Yahoo!ニュース

なぜ新社会人に「焦らなくていいから」は禁句なのか?

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

新しい環境に馴染めない新社会人が増えている。その理由は、周りの人が「焦らなくていいから」「余裕を持って進めよう」と助言するからだ。先輩や上司にそう言われてしまうと、本人もついつい慣れないことをしようとするとき、

「焦るとよくない。じっくり考えてから取り掛かろう」

と思い込んでしまう。しかし、この「慎重なアプローチ」が実は逆効果だったりする。今回はその理由をお伝えする。最後には、集中力を高める魔法の掛け声についても紹介するのでぜひ最後まで読んでもらいたい。

英語のリスニング試験を例にすれば、わかりやすいはずだ。

どんなに単語も文法も知っていても、リスニングに慣れていないと何を話しているか聞き取れないことが多い。しかし、聞き取れないと試験でいい点数をとることができないため、どうするか?

「焦るとよくない。余裕をもって取り掛かろう」

と、このような姿勢で進めたらいいだろうか? そんなことをしていたら、いつまで経っても「聞き取る」ことはできない。正確に聞き取るためには、

「聞き慣れる」

ことが不可欠だからだ。つまり、どんなに知識があっても、それを活かすための集中力が欠けていると、その知識をフルに活用できないのである。

だからスイッチをいれて集中力をアップさせるのだ。

野球で例えるなら、ピンチの時に選手たちが互いに「しまっていこう!」「気合いを入れていこう!」と声を掛け合う。気合いを入れることで、集中力を高め、脳の認知機能を向上させる働きがあるからだ。

慣れたことなら無意識でもこなせるが、新しいことに挑む時は、余裕を持ち過ぎると脳がその必要性を感じず、最高のパフォーマンスを発揮できない。

では、どうすればいいのか?

慣れないことに直面したときは、英語のリスニング試験を思い出してみてほしい。最初は何を言っているかさっぱりわからなくても、試験が始まると「集中しなくては!」と気合いを入れる。

その瞬間、不思議と耳が何を言っているのか拾い始める。これは気合いが、ただの気持ちの勢いではなく、集中力を高める重要なスイッチを担っているからだ。

何か新しいことをはじめようとしたとき、何かに挑戦しようとするとき、膨大な数の「慣れないこと」が目の前に立ちはだかる。

それらすべての「慣れないこと」を目の前にして、

「焦らなくてもいいから」

「徐々にやっていこう」

と助言する人は無責任だ。相手の立場に立って考えていないからだ。英語のリスニングがうまくできる人から、

「焦ってやってもいいことないから」

などとアドバイスされても参考にはならないだろう。それと同じだ。

慣れない環境、慣れない作業、慣れないリズム、慣れない人間関係……。

こういった事柄に直面した際、余裕をもってやろうとしてはいけない。「えいや!」「よしこい!」「カモン!」と心の中で叫んでスイッチを入れていこう。

私がそれで集中できる時間は、せいぜい20分だ。だから慣れないこと、面倒なこと、イヤなことを前にしたら、20分ごとにスイッチを入れる。これを読んでいるあなたはどうか? 

慣れたら、気合いなど要らないし、頑張る必要もない。だから、その域に達するまでは、気合いと根性で乗り切ろう。

<参考記事>

メンタルが弱らない成功者に共通する非常識な「5つの教え」

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

横山塾~「絶対達成」の思考と戦略レポ~

税込330円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

横山信弘の最近の記事