ロシア軍がクラスター爆弾に滑空誘導キットを装着
ロシア軍がRBK-500クラスター爆弾にUMPK滑空誘導キットを装着してスタンドオフ兵器として使用している証拠が見つかっています。昨年12月にもUMPKの部品と一緒にRBK-500が見付かっていたのですが(@RALee85)、2024年1月に見付かった今回のこれはRBK-500+UMPKのセットが装着状態で丸ごと発見されています。ウクライナ陸軍第53独立機械化旅団(53OMBr)の兵士が発見しました。
RBK-500クラスター爆弾にUMPK滑空誘導キット(爆弾の先端に追加装着した風帽と尾部の安定翼は外れた状態)
RBK-500クラスター爆弾(ロシア語ではカセット爆弾)は親弾の形状が違うものがありますが、これはドラム缶のような形状のタイプです。空気抵抗が増大するのを気にせず内蔵する子弾の収納能力を優先した設計で、実のところUMPK滑空誘導キットと組み合わせるには全く向いていません。先端に風帽のフェアリングを装着することも可能ですが、太短い設計は大きくは変わりません。
追記:RBK-500クラスター爆弾にUMPK滑空誘導キット(風帽付き)
UMPK滑空誘導キットは細長い低抵抗爆弾に装着して、実用的な射程は高高度から投下して80km前後です。ところが太短いRBK-500クラスター爆弾に装着した場合は、射程は正確には不明ですがおそらく半減以下になってしまいます。そうするとS-300やブークといった旧ソ連製防空システム相手にすら射程で下回ってしまい、搭載母機を危険に晒してしまいます。
それでも航空爆弾の重量は大きく、155mm榴弾砲の砲弾が約50kgであるのと比べると500kg航空爆弾は10倍です。500kgクラスター爆弾「RBK-500」を戦場に放り込めるなら制圧面積は広く非常に強力です。RBK-500クラスター爆弾+UMPK滑空誘導キットの組み合わせがスタンドオフ兵器としては射程が短く不完全なものであっても、自由落下よりはマシで、多少なりとも滑空させた方が搭載母機の生存性は上がります。
ロシア-ウクライナ戦争の開戦初期に使われたロシア軍の航空機用クラスター爆弾は、ウクライナ軍の防空システムの脅威で使えなくなりました。それがUMPK滑空誘導キットによって射程を伸ばすことで、再投入が始まったのです。