海自最大の護衛艦「いずも」と「かが」が軽空母化改修で同時期にドック入り 日本の海上防衛は大丈夫か
海上自衛隊横須賀基地を母港とするいずも型護衛艦1番艦「いずも」は2024年11月1日に横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッド(JMU)横浜事業所磯子工場に入渠し、2回目の軽空母化改修が始まった。艦首を矩形(くけい)に変更する本体改造工事が予定されている。「いずも」の軽空母化改修は2027(令和9)年度中にすべて終了する予定だ。それまでの今後3年間は同工場でドック入りしたままになる。
一方、海自呉基地を母港とするいずも型護衛艦2番艦「かが」は2024年4月、広島県呉市のJMU呉事業所で1回目の軽空母化改修を完了し、「いずも」に先駆けて艦首が矩形に改修された。「かが」の2回目の改修は2026年度から実施され、2028年度にすべての改修が終わる予定だ。
つまり、2026、2027両年度は海上自衛隊最大の艦艇であるいずも型護衛艦2隻が改修のため、ともにドック入りしていることになる。日本の海上防衛は大丈夫なのか。「力の空白」を生み、中国やロシア、北朝鮮といった敵対的な国々に隙を見せることにはならないか。また、東日本大震災のような災害時にいずも型護衛艦2隻が運用できなければ、緊急支援活動や医療活動に影響があるのではないか。
筆者が「いずも」の2回目の軽空母化改修の模様をSNSやYouTube動画で紹介すると、こうした意見や疑問がコメント欄に寄せられた。このため、筆者は読者からの質問として海上幕僚監部広報室に直接聞いた。以下がその質疑回答となる。
質問:いずも型護衛艦は2026年度と2027年度において2隻とも特別改修工事に入る期間があるが、その間の海上防衛は大丈夫なのか。
海幕広報室回答:護衛艦「いずも」は令和6(2024)年11月から、定期検査に併せ特別改造を開始しています。
一般的に海上自衛隊の使用するすべての艦艇は、艦船の安全性、たん航性及び使用目的に対する適合性を確保するために定期的に検査及び修理を行う必要があります。
そのため、海上自衛隊では、保有するすべての艦艇の修理期と可動期のサイクルを勘案しつつ、我が国の海上防衛にあたっております。
「いずも」及び「かが」の定期検査及び特別改造を行う時期が重なっている期間があることは事実ですが、その間は海上自衛隊が保有する他の艦艇等の運用を調整することで、海上防衛への影響を極限させることとしています。
質問:大規模災害が発生した際の災害派遣活動に影響あるのではないか。
海幕広報室回答:可動できる艦艇数を勘案し、普段から防衛力整備を行っております。そのため、災害発生時の対処にあたることが可能な即応艦を常時待機させており、影響はありません。
質問:「いずも」は約3年間特別改修工事を予定しているとのことだが、その間、乗員約470人は何をしているのか。
海幕広報室回答:定期検査期間中、「いずも」の乗員は、乗員による艦艇の整備作業に従事するとともに、技能維持向上に必要な教育訓練等を実施しています。
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