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7日(七夕)にかけて、さらに大雨のおそれ

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
5日水蒸気画像(提供:気象庁)梅雨前線に沿う水蒸気域が東南アジアへ延々と連なる

 前回の記事「日本近海の海水温上昇が豪雨の一因になっている」で触れましたが、今年の梅雨は波状的に大雨が発生しています。

 4日(土)は熊本県を中心に記録的な大雨となり、熊本県では降り始めからの雨が500ミリを超えた所がありました。3年前の「平成29年九州北部豪雨(福岡県朝倉市で総降水量586ミリ)」に匹敵する降り方です。

再び大雨に

 5日(日)は九州南部から再び雨が強まり始めていますが、6日(月)にかけて雨量が多くなるおそれがあります。さらに、七夕の7日(火)にかけては、熊本県など九州北部を含む広い範囲で、雨の降り方に警戒が必要な状態が続く見込みです。

48時間予想降水量・5日(日)15時〜7日(火)15時(提供:ウェザーマップ) 東海から西の各地、特に記録的な大雨となった九州で、さらに雨量が増えるおそれがある
48時間予想降水量・5日(日)15時〜7日(火)15時(提供:ウェザーマップ) 東海から西の各地、特に記録的な大雨となった九州で、さらに雨量が増えるおそれがある

 七夕と豪雨と言えば、関連して思い出すのは「ちびまる子ちゃん」のエピソードです。作者のさくらももこさんが、実際に1974(昭和49)年の七夕に体験した豪雨で、その状況がちびまる子ちゃんにも描かれています。のちに「七夕豪雨」と呼ばれるこの豪雨は、静岡市で24時間降水量が508ミリ(観測史上1位)に達しました。この原因は日本海の台風に向かって、湿った空気の流れ込みが長時間続いたからでした。

 

 そして実は今回の大雨も、日本海に低圧部が発生するなど、東海地方にとっては七夕豪雨と似た気圧配置になりそうです。ということは、九州に限らず四国、近畿、東海、関東など広範囲に警戒が必要になります。

今後の天候 東京に変化が

 次から次に繰り返す大雨の流れは、7月の第2週は少し北へシフトする可能性があります。5日に比べると、11日(土)頃は、太平洋高気圧が日本付近へ張り出す予想になっています。この大雨の後、真夏へと前進する地域があってもおかしくありません。

太平洋高気圧の予想(提供:ウェザーマップ)5日(日)夜 高度が高いほど高気圧の勢力が強く、真夏の晴天範囲を見極める目安の一つ
太平洋高気圧の予想(提供:ウェザーマップ)5日(日)夜 高度が高いほど高気圧の勢力が強く、真夏の晴天範囲を見極める目安の一つ
11日(土)朝(提供:ウェザーマップ)
11日(土)朝(提供:ウェザーマップ)

 週間予報で目を引くのは東京の予報で、9日(木)以降は晴れ間が出る可能性があります。夏の高気圧が(一時的にせよ)晴れの区域を作り出して、関東は強烈に蒸し暑くなると思います。

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週間予報(5日15時発表)提供:ウェザーマップ

 ただし、日本付近の雨雲がすべて消え去るわけではありません。東北や北陸、東海や西日本では、むしろ湿った空気(雨雲)の通り道になる形で、週の後半に再び局地的な大雨に見舞われる可能性があります。本当に、油断できない状況がまだまだ続きそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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