背中で引っ張る忠岡ボーイズのキャプテン・中島大誠(阪神ジュニア)、タイガースカップでベスト4に進出!
■第19回タイガースカップ
次代の野球界を担う少年少女たちの憧れの大会、中学硬式野球の関西ナンバー1決定戦「タイガースカップ」は今年で19回目を迎えた。阪神タイガースが野球少年少女たちに用意する“夢舞台”である。
シニアリーグ、ボーイズリーグ、ヤングリーグの各予選大会を勝ち抜いた12チームが、リーグの垣根を越えてトーナメント方式で戦う。
11月23日に開幕し、同26日には全チームが出場してベスト4が出そろった。次は12月2日に準決勝2試合、そして決勝戦を行う。
今年の大会には阪神タイガースジュニア2021のメンバーの中から5人が出場している。小学6年だった彼らが大きく成長して、甲子園に帰ってきた。
では、2回戦での忠岡ボーイズ・中島大誠選手の戦いぶりを振り返ろう。
■北摂リトルシニアVS忠岡ボーイズ
北摂 011 110 0 =4 H11、E2
忠岡 320 000 × =5 H6、E4
《バッテリー》
北摂:梅野、中尾―本多
忠岡:中島、田村―二村
【得点経過】
一回裏…死球と失策、犠打エラーで1点、盗塁も絡めた無死二、三塁から4番・中島のタイムリーで1点、さらに併殺打の間に1点。(0-3)
二回表…ヒット、盗塁で2死三塁からセカンドゴロで1点。(1-3)
二回裏…1死満塁から3番・杉野が左中間へ2点タイムリー。(1-5)
三回表…ヒット、エラー、四球の無死満塁から右犠飛で1点。(2-5)
四回表…2死三塁から1番・木村の右中間二塁打で1点。(3-5)
五回表…無死満塁で投手交代。2死一、三塁から8番・中尾の左前タイムリーで1点。(4-5)
六回、七回は両チーム無得点で忠岡ボーイズの勝利。
■ピッチャー・中島は…?
1回戦と同じく中島選手が先発マウンドに上がったが、前回83球を投げて中2日の影響があったのかどうか、この日は序盤から苦しんだ。初回こそ得点を許さなかったが、二回から五回まで毎回失点した。
「全部、高めに浮いてしまって、それがしっかりとらえられて長打にもなったと思います。相手のバッティングがよかったし、ヒットも9本打たれてしまった。キャッチャーも低めを要求してくれて意識はしたんですけど、力んだらつい高めに浮いちゃう。今日は全然でした」。
口をついて出てくるのは反省の言葉ばかりで、自身を責め続けた。
しかし、大量点を与えず1点ずつで踏みとどまったことは大きい。勝ち越しも許さなかった。
「ビッグイニングはなく、最少失点で1回ずつ切れたのはよかったと思いますけど、序盤に3点、2点取って楽な試合になるはずが…ズルズル取られて、あとあと苦しくなってしまった」。
9安打を浴びた五回表、78球に達したところでタオルが投げ込まれた。無死満塁とランナーを残して無念の降板だったが、エースナンバーを着ける田村琉維選手にあとを託した。
■サード・中島は…?
マウンドを降りるとサードの守備に就いたが、最終回の2アウトからサードゴロを弾き、失策を記録した。ベンチからもしきりに「大誠、(打球が)来るぞ!」との声が飛んでおり、中島選手自身も「準備はしていました」とわかってはいたが、打球が思いのほか強かった。
「高めの捕りにくいところでした。捕ったと思ったんですけど、打球が速くてグローブが負けて、それで落としてしまいました」。
さらに盗塁で1打同点のピンチを迎えたが、田村選手が次打者を見逃し三振に斬ってゲームを終わらせた。ここでやっと、中島選手の顔にも安堵の笑みが浮かんだ。
■バッター・中島は…?
一方、攻撃では前回に続いて魅せた。初回に中前タイムリー、最終打席となった四回にもサードを強襲し、内野安打をもぎ取った。
「1打席目と最終打席はとくに集中しようと思っています。1打席目は初回に回ってくることが多いし、初回は大事。それに1打席目にヒットが出ればあとも気楽なので、そこはとくに意識しています」。
そのとおり、しっかりと結果で示してみせた。なんとかしようとする姿勢を、ナインたちも見ていた。
■門田義人監督の談話
忠岡ボーイズの門田義人監督は「今日はなかなか打てなかった」と苦しかった試合を振り返る。
「相手は(バットが)振れていましたね。ジリジリと1点2点と取られて、こっちは追加点が欲しいところで取れず、打線はつながらずで…。またしっかり次に備えたいですね。やっぱりもうちょっと狙い球をしっかり絞ってスイングするように。ストライクを見逃してる子が多かったんで、好球必打を徹底させます」。
次に向けての課題は明確だった。
中島選手については「ちょっとボールが浮いていたし、ボール球が多かったので、苦しんでいたね。まぁでも、1点でしのいでくれて、なんとか抑えてくれたんでね」と、奮闘を讃えた。
「黙々とやるタイプで、ギャーギャー言うのではなく、自分の姿を見せてやるタイプ。真面目にやってくれています」。
何事もまずは率先してやり、その背中をナインに見せる。そういうキャプテン像だと語った。
■次戦に向けて
チームは創設30周年を迎えた。タイガースカップには7年ぶり5度目の出場となる。
「チームの先輩たちはこの大会でベスト4が最高位なんです。それに追いつこう、追い越そうって頑張ってるんですけど、シニアさんもヤングさんも強いんでね」。
先輩に追いつくベスト4までは来た。門田監督もさらなる高みを目指す。
中島選手も「自分たちの代は、歴代の中でもそんなにレベルが高いって言われたことはないんですけど、それは関係なく自分たちの野球をすることだけを考えています」と気合いをみなぎらせる。
「自分たちの野球は投手を中心に守り勝つチーム。少ないチャンスをモノにして1点ずつ取っていくというスタイルなので、それを意識して準決勝、決勝も勝ち抜いて頂点に立ちます」。
次戦の明石ボーイズとの準決勝でも己のスタイルを貫き、チーム最高位へ。そして優勝へと一気に駆け上がる。
(撮影はすべて筆者)