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GPI(滑空段階迎撃用誘導弾)のMDA提供イメージ図が公開:極超音速兵器迎撃ミサイル

JSF軍事/生き物ライター
米国ミサイル防衛庁によるGPIのイメージ図:令和6年度予算案-日本財務省より

 12月22日、令和6年度防衛予算案の概要が発表されました。その中で極超音速兵器迎撃用の滑空段階迎撃用誘導弾GPIの日米共同開発予算として757億円が計上されています。

 そして財務省と防衛省の資料にイメージ図として米ミサイル防衛庁(MDA:Missile Defense Agency)が提供したGPIのイラストが掲載されています。これはアメリカ本国のMDAの公式サイトではまだ未掲載のものです。※2023年12月23日時点

GPI(Glide Phase Interceptor、滑空段階迎撃用誘導弾)

米国ミサイル防衛庁によるGPIのイメージ図:令和6年度予算案-日本財務省より
米国ミサイル防衛庁によるGPIのイメージ図:令和6年度予算案-日本財務省より

※上記イメージ図は財務省の資料から、下記は防衛省の資料より。

令和6年度予算案の概要:防衛省よりGPIの説明
令和6年度予算案の概要:防衛省よりGPIの説明

 GPIはイージス艦のMk41VLSに搭載可能な大きさで設計される予定です。つまりSM-3ブロック2A迎撃ミサイルと同等の大きさになるだろうと推定されています。そこでGPIとSM-3ブロック2Aを比較してみます。

SM-3ブロック2AとGPIの比較

アメリカ国防総省とミサイル防衛局のイメージ図よりSM-3ブロック2AとGPIの比較
アメリカ国防総省とミサイル防衛局のイメージ図よりSM-3ブロック2AとGPIの比較

 長さを揃えましたが、あくまでイメージ図なので直径は揃っていません(本来なら揃う)。ブースターはおそらくMk72で共通部品です。サステナーの操舵翼もイメージ図では似通っています。そしてGPIの特徴としては以下の通りです。

  • 細長い安定翼(滑空用の主翼として揚力を発生させる効果を持つ)
  • SM-3並みに太い直径(Mk41VLSに収納可能な限界の直径533mm)
  • ノーズコーンの角度が緩やかで丸い

 最も興味深い部分はノーズコーンの形状になるでしょう。迎撃ミサイルではあまり見ない緩やかな角度の丸い形状です。かといって先端がショックコーンで空気吸入式の推進方式というわけでもなさそうです。終末誘導用のシーカーはおそらく赤外線画像方式になると思われますが、このイメージ図ではどのような構造になるのか全く分かりません。

2021年:GPIイメージ図

米ミサイル防衛庁YouTube動画よりGPI(ブースター無し)のイメージ図:2021年
米ミサイル防衛庁YouTube動画よりGPI(ブースター無し)のイメージ図:2021年

2020年:GPIイメージ図

米ミサイル防衛庁資料より極超音速兵器迎撃ミサイル(弾頭部分のみ)のイメージ図:2020年
米ミサイル防衛庁資料より極超音速兵器迎撃ミサイル(弾頭部分のみ)のイメージ図:2020年

 あくまでイメージ図なのでこの形状のままで登場するとは限りませんが、2020年のGPIの最初期のイメージ図がTHAADの迎撃体に操舵翼を付けたような鋭い円錐形だったのに比べると、2021年、2023年のイメージ図は大きく形状が変わっています。

GPIイメージ図の変遷:2020~2021~2023

米ミサイル防衛庁資料よりGPIイメージ図の変遷
米ミサイル防衛庁資料よりGPIイメージ図の変遷

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軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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