『Believe』リアルな女性刑事役でドラマ中盤を引き締めた片山友希 朝ドラ『ブギウギ』でも注目
架橋を題材にする『Believe-君にかける橋-』。ストーリーが最終話へ向けた佳境に入り、一気に事件の謎が深まり、当初のミスリードの裏にある巨悪の存在が明らかになってきたことで、緊迫感とともに注目度を高めている。
そんな物語の中盤になる主人公の逃亡劇で、ドラマを引き締めた立役者が、所轄署の女性刑事・梶田千佳役の片山友希だ。刑務所から脱走した狩山陸(木村拓哉)を、警視庁捜査一課の刑事・黒木正興(竹内涼真)とコンビになって追うなかで、ドラマにリアリティを与える役割を担った。
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ぼんやりしていた竹内涼真演じる刑事のキャラクターを引き締めた
片山友希が演じたのは、前髪を揃えたショートカットで常にパンツスーツ姿のいかにも真面目そうな女性刑事らしい女性刑事の梶田。性格も見た目そのままで融通が利かず、真面目で気が強い。
そんな梶田は、上司は怒鳴り散らかす男性ばかりの職場で、コンビを組む相方は立場がうえの警視庁刑事という環境に置かれる。片山友希は、その立ち位置でのストレスや湧き上がる感情、複雑な心境を、大仰ではなく、地味にでもなく、思わず気持ちを慮ってしまうようなリアリティを感じさせる絶妙なさじ加減で好演している。
彼女が生じさせるリアリティがドラマを引き締めた。現代社会における刑務所からの脱走という非現実的でもある物語を、滑稽に映らせず、リアルから浮足立たせない重要な役割を担っている。
ドラマ前半の黒木正興(竹内涼真)のキャラクターは、あまりに軽薄で感情の起伏のポイントがつかめず、いかにも作り物っぽい人物像のように感じられ、登場人物のなかでも1人ポツンと浮いている印象が強かった。
そこに、梶田千佳(片山友希)とバディを組んで並んだことで、梶田の真面目さとリアリティがひとつの基準値となり、黒木のぼんやりとしていた異端ぶりが、対比からシャープになった。同時にコンビとしてのリアルさが増し、現実とのつながりが強まったことで、ドラマそのものに感情移入しやすくなっている。
脚本としての梶田のキャラクター設定も秀逸だが、片山友希の演技力やもともとのビジュアルを含めたキャラクター性の力も大きいだろう。
朝ドラ『ブギウギ』、『SHUT UP』でもつめ跡を残していた片山友希
彼女をいろいろな作品で見かけた記憶のある視聴者も多いに違いない。最近では、NHK朝ドラ『ブギウギ』でヒロイン・スズ子の仲良し同期3人組のひとりであり、梅丸少女歌劇団・男役のスター桜庭和希を演じ、好印象を残していた。
ほかにも、女子大生の不同意性交トラブルを題材に、現代大学生の貧困と格差に切り込んで話題になった社会性の高いクライムサスペンス『SHUT UP』(テレビ東京系)では、4人の主人公のひとりであり、冷徹な現実主義者の工藤しおり役で注目を集めていたばかり。
(関連記事:女子大生の不同意性交トラブルを描くドラマ『SHUT UP』、現実とリンクして広がる共感)
片山友希は、これまでにドラマ、映画、舞台と多くの作品に出演しており、「ヨコハマ映画祭」助演女優賞、「毎日映画コンクール」スポニチグランプリ、「おおさかシネマフェスティバル2022」新人女優賞、「高崎映画祭」最優秀新進女優賞、「報知映画賞」新人賞など数多くの賞を受賞している。
フォトジェニックなビジュアルながら、ときに鋭く光る特徴的な目元にどこか人を惹きつける魅力がある。加えて、確かな演技力で作品ごとに役柄を自身に取り込み、彼女ならではの空気感と存在感を放っているから、視聴者の印象に残るのだろう。
これからの躍進が期待できる新鋭女優だ。
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