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2022年度予算案に国民民主党が異例の賛成票。衆院通過後、岸田内閣と国民民主党は接近するか?

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2月22日に、2022年度予算政府案が衆議院本会議にて賛成多数で可決された。(写真:つのだよしお/アフロ)

2022年度予算政府案が、2月22日に、衆議院本会議にて賛成多数で可決された。その際、与党だけでなく、野党の国民民主党も賛成に回った。野党が予算案に賛成するのは、1994年度予算案以来のことである。また、2月22日に予算案が衆議院を通過するのは、戦後2番目の早さである。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、予算案の賛成理由の一つとして、前日の21日の衆議院予算委員会で、岸田文雄首相が、目下のガソリン価格の高騰に対してガソリン税のトリガー条項凍結解除の検討を表明したことを挙げている。ガソリン税のトリガー条項については、拙稿「ガソリン価格が高騰しているのに、ガソリン税を下げない深いワケ」を参照されたい。

国民民主党が早々に予算案に賛成するとは表明していなかった。ところが、賛成の姿勢が鮮明になったのは、まさにこの2月21日の衆議院予算委員会での岸田首相の答弁の後である。岸田首相の答弁が、国民民主党の予算案賛成を決定づけたともいえよう。

では、なぜ国民民主党は、予算案に賛成したのだろうか。第三者的にみると、岸田首相と玉木代表の共通点が透けて見える。

玉木代表は、大平正芳元首相の遠い親族にあたるという。そして、大平元首相の孫が玉木代表の公設秘書を務めていた。

他方、岸田首相は、自民党内で宏池会(岸田派)の会長である。大平元首相は、宏池会の第3代会長、岸田首相はその第9代会長。さらに、大平元首相が掲げていた「田園都市国家構想」にあやかって、岸田内閣では「デジタル田園都市国家構想」を掲げて政策を展開しようとしている。

図らずもなのかもしれないが、岸田首相と玉木代表の接点として、大平元首相の存在がある。野党の党首の中でも、岸田首相と近いのは玉木代表といえよう。逆に、自民党内の派閥の長の中でも、玉木代表と近いのは岸田首相といえよう。

だからといって、2022年度予算政府案が衆議院を通過した後で、直ちに次なる展開が自明に待っているとは思えない。

何せ、与党は参議院でも安定多数を持っており、国民民主党の助けを借りずとも参議院で2022年度政府予算案を可決成立させられる状況にある。おまけに、憲法の規定により、参議院の議決がなくとも3月23日に予算案が自然成立することが確定している。

こうみると、国民民主党が衆議院で予算案に賛成したからといって、国民民主党が岸田内閣に「貸し」をつくることにはなっていないように思われる。

では、国民民主党が衆議院で予算案に賛成したことが、岸田内閣の政権運営に今後どのように作用するだろうか。それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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