なぜ新社会人に「焦らなくていいから」は禁句なのか?
新しい環境に馴染めない新社会人が増えている。その理由は、周りの人が「焦らなくていいから」「余裕を持って進めよう」と助言するからだ。先輩や上司にそう言われてしまうと、本人もついつい慣れないことをしようとするとき、
「焦るとよくない。じっくり考えてから取り掛かろう」
と思い込んでしまう。しかし、この「慎重なアプローチ」が実は逆効果だったりする。今回はその理由をお伝えする。最後には、集中力を高める魔法の掛け声についても紹介するのでぜひ最後まで読んでもらいたい。
英語のリスニング試験を例にすれば、わかりやすいはずだ。
どんなに単語も文法も知っていても、リスニングに慣れていないと何を話しているか聞き取れないことが多い。しかし、聞き取れないと試験でいい点数をとることができないため、どうするか?
「焦るとよくない。余裕をもって取り掛かろう」
と、このような姿勢で進めたらいいだろうか? そんなことをしていたら、いつまで経っても「聞き取る」ことはできない。正確に聞き取るためには、
「聞き慣れる」
ことが不可欠だからだ。つまり、どんなに知識があっても、それを活かすための集中力が欠けていると、その知識をフルに活用できないのである。
だからスイッチをいれて集中力をアップさせるのだ。
野球で例えるなら、ピンチの時に選手たちが互いに「しまっていこう!」「気合いを入れていこう!」と声を掛け合う。気合いを入れることで、集中力を高め、脳の認知機能を向上させる働きがあるからだ。
慣れたことなら無意識でもこなせるが、新しいことに挑む時は、余裕を持ち過ぎると脳がその必要性を感じず、最高のパフォーマンスを発揮できない。
では、どうすればいいのか?
慣れないことに直面したときは、英語のリスニング試験を思い出してみてほしい。最初は何を言っているかさっぱりわからなくても、試験が始まると「集中しなくては!」と気合いを入れる。
その瞬間、不思議と耳が何を言っているのか拾い始める。これは気合いが、ただの気持ちの勢いではなく、集中力を高める重要なスイッチを担っているからだ。
何か新しいことをはじめようとしたとき、何かに挑戦しようとするとき、膨大な数の「慣れないこと」が目の前に立ちはだかる。
それらすべての「慣れないこと」を目の前にして、
「焦らなくてもいいから」
「徐々にやっていこう」
と助言する人は無責任だ。相手の立場に立って考えていないからだ。英語のリスニングがうまくできる人から、
「焦ってやってもいいことないから」
などとアドバイスされても参考にはならないだろう。それと同じだ。
慣れない環境、慣れない作業、慣れないリズム、慣れない人間関係……。
こういった事柄に直面した際、余裕をもってやろうとしてはいけない。「えいや!」「よしこい!」「カモン!」と心の中で叫んでスイッチを入れていこう。
私がそれで集中できる時間は、せいぜい20分だ。だから慣れないこと、面倒なこと、イヤなことを前にしたら、20分ごとにスイッチを入れる。これを読んでいるあなたはどうか?
慣れたら、気合いなど要らないし、頑張る必要もない。だから、その域に達するまでは、気合いと根性で乗り切ろう。
<参考記事>