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残念な上司ほど研修を受けても意味がないのはなぜか?

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

どんなに研修を受けても、どれほど書籍を読んでも成長しない人がいる。そんな人が上司だと、部下はかなり苦労するだろう。

しかし、いっぽうで研修を受けるたびに成長する人もいる。どんなに年齢を重ねても、健気に勉強を続けて変化に対応できるベテラン社員もいる。

この違いは何なのか? 

今回は「理解レベルの4段階」を解説しつつ、社会人の勉強の仕方について解説する。どんな目標を持つべきか、どんなモノサシを持てばいいのかわからない方は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■何のために勉強するのか?「我に返らない」ことが大事

社会人が勉強するとき、その目的は「勉強そのもの」でも構わない。これは山登りの目的と似ている。

山登りが好きな人は、山に登りたいから山に登るのだ。その目的を果たそうとしていると、後から素晴らしい気分になったり、達成感を味わえたりする。これらはすべて後付けの感情なのだ。

勉強もそうだ。目的は勉強であり、しっかり勉強することで脳が活性化し、柔軟性が身についたり、ストレス耐性が上がったりする。考える力が身につき、決断力がアップしたり、覚悟を決められるようになる。

私は16年以上メルマガを発信し続けている。週に2~5回発信しているが、滞ったことは一度もない。

「何のためのメルマガを出しているのか?」

たまに自問自答することもあるが、それをしてしまうと私は継続できなくなる。

継続するために勉強しよう。習慣化するために勉強しよう。あまり我に返らないようにすることを私はお勧めする。

■「勉強しがい」のある目標の決め方

とはいえ、何となく勉強をしていても、勉強の効果は実感しづらい。

目的はともかくとして、目標があったほうがいい。ゴールや目的地だ。そうでないと、だらだら本を読んだり、何となく研修を受けることになる。いくら勉強時間の確保が重要だといっても、目標がないと、さすがに効果効率的に学べない。

それに「勉強しがい」がないではないか。

「やりがい」や「働きがい」という表現があるように、勉強にも「勉強しがい」という表現がある。

山登りにはめざす到達点がある。だからこそ山登りは大変だがロマンがあり、楽しい。

「苦労したけれど、山に登った甲斐があった」

山頂にたどり着いた際、そう振り返ることだろう。この充実感、豊かな気持ちが山登りを好きにさせるのだ。

資格試験などは、最もわかりやすいゴールだ。しかし、そういったわかりやすいゴールがないのなら、これから紹介する「理解レベル4段階」を参考にしてほしい。

勉強するうえでのモノサシになる。

まずは、レベル2を目指し、経験を積んでレベル3にするのだ。上司として部下育成したり、お客様にレクチャーすべき立場なら、レベル4まで目指したほうがいい。

この理解レベルの4段階を頭に入れながら勉強したほうが、勉強しがいがあるだろう。

■理解には4つの段階がある

それでは早速「理解レベルの4段階」について解説していく。まずは「理解には4つのレベルがあり、一足飛びに理解が進むことはない」と捉えよう。

それぞれのレベルについて解説する。

・理解レベル(1) → 「○」か「×」など印象でしか理解できていない

・理解レベル(2) → 多様なインプットを通じて要点を整理できている

・理解レベル(3) → 知識と経験とが点と点で繋がり、腹に落ちている

・理解レベル(4) → 自分の言葉で人に教えられる

まず理解レベル(1)についてだ。

学ぶ意識が低かったり、ネット記事やブログ、動画といった断片的な情報のみで勉強していると、表面的な知識しか手に入らない。理解どころか正しい知識習得もできていないはずだ。

このように、多角的な視点が手に入らないと勉強を終えても「参考になった/参考にならなかった」程度の印象しか残らない。これがレベル(1)である。

次に理解レベル(2)だ。

多様なインプットを通じて、多角的な視点で物事を見られるようになっている状態。これがレベル(2)である。

全体像を理解したうえで、何が論点で、何がトピックで、何が具体的なコツかも整理できている。

そのためには、体系的に書かれた複数の書籍や研修からのインプットが不可欠だ。ネット記事やブログ、動画といった断片的な知識習得だけで、このレベルに達することはない。

■「腑に落ちる」状態が理解レベル(3)である

体系的に知識を身につけても、実際に経験し安定して成果を出さないと腹に落ちることはない。

知識を身につけると最初はわかった気になる。だが、知識を応用してもうまくいかないことが増えると納得できなくなるものだ。本当にこの知識、ノウハウは役に立つのか? と疑うようになる。

「理解=言葉×体験」

を頭に入れ、知識に基づいた実践を繰り返す。知識と経験が資産化するといずれ点と点が繋がってくる。べき乗に理解レベルが上がっていき、

「ああ、そうか」

と腹に落ちる。こういった「腹に落ちる/腑に落ちる」という心理現象を味わったら、理解レベル(3)の状態に達したと受け止めていいだろう。

大事なことは、知識に基づいた経験が増えることだ。自分なりのやり方で経験を積んでも、点と点が繋がることはない。

腹に落ちるだけでなく、膨大な知識資産、経験資産によって、借り物の言葉ではなく、自分の言葉で人に教えられる状態。これが理解している(4)の状態だ。

大量の試行錯誤を重ねているため、センスが磨かれている。何がいいか、悪いかを一瞬で見抜くことができる。理解レベル(4)にまで達すれば、知識や知恵のみならず知性も身についたと捉えていい。

「理解レベルの4段階」について解説した。

こういったモノサシを頭に入れて研修を受けたり、読書に勤しんだりすれば、効果的に勉強できるはずだ。ぜひ活用してもらいたい。

<参考記事>

驚くほど知識が手に入る読書勉強法――「水平読書」徹底解説(約7000字)

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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