スマホ不正対策の決定打・携帯電波遮断装置の導入を / 続く騎手のスマホ不正使用発覚問題
将来を嘱望された若手騎手がスマートフォンの不正使用をきっかけに引退した。他にも、これらに関連して馬関係の職を辞した者がいるという。
人材は宝。信頼も宝。職場を去るのは個人の判断だとはいえ、短期間にスマートフォンに関連してあまりに多くの宝が失われている。
この問題の原因であるスマホ不正利用への対策について、13日、JRAが会見した内容を日刊紙が報道した内容を拝見したが、この期に及んでも実にアナログ的な対策であった。現在、通信端末の技術革新は凄まじいスピードで進んでいるが、このような対策で事足りるのか、筆者は疑問を感じた。
そこで、第三者である筆者が現在の状況下で不正防止の対策を打つならば、下記のような技術を導入すると考える。すでに確立されている技術なので、参考知識として記しておきたい。
電波遮断装置の導入、及び特定端末のみ通信を可能にする
外部からの携帯電話の電波を遮断する技術は既に確立されている。実際、運転免許試験場や大学、病院、コンサートホール等で使用されている。この装置を設置するには電波法の絡みで総務省に認可を得ねならないが「公営競技場」は許認可済みとのこと。JRAは出資者が国であることから「公営競技上」には含まないという見方もあるが、このような案件においてこの装置の導入が認可されない理由はないはずだ。東西トレセン内にある調整ルームも然り、だ。
■最新機器による早稲田入試不正 対策は“電波妨害”?【経済事件ファイル】(2024年5月20日)/ テレ東Biz
また、施設内において主催者が許可した指定端末を利用したいなら、施設(調整ルーム)内に有線LANを引けばよい。iPad等のタブレット端末も有線LANで利用できるアダプタがある。
もし、携帯電波遮断装置が特定の電波(Wi-Fi)を遮断しない仕様ならば、事前登録した端末のみ受信できる状態にすることは業者に頼らないレベルで設置可能である。これについては筆者でも設定できる。騎手は調整ルーム内でも特定の情報のみを送受信できる指定端末であれば使用可能と認識しているが、その端末情報を調整ルーム内のWi-Fi電波発信装置に紐づけ(MACアドレスを電波発信側に登録)れば操作はできる。これなら、管理者があらかじめ指定した端末しかWi-Fi電波を利用することはできない。
そして、このように主催者が許可した指定端末による通信のみ行える環境であることが周知されれば、「騎手たちがいまどきスマートフォンも使えずに調整ルームに数日閉じ込めるのはかわいそう」という第三者の意見もなくなるのではないか。
通信機器の使用状況確認、手荷物検査等のアナログ的対策
なお、11月13日配信の日刊スポーツの記事にはJRAが先週から行っている対策が記されていた。
デジタルの技術革新は凄まじく、現在は端末の小型化や電波遮断グッズ等も安価で販売されている。自己申告と目視でどこまで対処できるのか、正直疑問が残る。
2023年5月の若手騎手6名が30日の騎乗停止処分になって以降、それ以降にスマホ不正利用を行ったことが発覚した者は限られているが、これによるイメージダウンはあまりに大きい。
またJRAと騎手の取り決めに関する情報が五月雨式、かつ部分的に一部の報道メディアを通じて公開されているため、情報を受け取る側はその内容がわかりにくく混乱している。具体的にはテレビ番組等で騎手は携帯電話をロッカーに預ける模様が報道されているが、今回の一連の会見の中で「上り通信、下り通信」に対する言及があったりした。調整ルーム内での騎手の通信機器を取り扱い基準は時系列と共に変化しているが、"公正確保のために騎手にどの程度の義務が生じているか、いま何をどこまで守らなければならない状況なのか"といった基準はホームページで細かく一般公開したほうが公正確保がより厳格化されるのではないか。ファンを含めた外部も変化も含めて細かく取り決めを把握していたほうが、仮に今後不正をする騎手がいても事態を把握した第三者が通報する可能性もあるため、公正確保に繋がるはずだ。
とにかく、我々ファンが先入観なく楽しめ、馬券を買える環境が戻ってきて欲しい。これに尽きる。
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