球の重箱、桜の春菓
重箱スイーツ
重箱は二段から五段に積み重ねられ、それぞれの箱に料理が入れられたもので、箱は木製や漆器であることが多く、形は四角が一般的です。
モダンな使われ方としては、「【桜スイーツ】50周年を迎えるホテルニューオータニの想い」や「「WAアフタヌーンティー」から読み解くホテル インターコンチネンタル 東京ベイのリノベーション精神」でご紹介したように、料理ではなくスイーツを入れています。
前述の2つと同じようにスイーツを入れながらも、形状は四角ではなく球を用いていることに加え、プラッターのフードやドリンクを好きなだけ楽しめるユニークな重箱のアフタヌーンティーセットがあります。
それは「【最新グルメ】タパタイザーのすすめ」でもご紹介したストリングスホテル東京インターコンチネンタル「ザ・ダイニング ルーム」のアフタヌーンティーセットです。
優雅な空間
広報マネージャー 土屋薫氏は「2014年9月からタパタイザーと共にアフタヌーンティーセットを始めた。季節毎にテーマを設けており、2015年3月から4月は桜をテーマとしたアフタヌーンティーセット『春菓の重』をご提供する」と話します。
言葉の新しさもあって、タパタイザーにばかり注目していましたが、タパタイザーと同時にアフタヌーンティーセットも始まっていたようです。
アフタヌーンティーセットを始めた経緯を訊くと「ザ・ダイニング ルームは27メートルもの吹き抜けがあり、優雅に水が流れている。東京のホテルとしては中々ない空間なので、もっと多くのお客さまにご利用いただきたいと思い、知恵を絞った」と答えます。
ストリングスホテル東京インターコンチネンタルは、品川イーストンタワーの26階から32階の高層階にあることも考えると、確かに他にはない空間であると言えるでしょう。
土屋氏は「お客さまに朝食、ランチ、ディナーをご提供しているが、ティータイムはアイドルタイムとなっていた。シェフ パティシエを務める加藤憲男は焼き菓子が得意ということもあり、アフタヌーンティーを召し上がっていただくのはどうかと企画が持ち上がった」とし、それに際して「是非ごゆっくり寛いでいただきたいので、サンドウィッチやスコーンが載るプラッターや、TWGの紅茶や挽き立ての豆を使ったコーヒーも、好きなだけお召し上がりいただけるようにした」と述べます。
球の重箱を
これを受けて加藤氏は「せっかく新しくアフタヌーンティーを始めるのであれば、新しいことをしたかった。三段スタンドはどこも使用しているので、あまり面白みがない。日本の心を大切にしたいので、様々な重箱を探していたところ、有田焼の球の重箱があることを知った。5段と3段の2つがあったが、オーソドックスなアフタヌーンティーのスタンドに合わせて3段を製作していただいた」と振り返ります。
苦労している点については「焼き菓子はフランス菓子を学び始めた時からずっと力を入れているので得意だが、季節毎にほとんどのメニューを入れ替えるのでメニューを考えるのは大変。秋菓の重、冬菓の重とご提供してきて、お客さまの嗜好も把握できてきたので、質は高くなっている」と手応えを感じているとします。
シャンパーニュとよく合う
春菓の目新しいところに関して、土屋氏は「充実しているスイーツに合わせて、ドリンクもさらに充実させた。コーヒーでも軟水と硬水を選べるようにし、ハリオのフレンチプレスでご提供する。コーヒーはオーダーをお聞きしてから豆を挽くため、7分を要する」と話します。
加藤氏は「一段毎にテーマが設けられている。一段目は焼き菓子で桜を存分に楽しんでいただきたい。2段目はご好評いただいているロールケーキを新たに加えるなどして華やかにし、3段目はフルーツでフレッシュ感を演出した」とし、食べ方を尋ねると「最初に、プラッターのフードを召し上がりながら、シャンパーニュをお飲みになっていただきたい。その後で、重箱の甘いスイーツをゆっくりと召し上がっていただくのがよいのではないか」と自信を持って答えます。
チャイナシャドーもフェアを実施
ザ・ダイニング ルームは新しい試みを行っていますが、もう一つのレストラン、中国料理のチャイナシャドーはあまり動きがないように思います。
このことに触れると、土屋氏は「チャイナシャドーは連日多くのお客さまにお越しいただいていることもあり、定番ものを中心にし、これまではフェアを実施していなかった。しかし、より多くのお客さまに知っていただく機会を設けたいと考え、1月19日から3月31日まで『冬の味覚 ズワイ蟹スペシャルメニュー』をご提供している」と動きがあるとします。
ズワイ蟹を選択した理由を訊くと「カニは日本人が好きな冬の味覚の一つで、中でもズワイガニは人気がある。女性や子供も好きなので、あらゆる方においしく召し上がっていただけると考えた」と答え、他の特徴を訊くと「普段はお出ししていないチャイナシャドー特製・生姜茶をご提供している。体が温まるので冬にぴったり」と説明します。
チャイナシャドーの今後については「金子宏之総支配人がソムリエ資格を有していることもあり、次はワインフェアを実施する」と述べ、理由を尋ねると金子氏は「中国料理には実はワインがよく合う。例えば、白ワインよりもしっかりとしており、赤ワインよりも重たくない、さっぱりとしたロゼのシャンパーニュは、多くの中国料理とマリアージュする」と説明します。
さらなる高みを目指して
ストリングスホテル東京インターコンチネンタルが位置する品川区港南には、ソニー、三菱重工業、大林組、大東建託など、日本を代表する企業の本社が集まっており、この他にも多くの大企業が本社を置いています。
こういった企業からの需要があるのでフェアを行ってメディアに露出する必要のなかったストリングスホテル東京インターコンチネンタルが、さらなる高みを目指すために、昨年2014年9月からザ・ダイニング ルームでタパタイザーとアフタヌーンティーセットを、2015年1月からチャナシャドーでフェアを始めました。
これが功を奏して、ストリングスホテル東京インターコンチネンタルはメディア露出が増えて認知度が高くなっていますが、土屋氏の「まだ敷居が高いと思われている。もっと気軽にお越しいただけるように、これからも新しいことを行っていきたい」という真摯な姿勢があれば、球の重箱を数段上回るものが生み出され、引き続き注目されていくのではないでしょうか。
情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。
参考
レストラン図鑑に、ザ・ダイニング ルーム、「チャイナシャドー」について詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。