2週間で14機のロシア戦闘機を地対空ミサイルで撃墜-ウクライナ軍
最近2週間でウクライナ空軍が報告したロシア軍用機の撃墜は15機(うち戦闘機14機)にも及びます。Su-34戦闘爆撃機×12機、Su-35戦闘機×2機、A-50早期警戒機×1機です。出典:ウクライナ空軍司令部
- 2月17日:Su-34×2、Su-35×1
- 2月18日:Su-34×1
- 2月19日:Su-34×1、Su-35×1
- 2月21日:Su-34×1
- 2月23日:A-50×1
- 2月27日:Su-34×2
- 2月29日:Su-34×3
- 3月01日:Su-34×1
- 3月02日:Su-34×1
全て地対空ミサイルによる戦果で、A-50早期警戒機の撃墜は旧ソ連製S-200防空システムによるもの、その他の14機の戦闘機と戦闘爆撃機の撃墜はアメリカ製パトリオット防空システムのPAC-2迎撃ミサイルあるいは仏伊製SAMP/T防空システムのアスター30迎撃ミサイルによるものだと推定されています。
戦闘は防空システムのレーダーの電波で確認して行われており、目視では見えない距離です。よって全ての撃墜が視覚的に確認されたわけではありませんが、幾つかの墜落は現地からの撮影で報告されています。ただし中には間違った報告もありますし、撃墜報告の全てが正しいわけではありません。
撃墜された機体のほとんどがSu-34戦闘爆撃機です。ロシア軍はSu-34にUMPK滑空誘導爆弾を搭載して出撃させています。ミサイルよりも遥かに安価な滑空誘導爆弾を1日に100発単位で使用して攻勢に出ており、ウクライナ軍にかなりの打撃を与えていますが、反撃されてロシア軍も代償を多く支払っています。
UMPK滑空誘導キットは既存の航空爆弾をスタンドオフ攻撃兵器に変身させますが、高高度から投下しても射程は最大で80~100km程度で、実用上は60~70km程度です。この射程ではパトリオット防空システムのPAC-2迎撃ミサイル(射程160km)や、SAMP/T防空システムのアスター30迎撃ミサイル(射程120km)をアウトレンジすることはできません。
それでも安価なUMPK滑空誘導爆弾は数を大量に投入できるのが有用なので、ロシア軍は危険を冒してでも空爆作戦を強化して地上部隊の進出を拡張しようとしています。
※スーシュカ(Сушка)とはロシアの菓子パンで、スホーイ(Сухой)の戦闘機全般の俗称。ここではスホーイSu-34(Су-34)などを指す。