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働き盛りのドゥラメンテ死亡。社台グループの歴史がつまった貴重な血脈 日本ダービーなど二冠制覇

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2015年日本ダービーを制したドゥラメンテ(写真:中原義史/アフロ)

急性大腸炎、9歳という若すぎる死

 8月31日午後、2015年の皐月賞、日本ダービーの二冠を制したドゥラメンテが急性大腸炎のため亡くなった。9歳。競走馬引退後は社台スタリオンステーション(北海道安平町)で種牡馬として繋養されており、今年も順調に種付を行っていた。JRAは社台スタリオンステーション事務局のコメントを以下のように発表している。(JRA公式ホームページより)

「1週間ほど前から右前肢の蹄冠部外傷の治療をしており、良化途中でしたが、前日30日より腸炎の兆候があり、その後急激に悪化してしまいました。今年の種付けシーズンも元気に過ごしていただけに信じられないでいます。」(社台スタリオンステーション事務局 徳武英介氏)

 サラブレッドは繊細な生き物だ。競走馬の治療において日本でトップクラスの設備を誇る社台クリニックにおいて最善の治療がなされたが助からなかった。9歳といえば同じ年に現役の競走馬がいるほど若い。今年で種牡馬5年目、まだまだ長い活躍が期待されていただけに残念でならない。

父も母も社台グループの歴史に深くかかわる馬ばかり

 ドゥラメンテは社台グループの歴史がたくさんつまった至宝だ。

 父は日本ダービーを勝ったキングカメハメハ。そこから母・アドマイヤグルーヴの父をたどりつづけると、サンデーサイレンス、トニービン、ノーザンテースト、ガーサントと社台グループを支え続けてきた種牡馬たちの名前が並ぶ。

 1961年に吉田善哉氏が輸入したガーサントは社台グループ草創期を支えた。1972年に吉田照哉氏がサラトガのセリで購入したノーザンテーストは計10回リーディングサイアーに輝き日本の競馬を盛り立てた。凱旋門賞馬のトニービンは現役最終戦が1988年のジャパンカップで、競走馬引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となりクラシックホースを多数輩出した。サンデーサイレンスはGI6勝(ケンタッキーダービー、プリークネスS、ブリーダーズカップ・クラシック等)をあげ1990年に輸入され、日本競馬の種牡馬にまつわる記録を次々と塗り替えた。

 母・アドマイヤグルーヴはセレクトセールの2億3000万円で落札されたが、このセレクトセールは社台グループが中心となって設立されたものだ。祖母は天皇賞(秋)とオークスを制したエアグルーヴ。3代母はオークス優勝馬のダイナカールで、この勝利は社台レースホースのクラシック初制覇でもあった。

ノーザンファームのホームページ内にある「ノーザンファームの歴史」を紹介するページにはドゥラメンテの血統表が用いられている。吉田善哉氏が社台ファームを創設し、やがて規模が拡大し、社台グループの分割と再編によりノーザンファームが誕生したが、その流れをドゥラメンテの血統表で表現できてしまうほどなのだ。

ノーザンファーム 公式サイト

■2015年皐月賞(GI) 優勝ドゥラメンテ

鮮やかで速かったドゥラメンテ

 競走馬時代は2015年の日本ダービーではディープインパクトや父であるキングカメハメハの記録したレースレコードを2分23秒2で更新。種牡馬としては初年度産駒のタイトルホルダーが弥生賞(GII)を制している。種付料も本年は1000万円。キングカメハメハの有力な後継種牡馬としても、まだまだこれからの活躍が期待されていた。

 ドゥラメンテのレースは見た目にもとても速かった。鞍上が促すとすばやくギアが変わり、トップスピードにのるとあっという間に先頭集団にとりつき、鮮やかに抜き去った。

 ドゥラメンテを産んだ年に亡くなったアドマイヤグルーヴをはじめ、先にあげた社台グループを支えた馬たちは皆すでに天に召されている。生涯までこんなに早く走り切らなくても良かったのだが…。ただただ、残念だ。合掌。

■2015年日本ダービー

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ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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