気鉄道株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。これが、現在の神戸電鉄の始まりです。

神戸電鉄有馬線有馬温泉駅
神戸電鉄有馬線有馬温泉駅

その後、山脇延吉は、私財を投げ打って鉄道敷設工事を進め、急勾配が続く場所での難工事を乗り越えた末、1928(昭和3)年に、湊川駅から鈴蘭台駅を経て電鉄有馬駅(現在の有馬温泉駅)までの有馬線を開業させました。

神戸電鉄有馬線湊川駅
神戸電鉄有馬線湊川駅

また、同年12月には、唐櫃駅(現在の有馬口駅)と三田駅を結ぶ三田線も開業。

神戸電鉄三田線三田駅
神戸電鉄三田線三田駅

1936(昭和11)年、鈴蘭台と三木を結ぶ三木電気鉄道株式会社が設立され、1947(昭和22)年に、神戸有馬電気鉄道と合併。神有三木電気鉄道という名称を経て1949(昭和24)年に神戸電気鉄道株式会社に社名を変更。1952(昭和27)年4月には、電鉄小野駅と粟生駅間を結ぶ粟生線が全線開通しました。

神戸電鉄粟生線粟生駅
神戸電鉄粟生線粟生駅

1988(昭和63)年4月1日には、現在の社名である神戸電鉄株式会社となり、1991(平成3)年10月に横山駅とフラワータウン駅を結ぶ公園都市線が開業。1996(平成8)年にはウッディタウン中央駅まで延長され公園都市線が全線開通。これで現在営業運転している全ての路線が開通したことになります。

神戸電鉄公園都市線フラワータウン駅界隈
神戸電鉄公園都市線フラワータウン駅界隈

山脇延吉は、父の代から「有馬郡を南北に走る鉄道」構想を描いていましたが、現在の神戸電鉄は、特に神戸市北区、西区の一部地域の住民にとってはなくてはならない交通機関となり、有馬温泉へは多くの観光客を運んでいます。

神戸電鉄有馬線鈴蘭台駅
神戸電鉄有馬線鈴蘭台駅

粟生線は輸送人員の減少で存続が危ぶまれてはいますが、2009(平成21)年には、「神戸電鉄粟生線活性化協議会」が発足、2012(平成24)年には、「粟生線の未来を考える市民の会」が結成され、粟生線サポーターズくらぶなど、存続の為の様々な努力がなされています。

神戸電鉄粟生線藍那駅
神戸電鉄粟生線藍那駅

2020(令和2)年11月には、神鉄沿線リノベーションに関する連携協定が神戸市と締結され、神鉄沿線の活性化を図るべく「神鉄沿線モヨウガエ(愛称:KOBE3 こうべきゅーぶ)」プロジェクトが始まりました。

「神戸市 × 神戸電鉄 × 神戸を想うあなた」というキャッチフレーズのもと、人が集まり、今よりもっと笑顔であふれる神鉄沿線を目指し、様々なイベントや活動が行われています。

100年以上も前の山脇延吉の構想から始まった歴史ある神戸電鉄は、神戸市の都心部から急勾配が続く六甲山地域を駆け抜け、神戸市北区、三田市、三木市、小野市を結ぶ、総合計69.6kmの路線を持つ民営鉄道です。

登山鉄道としての性格も有し、箱根登山電車、南海電鉄などと共に全国登山鉄道‰(パーミル)会にも加入。

神戸電鉄マスコットキャラクター しんちゃん
神戸電鉄マスコットキャラクター しんちゃん

沿線住民以外の方にとっては、有馬温泉に行くときぐらいしか乗らないよという方も多いかと思いますが、沿線には自然が多く、都心の風景とはまた違うもうひとつの神戸に出合えます。神戸電鉄の歴史に思いを馳せながら、ぜひ神戸電鉄沿線のスポットにお出かけしてみてくださいね。下記の記事もご参考に!

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基本情報
施設名:山脇延吉翁頌徳碑
住所:兵庫県神戸市北区鹿の子台北町1丁目1
アクセス:神戸電鉄三田線神鉄道場駅下車、徒歩約3分

神戸電鉄 公式サイト
神戸電鉄 公式Facebook
神戸電鉄 公式Instagram
神戸電鉄公認 YouTube しんてつ+わんチャンネル
神戸電鉄粟生線活性化協議会 粟生線サポーターズくらぶ

神鉄沿線モヨウガエ (神戸市×神戸電鉄)

WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

兵庫県西宮市生まれの神戸育ち。テクニカルライターを経て、1998年より会社を設立しWEBクリエイター、フリーライターとして活動。数々の旅行関連サイトを企画・運営。LINEトラベルjp元編集者兼ライター。沖縄と北海道が大好きで6年半沖縄市に在住。海外は特に台湾が好きで渡航回数10回以上。「週刊日本の島(デアゴスティーニ)」専属ライター&フォトグラファーとして沖縄、兵庫、瀬戸内等の33の島の記事を執筆。こちらでは地元神戸市の魅力を、時には動画を交えてお伝えしていきます。X(旧Twitter)、Instagramでも、神戸の最新情報や記事でのこぼれ話、その他の旅行ネタなども発信。

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