海自護衛艦「かが」のアメリカでの艦上運用試験は米海兵隊ではなく米海軍所属のF35Bが実施へ
海上自衛隊最大の護衛艦であるいずも型護衛艦2番艦「かが」が9月17日、米軍の最新鋭ステルス戦闘機F35Bを使った艦上運用試験を実施するため、米カリフォルニア州サンディエゴ沖に向けて母港の海自呉基地を出発した。
海自は「かが」艦上での主要試験項目として、①F35Bの短距離発艦と垂直着艦、②F35Bの艦上運用ーーを実施すると発表した。つまり、F35Bの発着艦試験に加え、艦上から艦内の格納庫へのF35Bの移動なども行われる。試験期間は10月5日から11月18日。
では、米軍のどこの部隊のF35Bが「かが」艦上で運用試験を実施するのか。
F35には3種類がある。米空軍仕様の通常離着陸型の機体であるF35A、短距離での離陸と垂直着陸が可能な米海兵隊仕様のF35B、艦載型で米海軍仕様のF35Cだ。
それでは、米海兵隊所属のF35Bが参加するのか。
海上幕僚監部広報室によると、そうではなかった。
米海軍航空システム司令部(NAVAIR)最大の飛行試験部隊であるVX23に所属するF35Bが参加する。この米海軍の試験部隊のVX23は昨年10月から11月初めにかけて、米東海岸沖で英海軍の空母プリンス・オブ・ウェールズ(R09)艦上でのF35Bの運用評価試験も実施している。
VX23は、米東部メリーランド州のパタクセント・リバー海軍航空基地を拠点としている。VX23のホームページによると、F/A-18A-Dホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネット、EA-18Gグラウラー、T-45Cゴスホーク、F35BとF35Cの各軍用機のメンテナンス、テストの計画と実施、安全監視とサポートを行っている。
なお、2021年10月には護衛艦「いずも」がF35Bの発着艦試験を初めて実施した。この時の実施海域は四国沖で、米海兵隊岩国航空基地に属する2機のF35Bが参加し、発着艦試験を行った。この際、着艦誘導装置は使用されなかった。
今回の「かが」の発着艦試験で、着艦誘導装置が使われるかどうかについて、海幕広報室は米軍との運用のこともあり、「回答を差し控えたい」と述べた。
【関連記事】
●海自の大規模改編、護衛艦隊は廃止されても「護衛艦の呼称は残る」海幕長が明言 DDHの配備先も回答
●防衛予算概算要求、いずも型護衛艦の軽空母化改修に18億円 「いずも」と「かが」の工事完成はいつ?