米軍基地内学校、性別に依らない新たなドレスコード採用
世界の米軍基地内にある学校の生徒は、スカートやショートパンツの長さを測る必要がなくなるほか、変な寝癖が付いてしまってヘアスタイルがうまくキマらない日には帽子を被っていける――。
米軍準機関紙の星条旗新聞によると、国防総省教育部(DODEA)は性別に依存しない新たな生徒用のドレスコード(服装規定)を承認し、プエルトリコやキューバを含むアメリカ大陸、太平洋、ヨーロッパ地域にあるDODEA全160校で7月1日から施行する。DODEAは日本では、横須賀や横田、岩国など7つの地域で計20校を運営している。
新たなドレスコードでは、生徒が膝上にどれだけ肌を露出してもよいかは、インチ数や「指先ルール」によって測られることはなくなる。指先ルールとは、腕を横に垂らした状態で指先より下に裾があることを求めるものだ。
DODEAのホームページに掲載されている最新のガイドラインでは、「袖付きのトップス」と「脇から太ももの真ん中まで上下を完全に覆うしっかりした服装(透明または半透明ではない)」と記されているだけだ。女子生徒が「バッド・ヘア・デー」(髪型がキマらない日)に被りたがる帽子の着用も認められる。
DODEAの教育専門家であるジョイ・メドレー氏は星条旗新聞の取材に対し、「(男女の区別がない)ジェンダーの中立性を重視するということは、この新しい寛容的な規定がすべての人に適用されることを意味する」と指摘し、「女の子は帽子を被ってもいいが、男の子は被れないとは言えない」と述べた。
メドレー氏によると、これまではほとんどの学校で生徒が建物内で野球帽をかぶることが許されてこなかった。これは屋内では帽子を脱ぐという軍のエチケットを反映した規定だった。しかし、新たな規定では、帽子のつばが顔を隠さない限り着用が認められる。
服装規定の問題は全米各地で注目を集めている。学校は基準の公平性やそれを強制する懲戒措置をめぐって保護者、生徒、公民権運動家らと争ってきた。
このため、DODEAの教育政策部門は、公民権運営委員会、多様性、公平性、包括性の専門家とともに、2021年秋に服装規定の改訂を開始した。全米のトレンドを再調査し、学校や地域住民からの意見を取り入れたという。
メドレー氏によると、パブリックコメント(民間意見調査)期間中に生徒や保護者、学校職員、学校管理者から約460件の回答があり、最も多くのフィードバックを提供したのは生徒だったという。
メドレー氏は「彼ら(生徒)は自分自身を表現し、自分の個性を持ちたいと望んでいた。そして、学校に何を着ていくか決めることに自分も加わっていると感じたいと望んでいた」と話した。
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