続・「ホルモン」の語源は「放るもん」ではないと何度でも言わなければならない。
前回、「ホルモン」が「放るもん」由来だという間違いはなぜ喧伝されてしまったのかというお題について一定の説明をさせてもらった。
ではなぜ、内臓料理はホルモンと呼ばれるようになったのか。それには大正~昭和初期の「ホルモン」ブームに触れなければならない。
ちなみにここで使われる「ホルモン」の語源は、前回も少し触れたように医学用語由来のホルモンである。
100年前に起きた”ホルモンブーム”
大正~昭和初期にかけて、いまで言うサプリメントのような位置づけで「ホルモン」ブームが起きたことがある。
明治時代まで遡ることのできる新聞の検索システムで「ホルモン」を調べると、1921(大正10)年の朝日新聞「青鉛筆」(論説委員のコラム)で「独逸(ドイツ)の若返り薬「ホルモン」は大分世間に騒がれているが、この「ホルモン」は動物の睾丸から採取するのださうで……」という記事がヒットする。
以降、紙面は「睾丸ホルモン製剤」「生殖腺ホルモン製剤」「牛甲状腺ホルモン特殊製剤」「肝臓及膵臓ホルモン製剤」など、さまざまなホルモン製剤の広告で彩られるようになっていく。
なかでも出色だったのは1930(昭和5)年8月22日以降、数年に渡って月に数回ペースで出広し、検索結果を埋め尽くした国際ホルモン研究所のホルモン剤だ。
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