アメリカ的価値観の終末図が見える「オバマの6年」
フーテン老人世直し録(114)
霜月某日
アメリカ中間選挙は予想通り共和党が上下両院の過半数を制して大勝した。民主党の敗北はもっぱらオバマ大統領に対する失望がもたらしたと解説されている。6年前に熱狂的な支持を集めて就任したオバマ大統領の何が不人気をもたらしたのか。それを読み解くとアメリカ的価値感の終末図を見る思いがする。
オバマ大統領に対する批判は、外交では「核なき世界」という理想を掲げたものの、強いアメリカの指導者という資質に欠け、つまり断固たる姿勢で戦争に踏み切る意思が見られず、それが世界を混乱させたと考えられている。
内政では国民皆保険制度(オバマケア)というアメリカ的価値観に逆らう事をやり、アメリカ建国の精神から逸脱したと批判された。一方、レーガノミクス以来の格差拡大に歯止めはかからず、リーマン・ショック以来の経済危機を乗り切ったと言っても、国民の大多数は景気回復を実感できていない。オバマは弱者も裏切った。
またアメリカを統一すると言って登場したが、議会対策で共和党と衝突を繰り返し、党派対立の激化がアメリカの分断をさらに深化させた。オバマ大統領は結局弁舌は得意だが政治的かけひきの出来ない政治未熟ではないか。これらが批判の大要である。
批判の一つ一つはその通りなのだろう。しかしオバマ大統領を批判するだけでは済まない大問題がその背後に横たわっているとフーテンは思う。それはアメリカ的価値観を巡る国内の深刻な分裂である。それが終末的局面に近づいているように見える。
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