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騎手のスマホ持込問題「競馬監督課からも厳しい指導」JRAは膿を出し切れるのか

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
スマートフォンによるトラブルが後を絶たない 写真:Mirko Vitali

 若手のホープであった永野猛蔵騎手(22歳)が引退した。特に最終レースに強く、馬券に熱心なファンからの注目も高い騎手だった。

 2023年5月に6名の若手騎手が福島競馬場の調整ルームでスマートフォンを持ち込んだことで30日間の騎乗停止処分を受けたが、その後の2023年5月から2024年10月という長期間に渡り、JRAへの提出用とは別のスマートフォンを調整ルームに隠し持ち込んでいたとのこと。これは庇いようがない。

ココがポイント

(農林水産省)競馬監督課からも厳しい指導(中略)。通信機器に関しての運用体制については今後、厳しい方向に進んでいくと思う
出典:スポーツ報知 配信日 2024/11/13(水)

永野猛蔵騎手が引退 スマホ不適切使用(中略)骨折休業中に親族に対して予想行為を行っていた」
出典:スポニチアネックス 配信日 2024/11/13(水)

事象が発覚してから騎手本人から引退する旨を伝えられていた(中略)。本来であれば12カ月間の騎乗停止処分という内容であった

出典:日刊スポーツ 配信日 2024/11/13(水)

美浦トレセン赤井公正室長「騎手を指導しなければならない立場として、主催者であるJRAの責任というのは、重たいと思っています」
出典:日刊スポーツ 配信日 2024/11/13(水)

佐々木は「覚えていない」「スマホを手にしていることは本人に注意した」と証言しているという。

出典:中日スポーツ 配信日 2024/11/13(水)

補足と見解

 永野元騎手は工作までして、スマートフォンを持ち込みたいという"欲"に勝てなかったようだが、その代償はあまりにも大きい。

 ここまで多くの若手騎手がスマートフォンを調整ルームで通信したために、処分を受けている。2023年5月に6名の騎手に騎乗停止60日の処分が科されたタイミング以降、それでも外部通信が可能な端末の持込をやめない騎手に対してはJRAも厳罰を科している。2024年3月から5月にかけてスマートフォンを持ち込み、外部と通信した水沼元輝騎手は9か月の騎乗停止処分を受けている。永野騎手と同時期にスマホ不正使用が発覚した小林勝太騎手の処分は今後発表される。

 なお、藤田菜七子元騎手のスマホ不正使用は2023年4月頃までのあいだに複数回とのことだった。

 また、今回は佐々木大輔騎手、横山琉人騎手も30日の騎乗停止処分を受けている。佐々木騎手は小林騎手が使用した通信の場に同席し、そこに映り込んだ写真が共有され、通信行為に間接的に関わったとみなされた。横山琉人騎手は自身は通信OKだったが、調整ルーム入室義務期間中だった永野元騎手と通信したためだった。

※2024/11/16 追記

 佐々木大輔騎手については、最後に追加した記事では無実を訴えているように読める。

 今後、JRAは騎手の通信機器に関しての運用は厳しい方向に進んでいく、としている。膿を出し切るには痛みを伴うが、ここが正念場。とにかく、ファンが楽しく騎手や馬を応援し、気持ちよく馬券を買える環境づくりに尽力して欲しい。
 そして、過ちを犯した人については、人間誰でも過ちはあるので、かつて不祥事で騎手を引退したり長期休業して禊を済ませた後に再び活躍した人々のように、辛さを乗り越えて欲しい。

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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